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大学・研究所にある論文を検索できる 「流動層水蒸気ガス化におけるタール改質技術に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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流動層水蒸気ガス化におけるタール改質技術に関する研究

坪井, 陽介 TSUBOI, Yosuke ツボイ, ヨウスケ 九州大学

2020.03.23

概要

バイオマスや石炭の利用において、環境適合性の達成のみならず、経済性を損ねることなく、CO2排出量を削減するためには、ガス化による固体資源利用効率の向上が重要である。本論文著者は、低温ガス化によって冷ガス効率の向上が期待される流動層水蒸気ガス化に着目した。

流動層水蒸気ガス化では、ガス化温度の低温化に伴い生成される重質および軽質タールを高効率に改質することが最大の課題である。タール改質技術の中でも、酸化改質方式は確実にタールを改質できる一方、冷ガス効率の改善余地が大きい技術である。著者らは、酸化改質方式における冷ガス効率の低下を最小限にするため、リジェネ式タール改質の提案をした。しかしながら、これまでにリジェネレイティブ燃焼とタールの酸化改質を組み合わせた例は無く、タール改質と冷ガス効率向上の同時達成を実証する必要がある。

冷ガス効率の低下が避けられない酸化改質方式に対して、偏析チャーを利用したガス化炉内タール改質技術は、冷ガス効率低下を実質的にゼロとすることを可能にする技術である。ただし、同技術を流動層水蒸気ガス化に適用するためには、偏析チャーの流動特性に加えて、実用炉におけるタール改質特性を把握する必要がある。

本論文は、冷ガス効率の改善をするためのリジェネ式タール改質、および偏析チャーによる炉内タール改質の原理を実証することを目的として実施した研究の方法と得られた知見をまとめたものである。

第 1 章は、上述した通り、本研究の目的および位置付けを示している。

第 2 章は、リジェネ式タール改質について、満たすべき基本諸元を数値解析により算出した後、流動層水蒸気ガス化のパイロット炉において実施した実証試験結果を示す。酸化改質方式においてタール改質率を高めるためには、温度や酸素比の条件だけでなく、良好な混合状態の形成が重要であることを明らかにした。実証試験の結果、酸素比 11.3%のとき、残留タール濃度は 50 mg/Nm3未満となった。この酸素比は従来の酸化改質方式よりも 30%以上低いことを根拠として、リジェネ式タール改質によって冷ガス効率を改善できることを示した。

第 3 章は、偏析チャー流動特性の実証を目的として、ガス化炉内粒子を直接採取する試験、およびコールドモデル試験を実施した結果を示す。炉内粒子採取の結果、ガス化炉内においてもチャーは偏析するが、熱分解およびガス化に伴う合成ガスの生成によって流動化が促進されるため、流動化ガスのみを模擬するコールドモデルよりも偏析が弱くなることを明らかにしている。一次元コールドモデル試験の結果、低流動化条件において 2 種類の粒子が存在する場合、流動化不良(リフト)が発生することが判明したが、リフトを流動層の基礎式によって解析し、回避条件を明らかにした。粒子の流出入がある二次元コールドモデル試験では、流動層内においてチャーは偏析し、蓄積されたチャーは連続的にオーバーフローすることを実証している。

第 4 章は、褐炭の熱分解により発生する揮発分を流動化したチャー層に通気し、水蒸気ガス化が同時進行する系におけるタール改質特性を調べた結果を示す。試験の結果、水蒸気ガス化によりチャーが消費される系において、軽質タールの改質率は低下する一方、重質タールの改質率は維持されることを明らかにしている。水蒸気ガス化時間の経過とともに、チャー表面のメソ細孔は一定時間維持されるものの、ミクロ細孔容積が減少するため、軽質タールの改質にはミクロ細孔の存在が重要であることが示された。

第 5 章は、流動層ガス化炉内において生成された褐炭チャーによるタール改質実証試験の結果を示す。試験の結果、トップフィードと比較してボトムフィードの方が、チャーとタールの接触が良好となるため、タールの収率は小さくなることがわかった。加えて、水蒸気ガス化雰囲気における賦活化チャーは高い改質性能を示すことが明らかとなった。水蒸気ガス化システム全体の熱バランスを保つ最小限のベッド材循環量とした試験において、重質タール収率はチャーの蓄積とともに低下し、乾燥原料基準 0.29 wt%の低レベルに達した。

第 6 章は、第 2 章〜第 5 章に述べた研究成果を総括している。リジェネ式タール改質の実証試験により、タール改質効果と冷ガス効率の改善効果を検証し、リジェネ式タール改質炉の有用性が示された。冷ガス効率の低下を実質的にゼロとすることができる偏析チャーによる炉内タール改質に関しては、チャーが偏析する条件、および水蒸気ガス化炉内におけるタール改質特性を明らかにした上で、偏析チャーにより重質タールを 85%以上改質できることを示した。

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