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大学・研究所にある論文を検索できる 「野生生物の駆除に対する選好:価値観及び生物種の違いに着目して」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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野生生物の駆除に対する選好:価値観及び生物種の違いに着目して

神邑 優輔 東北大学

2022.02.28

概要

【目的】
本研究の目的は、様々な駆除対象種(ほ乳類、鳥類、魚類、植物、また在来種、外来種)を駆除することに対し、個人の価値観、その他の個人属性が及ぼす影響を明らかにすることである。結果から、駆除という致死管理に対する多様な価値観を整理し、より望ましい管理の在り方を探索することを社会的な課題とする。
在来種と外来種という違いによる駆除の望ましさの違いを述べた先行研究や、外来種に限定し哺乳類•鳥類•魚類-植物...といった類の違いにより、各駆除対象種の駆除の望ましさが異なるという先行研究は存在する。しかし、在来種と外来種を共に対象とし、類の違いや価値観や規範意識から分析・比較する研究は見当たらない。

【方法】
調査は、グーグルフォームを用いた。調査対象者は職業等の社会的アイデンティティによる影響を除外するために本学の学生のみとし、2021年12月20日に2つの講義の受講生に対しアンケート調査を行った。
アンケートの内容は、価値観や規範意識についての設問、個人属性の設問、そして10種の駆除対象種のベストワーストスケーリング(BWS)とベスト、ワーストの判断基準を問う設問、さらに各駆除対象種についての知識、経験等を問う設問で構成される。
分析には因子分析、重回帰分析、分散分析を行う。

【分析結果】
因子分析を行い、因子を抽出した。ベストとワーストの判断基準を問う設問の回答結果を用いてクラスタリングを行い、130の回答者を4群に分類した。
グループ1では外来種の駆除が望まれ、在来種は駆除しなくていいという傾向が見られた。因子の正負より、生態系サービスや自然の力を高く評価していると考えられる。最も理系が多いグループであり、生態系への理解度が高い可能性が考えられる。
グループ2では危害リスクのある生き物の駆除が望まれる傾向が見られた。因子の正負より、自然は危機的状況だと考えており、そのことについて責任の帰属意識があると考えられる。学年は1年生が多く、女性率の高いグループである。
グループ3では、ほ乳類は駆除を望まれず、魚類は駆除を望まれる傾向が見られた。また因子の正負より、かなり人間中心的な傾向が強く、このグループは最も男性率、学年が高かった。
グループ4では、イノシシを含む組み合わせにおいて、必ずイノシシを駆除してほしい生き物に挙げている。因子の正負より、農業に関心のあるグループと考えられる。

【結論】
駆除対象の各生物種への選好の差(BW Scoreの差)は外来種•在来種の違いだけではないことを明らかにした。選好の差は、価値観や個人属性により説明できる可能性が示唆された。クラスタリングされたグループごとに特徴が異なるため、駆除に関わる合意形成を行う際には、地域住民がどのグループに属するかを判断し、多くの人にとって望ましい選択ができるよう、酉應する必要があると考えられる。

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