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大学・研究所にある論文を検索できる 「Loss-of-function mutations in the co-chaperone protein BAG5 cause dilated cardiomyopathy requiring heart transplantation」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Loss-of-function mutations in the co-chaperone protein BAG5 cause dilated cardiomyopathy requiring heart transplantation

伯井, 秀行 大阪大学

2022.03.24

概要

〔目的(Purpose)〕
拡張型心筋症は、左心室の拡張と収縮能低下を臨床的特徴とする心筋疾患である。一部の症例では治療抵抗性の重症心不全を発症し、国内における心臓移植適応の主因を占めている。疾患発症メカニズムは充分には解明されていないが、遺伝子変異の関与が知られており、遺伝情報に基づいた疾患層別化および精密医療が期待されている。
しかしながら、家族性拡張型心筋症における原因遺伝子の同定率は約40%に満たないと報告されており、とりわけ心臟移植を要する拡張型心筋症の原因解明は急務である。そこで本研究では拡張型心筋症の新規原因遺伝子同定と、その病態機序の解明を目的とした。

〔方法ならびに成績(Melhods/Results)〕
10歳代に心臓移植を要する拡張型心筋症を発症した3名の罹患者を含む家系から得たゲノム検体を用いて、全エクソーム解析による病原性バリアントの網羅的探索を行ったところ、BAG co-chaperone 5 (BAG5) c.589C>T:p.R197Xホモ接合型変異を同定した。
次に約1800症例以上を対象とした心筋症ゲノムバリアントデータベースを検索したところ、さらに血縁関係の無い3家系から、BAG5遺伝子上に同一のホモ接合型変異(C.589C>T: p.R197X)、および異なるホモ接合型変異(c.18dupA: p.H7fs*5ならびにc.1168C>T: p.R390X)を同定した。
これら同定したBAG5重伝子変異を有する拡張型心筋症患者はいずれも、若年のうちに心臟移植を要する重症心不全を発症した。

BAG5遺伝子変異による心不全発症の病態機序解明のため、CRISPR/Cas9システムを用いてマウスの内在性遺伝子にヒトと同一の変異を導入したBAG5 p.R197Xホモ接合型変異ノックイン(KI)マウスを作成した。KIマウスは左室拡大ならびにカテコラミン刺激下における催不整脈性と生存率低下の表現型を呈し、本変異を有する患者の臨床的特徴の一部を再現した。さらにこのKIマウスに対して、心筋特異的トロポニンTプロモーターを有する野生型BAG5遺伝子を搭載したアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを投与したところ、KIマウスのこれら表現型は改善された。

生体内におけるBAG5の分子機能として、分子シャベロンであるheat shock cognate 71kDa protein (HSC70)に対してヌクレオチド交換因子として作用し、分子シャベロンによる基質タンパク質のフォールディング活性を上昇させることが知られている。まず成獣マウスの心臓組織内でのBAG5とHSC70の生化学的な相互作用を確認し、さらに今回同定した3種類のBAG5変異いずれもがHSC70に対するコシャペロン機能が喪失することを明らかにした。次に網羅的ブロテオーム解析を用いて、BAG5/HSC70シャペロン複合体の基質タンパク質として興奮収縮連関に重要であるjunctional membrane complex (JMC)タンパク質群を同定し、免疫染色法によってBAG5が心筋細胞においてJMCに局在することを確認した。コシャペロンであるBAG5の機能が喪失しているKIマウスの心臓組織では、カテコラミン刺激後にJMCタンパク質群の発現は低下した。最後に、BAG5機能喪失によるJMCタンパク質群の機能的変化を評価したところ、KIマウスから単離した心筋細胞において筋小胞体と横行管によって形成されるJMC微細構造の破綻およびカルシウムハンドリングの異常を認めた。

〔総括(Conclusion))
心臓移植を要する拡張型心筋症の新規原因遺伝子としてBAG5を同定した。その心不全発症における病態メカニズムとして、BAG5によるJMCタンパク質群の恒常性維持機構の重要性を明らかにした。

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