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大学・研究所にある論文を検索できる 「Investigation of ordered structures in oxidation-synthesized α-Fe₂O₃ nanowhiskers with Cs-corrected HR-TEM and monochromated core-loss EELS」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Investigation of ordered structures in oxidation-synthesized α-Fe₂O₃ nanowhiskers with Cs-corrected HR-TEM and monochromated core-loss EELS

Lai, Ming-Wei 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23459

2021.09.24

概要

光化学的水分解反応の陽極材料として期待されている型酸化鉄ナノウィスカーの微細構造には、(330)面と(112)面に関連した2種の長周期規則構造が存在することが古くから知られており、それらは酸素欠損に関係していると考えられていたが、その詳細な構造と形成機構は不明であった。その主な理由は、規則構造解明の鍵となる酸素原子の配列構造を明らかにすることが困難であったためである。

本論文では、対物レンズの球面収差が補正された高分解能透過電子顕微鏡(HR-TEM)法において、球面収差係数を負の微少な値(−14 µm)に調整すると同時に、焦点はずれ量を正の最適値(6 nm)に設定する負の球面収差結像法を適用することで、ナノウィスカー中の酸素の原子配列構造を直接観察することに成功し、原子分解能像中の各原子位置を精度よく計測することで、2種類の規則構造の詳細とその形成メカニズムを明らかにした。さらに、TEMに組み込まれた高エネルギー分解能電子エネルギー損失分光(EELS)法を適用し、酸素K殻と鉄L2,3殻の内殻電子励起スペクトルに現れる吸収端微細構造を解析することにより、ナノウィスカー中に酸素欠損が存在することを確認すると同時に、結合状態の変化に関する情報を得た。それぞれの規則構造に関する解析結果は以下の通りである。

(330)面に関連した規則構造は、[001]方向から観察することにより、(330)面の面間隔の5倍もしくは10倍周期で現れる暗いストライプ状のコントラストとして確認できる。上述の手法により酸素原子配列構造を観察したところ、暗いストライプ状のコントラスト部分の(330)ギャップ近傍では、局所的に酸素原子間距離が僅かに伸張していることが判明した。また、酸素K殻吸収端微細構造の解析から、ナノウィスカーでは酸素原子間距離の伸張は0.8%程度であると見積もられ、それに伴い酸素イオンの結晶場の強さが0.15 eV弱まっていることも見出された。これらの知見は、規則構造の形成には格子歪みが深く関連していることを示唆している。ナノウィスカー内の格子歪みは、基板表面に形成したFe2O3/Fe3O4層の間の格子ミスフィットに起因する伸張歪みがナノウィスカー成長時に伝搬したもので、この伸張歪みにより酸素欠損が誘起され、それが集積することにより歪みエネルギーを低下させるとともに、長周期規則構造が発現したものと結論された。

一方、(112)面に関連した規則構造は、[111]方向からHR-TEM像を観察することにより確認でき、TEM像のフーリエ変換パターンにおいて、(112)面の面間隔の4倍周期の長周期スポットとして現れる。この規則構造を有するナノウィスカーに対しても上記と同様の解析を行った結果、酸素原子間距離の伸張は0.4%程度で、(330)面に関連した規則構造に比べて格子歪みの影響が小さく、また酸素欠損量も少ないことが判明した。さらに、長周期スポットの強度がナノウィスカーの場所ごとに変化することが見いだされた。パターンの詳細な解析を行った結果、強度の揺らぎは[111]配向した(112)面に関連した規則構造が、[001]配向した(330)面に関連した規則構造に重畳して成長していることにより生じていることが明らかになった。また、2つの結晶相の配向関係は[111]//[001]の関係にあり、(112)面の面間隔の2倍が(330)面の面間隔の5倍とほぼ一致し、両者のミスマッチが1.4%であることから、(330)面に関連した規則構造内の格子歪みを緩和するように、(112)面に関連した規則構造が成長していると結論された。

以上のように、本論文では負の球面収差結像法による酸素原子配列構造の直接観察と、高エネルギー分解能EELSによる吸収端微細構造の解析は、金属酸化物における格子歪みに起因する規則構造の解析に有効であることを示した。

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