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大学・研究所にある論文を検索できる 「Neoadjuvant CAPOX and bevacizumab alone for locally advanced rectal cancer: long-term results from the N-SOG 03 trial」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Neoadjuvant CAPOX and bevacizumab alone for locally advanced rectal cancer: long-term results from the N-SOG 03 trial

Tomida, Akihiro 冨田, 明宏 名古屋大学

2020.04.02

概要

【緒言】
 欧米で標準治療とされる局所進行直腸癌(LARC)に対する5FU併用術前化学放射線療法(CRT)は、局所制御に優れるものの、予後延長効果はない。近年、欧米では予後を改善するために術前CRTに加え、術前に全身化学療法も追加する‘‘total neoadjuvant therapy(TNT)’’の概念が提唱されている。この治療では遠隔転移制御のみならず、局所制御の更なる増強が期待でき、肉眼的に腫瘍が消失した症例に対する非手術治療導入率も高まる。一方で、非手術治療を目的としてTNTを導入した場合、手術治療を避けられなければ過大治療となる可能性もある。個々の患者において最善の治療方法を選択することは重要であるが難しい問題である。一方、CRT施行が一般的でない我が国において、放射線治療(RT)を併用しない術前化学療法(NAC)は予後延長効果と局所効果をともに期待できるだけでなく、安価でRTの副作用を避けられる。しかし、NACの短期成績の報告は散見されるが、その長期成績は明らかでない。

【方法】
 我々はLARCに対し術前にCAPOX+Bevacizumab(BEV)を4コース施行する多施設単アーム第Ⅱ相試験(N-SOG03試験)を施行した。2010年から2011年に登録した症例は32例で、対象となるLARCは、(1)腺癌であること、(2)腫瘍肛門縁が第2仙椎下縁より肛門側に位置していること、(3)MRIで定義された高リスク直腸癌であることを満たしているものであり、(3)の高リスク直腸癌とは①腫瘍が直腸固有筋膜に1㎜以上越えて拡がっている、②腫瘍が周囲脂肪組織へ5㎜以上拡がっている、③腫瘍の周囲組織または腹膜への浸潤を認める(cT4b)、④anyTN2腫瘍の4つのうち少なくとも1つを満たすものである。
 安全性、治療コンプライアンス、有害事象などの短期的な結果は2013年に報告しており、術前化学療法完遂率は84.4%であったが、術後縫合不全率が高くなり(27.8%)、化学療法中に穿孔した症例も認めた。どちらもBEV関連毒性と考えられた。今回は、最終患者登録より5年経過時点での全生存期間(OS)、無再発生存率(RFS)、局所再発率(LRR)、およびそのリスク因子を多変量解析で評価した。

【結果】
 年齢の中央値は62歳(36-78)、化学療法中の病勢増悪のため3例が非切除・非治癒切除となった。全32例中10例(31.3%)がcT4b症例であり、12例(37.5%)がcN2症例であった。病理学的検討ができた30例中pCRは4例(13.3%)で得られ、11例(36.7%)で病理学的奏功を得た。R0/1切除29例でT down-stagingを得られたのは18例(62.1%)、N down-stagingを得られたのは22例(75.9%)であった。cT4b症例で切除できた7例中4例(57.1%)が病理学的にもypT4bと診断された。
 観察期間の中央値は65.3ヶ月(2.3-85.7)で、全症例をフォローできている。全体の5年OSは81.3%であった。R0/1切除29例での再発は8例に認め、再発部位は肺(n=4)、局所(n=3)、肝(n=2)の順であった(重複あり)。非切除またはR2切除の3例を含む8例が原病死となった。R0/1切除29例での5年OS、PFS、LRRはそれぞれ89.7%、72.4%、13.9%であった。非切除またはR2切除であった3例の生存期間は中央値で7.5か月(2.3-11.3か月)であった。R0/1切除29例での多変量解析ではcT4bのみがOSとLRRにおける独立した増悪因子であった。また、ypT4bとN down-stageを達成できなかった事がPFSにおける独立した増悪要因であった。

【考察】
 本研究ではcT4bが全生存率および局所再発の危険因子であり、一方でcStageⅢであってもN down-stagingが得られれば良好なPFSにつながる事が示された。
 cT4bに対する標準治療は確立しているとは言い難い。世界のガイドラインを支えるLARCでの治療を比較する大規模比較試験ではcT4bの多くは除外されており、全体の10%以下である。本研究では非切除またはR2切除に終わった3症例は全てcT4b症例であり、cT4b症例のOSは不良であった。CAPOX+BEVを用いたNACのcT4bに対する予後改善および局所制御効果は不十分であると言わざるを得ない。NACとしてより強力なFOLFOXILIなどのレジメンを用いる、またはNACで奏功しない症例にはCRTの追加をするなどの工夫が必要である。
 逆にcT4b以外での5年OSは100%、局所再発率も4.4%であり、cT4b以外の症例に対しては欧米では標準となっているCRTを省略するのは妥当であると考える。N因子について、12例(37.5%)でcN2、26例(81.3%)でcN+であったがR0/1切除した29症例の5年OSとPFSは満足できるものであった。高いN down-staging率(75.9%)が得られたこと、ypN+症例は4例(13.3%)のみであった事から導かれた結果で、NACは術前リンパ節転移陽性症例の予後を改善する可能性があると考えられた。逆に、リンパ節転移に対してNACでの奏功が得られない場合には、追加のCRTを考慮すべきである。

【結語】
 NACの局所効果は限定的で、cT4bに対するRTを省略したNACによる治療成績は期待を裏切るものであったが、cT4b以外の症例での長期成績は満足できるものであった。NACはLARCに対する治療オプションであり、cStageⅢ症例においてもN down-stagingが得られれば、良好な予後が得られる。

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