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書き出し

Subsurface warming process associated with Pacific Summer Water transport north of the Chukchi shelf in the Arctic Ocean [an abstract of entire text]

村松, 美幌 北海道大学

2023.03.23

概要

Title

Author(s)

Citation

Issue Date

Doc URL

Subsurface warming process associated with Pacific Summer Water transport north of the Chukchi shelf in the Arctic
Ocean [an abstract of entire text]

村松, 美幌

北海道大学. 博士(水産科学) 甲第15249号

2023-03-23

http://hdl.handle.net/2115/89837

Type

theses (doctoral - abstract of entire text)

Note

この博士論文全文の閲覧方法については、以下のサイトをご参照ください。

Note(URL)

File Information

https://www.lib.hokudai.ac.jp/dissertations/copy-guides/

Miaki_Muramatsu_summary.pdf

Instructions for use

Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP

主論文の要約
博士の専攻分野の名称:博士(水産科学)

氏名:村







学 位 論 文 題 目

Subsurface warming process associated with Pacific Summer Water transport
north of the Chukchi shelf in the Arctic Ocean
(チュクチ海北方域における太平洋夏季水の輸送に伴う
亜表層貯熱量の増加過程)

北極海では、特に太平洋側の海氷減少が著しく、太平洋夏季水(Pacific Summer Water : 以
下 PSW)による熱輸送量の増加が、この海氷減少を促進していることが先行研究から示唆
されている (Shimada et al., 2006) 。Timmermans et al. (2018) では、太平洋側北極海のカナ
ダ海盆において 1987−2017 年の 30 年間で亜表層貯熱量が約 2 倍に増加したことが示唆され
た。しかし PSW による熱輸送量の変化が、どの程度太平洋側北極海の海氷減少に寄与して
いるかについては、はっきりとわかっていない。
本論文で対象としているチュクチ海には、ベーリング海峡を通じて北向きに太平洋起源
水が流入しており、近年では、この流量増加に伴って熱輸送量も増加している(Woodgate et
al., 2012; 2018)。ベーリング海峡から流入した太平洋起源水の多くはチュクチ海を北上し
た後、チュクチ海北東部の Barrow Canyon に到達する(Itoh et al., 2013)。しかし、太平洋
起源水が Barrow Canyon を通過後、どのように北極海の海盆域に輸送されるのかは未だ詳
しく明らかになっておらず、重要な研究テーマの 1 つである。例えば Corlett and Pickart
(2017) では、船舶観測データを用いて、チュクチ海北東部の陸棚外縁に沿って西向きに流
れる Chukchi Slope Current の存在と、この流れによる太平洋起源水の輸送が提唱された。
また Lin et al. (2021) では、その下流域に位置する Chukchi Borderland の南側で 3 方向に流
路が分かれ、その一部が Chukchi Borderland を北上することが示された。
本論文の第 2 章では、チュクチ海北東部の陸棚外縁上(73°N/160−161°W)の HSN (期
間 1:2003−2005)・NHC (期間 2:2015−2019) にそれぞれ海洋研究開発機構(JAMSTEC)
が設置した係留系で観測されたデータを解析し、2000 年代と 2010 年代の異なる 2 期間に
おける PSW の変質と Chukchi Slope Current の流速変化を調べた。また、同時期に Barrow
Canyon に設置された係留系の水温・塩分と比較することで、Barrow Canyon からの輸送過
程における PSW の変質を定量化し、この 2 期間における移流時間の変化と PSW の変質と
の関係を明らかにすることを目的として研究を行った。
解析の結果から、期間 1・期間 2 ともに、PSW が存在していた期間(PSW-term)は北西
向きの流れが卓越することを示した。平均流の向きを流軸とした PSW-term における流速
は期間 1 より期間 2 の方が大きかった。また HSN・NHC と Barrow Canyon の水温時系列に
対してラグ相関を計算したところ、深度 30−60 m において、ラグが 7−61 日の時に相関係数
が極大を示した。このことから Barrow Canyon を通過した PSW が HSN・NHC 地点に到達
するまでの移流時間は 7−61 日程度であることを明らかにした。

さらに Barrow Canyon を通過した PSW のチュクチ海北東部陸棚外縁に沿った輸送過程
での変質を調べるため、HSN・NHC と Barrow Canyon 係留地点 BC–C の PSW-term で平均
した水温・塩分を比較した。その結果に基づいて、期間 1・期間 2 ともに PSW が陸棚外縁
に沿って輸送される間に、低温化・低塩分化していることを明らかにした。また、その低
温化・低塩分化は期間 2 の方が顕著であった。その要因を調べるために、PSW-term におけ
る密度成層の強度と Chukchi Slope Current の鉛直シアーを両期間で比較したところ、期間 2
の方が成層が弱く、かつ鉛直シアーが大きいことで、鉛直混合が起こりやすい状況にあっ
た。鉛直シアーについては Chukchi Slope Current が強まったことを反映していると考えら
れる。以上の結果と、この海域では表層に低温・低塩分水が存在することを考え合わせる
と、期間 2 では Chukchi Slope Current が強化されたことで鉛直混合が強くなり、表層の低
温・低塩分水と PSW がよく混合したために、より大きな低温化・低塩分化が生じたと示唆
される。
第 3 章では、チュクチ海北方域の Chukchi Borderland において、亜表層貯熱量の長期変
動とその要因に焦点を当てた。Chukchi Borderland は、第 2 章の HSN・NHC に到達した
Chukchi Slope Current の下流域と推定されている海域である。1999−2020 年の 20 年間に渡
って実施された JAMSTEC 海洋地球研究船「みらい」北極航海による水温・塩分のデータ
を解析し、当該海域の亜表層貯熱量の経年変動を調べた。PSW が存在する亜表層に着目し
た解析を行った結果、Chukchi Borderland では 1999−2020 年に約 1.8 倍まで亜表層貯熱量が
増加しており、1 年あたり 16.62 MJ m−2 の上昇トレンドが示唆された。
Chukchi Borderland における亜表層貯熱量の増加要因を明らかにするため、その上流域
に位置する Barrow Canyon における夏季の熱輸送量や亜表層貯熱量の経年変動と比較した。
その結果、Barrow Canyon を通過する熱輸送量の経年変動は Chukchi Borderland の亜表層貯
熱量と相関はあるが、有意な増加トレンドがないことが示された。一方で Barrow Canyon
における亜表層貯熱量の経年変動は有意な上昇トレンドが見られ(1 年あたり 12.09 MJ m−2)、
Chukchi Borderland の亜表層貯熱量との相関も高かった。但し、Chukchi Borderland よりは
上昇トレンドが小さいことから、熱輸送を促進する他のメカニズムも存在することが示唆
された。そこで、2011−2020 年に取得された衛星力学的海面高度データを用いて、Chukchi
Borderland および隣接するカナダ海盆周辺海域おける地衡流速の経年変動を調べた。その
結果、カナダ海盆を流れる高気圧性循環 Beaufort Gyre の重心が 2010 年代後半に南東方向
に移動していたことがわかった。また、この移動に伴って、Chukchi Slope Current が強化さ
れていた。これらのことから、Barrow Canyon での貯熱量増加に加えて、Beaufort Gyre の変
動に伴って Chukchi Slope Current が強化されることで、PSW による Chukchi Borderland へ
の熱輸送が増加したことが示唆された。
このように、本論文では太平洋側北極海の海氷減少の一因と考えられる PSW の移流に
伴う熱輸送に関して、Barrow Canyon からチュクチ海陸棚外縁の係留系観測地点 HSN・NHC
までの移流時間と、その過程における表層水との鉛直混合による低温化について定量的に
明らかにした。さらにその下流域に位置する Chukchi Borderland において、1999−2020 年の
20 年間で亜表層貯熱量が増加トレンドを示すことを定量化し、Barrow Canyon 通過流や
Chukchi Slope Current の経年変動との関係性を Beaufort Gyre の分布にも着目しながら明ら
かにした。 ...

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