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大学・研究所にある論文を検索できる 「A Study on Yield, Growth and Physiological Response of Soybean to High Night Temperature」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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A Study on Yield, Growth and Physiological Response of Soybean to High Night Temperature

Lin, Taiyu 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23252

2021.03.23

概要

気温上昇が温暖地におけるダイズ生産に負の影響をもたらすことが知られている。しかし、その中での夜温上昇の影響については研究が限られ不明な点が多い。本論文は、ダイズの収量,生育および作物生理形質に及ぼす高夜温の影響を明らかにしようとして行った研究の成果を取りまとめたものであり、主な内容は以下のように要約される。

 第1章緒言では、気候変動がダイズ生産に及ぼす影響に関する現状の知見を概説し、ダイズ収量の夜温上昇に対する応答についての研究が限られること、それらから得られている知見には一致しない点が多いこと、一方将来予測されている温度上昇は昼温より夜温の方がその程度が大きいことを述べ、ダイズの夜温応答に関する作物生理的機構の解明の必要性を指摘した。

 第2章では、ダイズの収量関連形質に及ぼす高夜温の影響を明らかにした。日本において最も栽培面積が大きい品種の‘フクユタカ’を温度勾配型温室(TGC)内の幅1.5m、長さ22mの土耕栽培圃場において2カ年群落栽培し、生殖成長期間(開花期から子実肥大後期)に、午後6時から翌朝6時まで外気温から外気温プラス2℃ないし3℃の温度勾配を与えた。2カ年の処理期間中平均夜温は21.7℃および20.3℃であった。2カ年の結果を合わせて解析した結果、子実収量は夜温上昇1℃当たり4.6%減少していた。収穫指数(HI)は、収量構成諸要素の変化が互いに相殺するために安定しており、夜温上昇による減収は主に地上部全乾物重(TDW)の減少に起因した。維持呼吸量(Rm)の夜温上昇にともなう変化を、呼吸量の現存量係数および温度係数の過去の報告例、ならびに生育期間中のTDWと気温にもとづいて評価したところ、Rm増加のTDW減少への寄与は限られていた。

 第3章では、‘フクユタカ’の作物生理諸形質、葉の老化および成長に及ぼす温度上昇の影響について明らかにした。自然光型ファイトトロンとTGCのそれぞれにおいて、外気温よりも8℃または約3~5℃高い夜温を、生殖成長期間、同期間の前半、または同期間の後半にあたえる実験を行った。前章と同様に、高夜温区では対照区に比べて子実肥大後期におけるTDWが減少したのに対し、HIには一部を除き変化がみられなかった。一方葉面積に低下がみられた。高夜温区では個体当たり窒素蓄積量が減少し(ファイトトロン実験)、それは窒素固定活性の低下によると推察された(TGC実験)。葉身窒素濃度は高夜温区で窒素蓄積量よりも大きく減少しており、葉の老化の促進が示唆された。生殖成長前半に高夜温を与えた場合、生殖成長後半における上位葉の光飽和光合成速度(Asat)および夜明け後数時間における光合成速度の上昇が遅くなり、それらには夜明け前の測定葉の水ポテンシャル、気孔コンダクタンスおよび葉肉活性の低さがともなっていた。これらより、高夜温は乾物生産の低下を引き起こすが、それには窒素蓄積活性と葉面積の減少、老化の促進、および葉の生理活性が関与すると推察した。

 第4章では、高夜温に対する収量関連形質の応答の品種間差異を検討した。米国で近年育成された品種の‘DS25-1’は熱帯などにおいて他の温帯産品種よりも収量および品質が安定していることが知られている。同品種と‘フクユタカ’を、TGC内において土耕群落栽培またはポット栽培し、生殖成長期間の夜温について外気温から外気温プラス3℃の温度勾配区、または外気温区と外気温プラス5℃の2区を設けた。夜温上昇により‘フクユタカ’のTDWおよび子実収量が低下したが、‘DS25-1’ではその傾向が緩慢だった。また、‘DS25-1’では高夜温下におけるAsatおよび種子の外観品質の低下が少ないことをみとめた。

 第5章総合考察では上述の研究を総括した。本研究では群落条件で比較的穏やかな高温を与えた2つの実験、ポット栽培により強い程度の高温を与えた2つの実験、および軽度および強度の高温を与えて行った品種比較が行われた。全体を通じて、温暖地においては夜温上昇下では子実収量が低下すること、およびそれがHIではなくTDWの低下に起因すること、TDWの低下には光合成、呼吸、窒素蓄積など複数の作物生理活性の変化および葉の老化の促進が関与する可能性があることを指摘した。また高温に対する収量応答には明らかな品種間差異が存在していることから、現在の栽培品種の高夜温適応性を遺伝的に改良することが可能であるとした。

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