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大学・研究所にある論文を検索できる 「破骨細胞分化におけるLILRB4/gp49Bの作用に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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破骨細胞分化におけるLILRB4/gp49Bの作用に関する研究

毛塚 大 東北大学

2022.03.25

概要

骨吸収を担う唯一の細胞である破骨細胞は絶えず分化・新生し続け、骨の恒常性を適切に維持している。一 方で骨粗鬆症や関節リウマチなどの骨破壊性疾患では破骨細胞の活性が異常に亢進し、病的な骨破壊が生じる。これらの病態の解明や新規治療法の開発には、破骨細胞分化機序の理解が欠かせず破骨細胞分化制御機序の探 求は医学的に重要な課題であると言える。

破骨細胞の分化は Macrophage colony stimulating factor(M-CSF), Receptor activator of nuclear factor-B ligand(RANKL), およびいくつかの免疫グロブリン様受容体(IgLR)により制御されている。

我々は以前、抑制型 IgLR の一つである LILRB4 が in vitro で破骨細胞分化を抑制することを見出したが、当時はそのリガンドが不明であったことなどから抑制機序の解明にいたらなかった。しかし昨今、我々は Leukocyte immunoglobulin like receptor B4(LILRB4)およびそのマウス相同分子である gp49B に共通するリガンドとしてフィブロネクチン(FN)、特にN 末端30kDa 領域(FN30)を同定した。そこで従来の成果を発展させ、 LILRB4/gp49B が破骨細胞分化におよぼす影響とその機序を in vivo の観点から調査する目的で本研究に着手した。

まずマウス大腿骨において、破骨細胞特異的な染色である TRAP 染色を行うと、gp49B-/-マウス由来大腿骨では野生型(WT)に比べ破骨細胞量が増加していた。また、マイクロ CT 像では gp49B-/-マウスにおいて骨量が低下していた。Gp49B が in vivo においても破骨細胞分化を抑制し、それにともなって骨量が保たれていることが示唆された。次にマウス骨髄マクロファージ(BMM)を用いて gp49B の機能を ex vivo で評価した。Gp49B-/-マウス由来 BMM はM-CSF, RNAKL 投与下で有意に破骨細胞分化率が亢進したしており、野生型由来 BMM も抗 gp49阻害抗体の投与にて破骨細胞分化率が有意に増加した。破骨細胞の前駆体でもあるマウスマクロファージ細胞株 Raw264.7 細胞でも同様に、gp49B-/-株でRANKL 投与下での破骨細胞分化率が上昇しており、骨基質分解面積も増加したことから溶骨能も上昇していることが示唆された。これらより、gp49B が in vitro, in vivo の両面において破骨細胞分化を負に制御していることが明らかとなった。BMM 上に FN が発現していたことから、自身の FN と gp49B が結合していることが示唆された。その一方、骨髄内には細胞外マトリックスとして FN が豊富に存在していることから、外来性の FN も gp49B を介した破骨細胞分化抑制に寄与していることが予想された。そこで、Raw264.7 細胞へ外来性に FN30 を添加すると、RANKL 投与下での破骨細胞への分化は抑制され、さらに抗 gp49 阻害抗体を投与することでこの抑制が解除された。また、LILRB4/gp49B と FN30 の結合を阻害することが知られている FN30Fc を投与することで、BMM, および破骨細胞前駆体でもあるヒト単球性白血病細胞 THP-1 の破骨細胞分化を抑制した。これらから、FN30-LILRB4/gp49B が破骨細胞分化を抑制していることが示唆された。次に、これらの機序を検討した。まず、破骨細胞分化に必須な受容体群として、RANKL の受容体である RANK, および活性化型 IgLR 群の発現量は野生型および gp49-/-由来 BMM で有意な差がなかった。そこで、破骨細胞分化の最重要因子である RANKL シグナル分子を調査すると、最上流分子である TGF-β activated kinase1 (TAK1)のリン酸化が、Raw264.7 細胞の gp49B-/-株において有意に亢進していた。

本研究において gp49B がin vivo で破骨細胞分化維持を抑制し、骨量を増加させることが明らかとなった。さらに、FN30 と LILRB4/gp49B との結合により破骨細胞分化を負に制御すること、その機序として TAK1 のリン酸化が抑制される可能性を見出した。LILRB4 が in vitro のみならず in vivo でも機能する可能性が示され、 LILRB4/gp49B-FN30 が骨代謝において重要な役割を有していることが明らかとなった。今後さらに疾患との関連を調査することで、LILRB4/gp49B を含む抑制型 IgLR が骨破壊性疾患治療の新たなターゲットとなる可能性も示すことができたと考える。

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