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大学・研究所にある論文を検索できる 「Ultrasonographic Analysis of Cardiac Function Based on Intraventricular Blood Flow」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Ultrasonographic Analysis of Cardiac Function Based on Intraventricular Blood Flow

松浦, 功泰 岐阜大学

2020.03.13

概要

心不全のうち拡張機能障害に起因する心不全は全体の 30〜50 %を占め,予後は収縮機能障害に起因する心不全と同様に悪いことから,その正確な診断・治療が求められている。左心室拡張機能の指標は, 左室弛緩の指標である Tau がゴールドスタンダードとされている。

しかしながら,その計測には麻酔下で左室内カテーテルの設置が必要となり,一般的な臨床検査として Tau の評価が行われることはほとんどない。また,臨床応用性の高い超音波による評価法のガイドラインでも,七つの拡張能指標(E/e’, septal e’, lateral e’, TR velocity,LA volume index, E/A, E)を用いた複雑な解析が求められていることから,簡便で信頼性のある新しい拡張能評価法が望まれている。近年,心臓内の渦流の可視化や数値化が実現し,新たな指標としての有用性が検討されている。Vector Flow Mapping(VFM)は超音波を用いて渦流を評価する手法であり,左心室内の収縮期における渦度(渦の回転角速度)は収縮能の指標と強い相関があることが示されている。一方,拡張期における渦度と他の心機能指標との関連性は十分に検討されていないが,拡張能の新指標として期待される。また,心室内圧較差(IVPD)は左心室内の相対的な圧力差推定法であり,左室内の二つの圧カテーテルを用いて計測することができる。IVPD は左房圧を上げずに左房から左室へと血液を輸送する“suction”と言われる機能の一部を担っており,拡張能の指標とされているが,観血的検査が必要となるため一般的臨床検査として利用されることはほとんどない。しかしながら,近年 IVPD を超音波カラーM モード画像から解析できるようになったことで,臨床検査項目としての拡張能指標として注目されるようになった。そこで,本研究では,臨床応用性に優れた非観血的な超音波血流解析法に着目し,超音波検査で得られる渦度や IVPD が拡張能の指標として有望であるかについて検討した。

第一章では,超音波血流解析から得られる渦度や IVPD について,拡張機能のゴールドスタンダード指標である Tau と比較することで,拡張能指標としての有用性を検討した。全身麻酔下で健常犬に左心室カテーテルを留置し,1)胸部大動脈バルーン閉塞による圧負荷条件,2)膠質液投与による容量負荷条件,および3)ミルリノン投与による弛緩能増大処置条件において, 観血的指標である Tau, 新規指標である渦度と IVPD,そして一般的な超音波指標の解析を行った。Tau と渦度は強い負の相関(R=-0.75, p<0.01)を示し,多変量解析により拡張早期の左心室の渦度は Tau を規定する独立予測因子となった。また,IVPD は渦度と非常に強い相関(R=0.84, p<0.01)を示した。これらの結果より,渦度や IVPD は左室拡張能のマーカーとして有望であると考えられた。

第二章では心室の大きさによる血流指標の変化を検討した。拡張能は心室の大きさの影響を受けるとされており,小さい心臓ではより大きな心室内圧較差が必要であると報告されている。犬は体格差が大きい動物種であり,体格差が渦度および IVPD に与える影響につ いて調べる必要がある。体重 1.3 から 42.3 kg の 58 例の犬の心エコーデータを使用し解析を実施したところ,渦度および IVPD の双方で左室長軸長との相関(渦:R= -0.3, p<0.05,IVPD: R= 0.5, p<0.05)が認められ,渦度と IVPD は左室長軸長に影響されることが示された。このことから,左心室の大きさに個体差がある場合や成長期などの状況では左室長の影響を考慮する必要があることが明らかになった。また、IVPD を左室長で補正した IVPG は心室の大きさの影響を受けない指標として利用できる可能性が示された。

第三章では拡張能の検出が早期診断に重要とされているドキソルビシン(DXR)誘発性心筋症について,モデル犬を用いて渦度および IVPG の臨床的有用性を検討した。健常犬において DXR 投与前, DXR180 mg/m2 投与終了時,そして投与終了 1.5 年後に観血的心機能検査と心エコー検査を実施した。拡張能の超音波指標とされる渦度および IVPG のうち,IVPG において顕著な低下(顕著な拡張能の低下を示す)が観察され,DXR 誘発性心筋症における心機能低下の早期検出指標として IVPG を利用できる可能性が示された。しかしながら,同時に測定された拡張能指標のゴールドスタンダードとされる Tau に変化が認められなかったこと,収縮能指標のゴールドスタンダードとされる Emax が有意(p<0.05)に低下 (収縮能の低下を示す)したことを考慮すると,本モデル犬で認められた IVPG の低下は心筋の弾性反跳現象を介して収縮能の低下を鋭敏に反映したものと考えられた。

以上の結果から,本研究によって検討された渦度や IVPG などの心室内血流指標は拡張能の指標として有用であり,また IVPG を用いることで従来法よりも鋭敏に収縮能低下を検出できる可能性が示された。

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