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大学・研究所にある論文を検索できる 「Synthetic Studies on Heteraazulenes Containing a Heavy Group 14 Element as a Skeletal Element」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Synthetic Studies on Heteraazulenes Containing a Heavy Group 14 Element as a Skeletal Element

Oshiro, Taku 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23718

2022.03.23

概要

アズレンは五員環と七員環が縮環した10π電子系の非ベンゼン系芳香族化合物であり、鮮やかな青色に呈色し、中性分子でありながら大きく分極しているなど、構造異性体であるナフタレンをはじめとした他の芳香族化合物とは異なる性質を示す。その機能化を目的とした修飾方法には、電子的摂動を与える置換基の導入や、アズレン骨格を基盤とした拡張π共役系の構築などの手法があるが、申請者は、その中でもアズレンの骨格構成炭素原子をヘテロ原子に核置換する方法に着目した。核置換アズレンとして、窒素を含むアザアズレン類が広く研究され、特徴的な機能を持つことが明らかになっているが、その他のヘテロ元素の導入例はリン、酸素、硫黄を含むものに限られており、炭素と同族の高周期14族元素の導入例はなかった。申請者は、高周期14族元素であるケイ素およびゲルマニウム核置換アズレン誘導体を安定な化合物として合成・単離し、その性質解明を目的に研究を行った。

 申請者はアズレンの1位をケイ素およびゲルマニウムで核置換した1-シラ-および1-ゲルマアズレンを標的分子としその合成研究を行った。かさ高い立体保護基をもつ1,2-ジブロモジメタレンが熱解離によりブロモメタリレン等価体として機能する性質およびそのジエン類との形式的[1+4]-環化付加反応に注目し、基質として1-ビニルシクロヘプタ-1,3,5-トリエンを用いたところ、目的の環構造をもつ化合物が定量的に得られた。ケイ素の系では、[1+2]-環化付加体である三員環化合物が初期生成物であること、その[1,3]-シグマトロピー転位によって含ケイ素5員環化合物が形成することを実験的に明らかにした。ハロゲン置換の高周期14族元素二価化学種とジエン類との[1+4]-環化付加の反応機構について、計算化学により提唱されている機構を実証するとともに、三員環中間体からの環拡大過程を検証した重要な例となった。得られた化合物から1-ゲルマアズレン前駆体への誘導化およびゲルマニウム上の置換基の高効率変換反応、前例の無い炭素―炭素二重結合の移動を伴う反応を見出した。

 また申請者は、2-シラ-および2-ゲルマアズレンについてもその合成研究を行った。上記と同様に、ブロモメタリレンの形式的[1+4]-環化付加反応を鍵反応とした目的の環骨格の構築を行い、前駆体へと誘導した。塩基による脱臭化水素反応を検討した結果、目的の2-ゲルマアズレンの合成に成功した。得られた2-ゲルマアズレンは、青色のアズレンとは対照的に溶液中で橙色に呈色していた。NMRおよび紫外可視吸収スペクトルの測定の結果、溶液中において2-ゲルマアズレンは単量体として観測されるが、固体状態では二量体を含む多量体として存在していることが示唆された。その理論計算による検証もあわせて、ゲルマニウムが組み込まれていながらも高い芳香族性を有していることを明らかにした。さらに、炭素に比べてその電気陰性度が小さく、より陽性なゲルマニウムが核置換していることによって、母体アズレンの持つ特徴的な双極子モーメントは完全に打ち消されていることが明らかとなった。

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