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大学・研究所にある論文を検索できる 「Studies on the Anti-inflammatory Mechanisms of β-Elemene」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Studies on the Anti-inflammatory Mechanisms of β-Elemene

周, 英鈺 東京大学 DOI:10.15083/0002006384

2023.03.24

概要























英 鈺

加齢や肥満は、慢性炎症を引き起こすことが明らかになっており、さらに慢性疾患の要
因となることが知られている。-elemene は、様々な食品素材に含まれ、抗腫瘍作用が報告
されており、また、腫瘍と炎症に密接な関係があることが明らかになっている。以上を背
景に、本論文は、-elemene の抗炎症作用について、加齢マウスや肥満マウスモデルを用い
免疫系や脳腸相関に着目して解明することを目的とし、序章と総合討論を合わせ 6 章から
なる。
序章において、研究の背景と目的について述べた後、続く第 1 章では、-elemene の加
齢マウスへの作用を検討している。加齢マウスにおいて、-elemene の経口投与による炎症
性サイトカインの変化は見られなかった。一方で、腸管免疫系においては、樹状細胞 (DC)
における抗炎症性サイトカインであるインターロイキン 10 (IL-10) および TGF- の発現
が上昇し、 炎症抑制機能を有する Foxp3+制御性 T 細胞の誘導が観察されている。これら
の結果から、-elemene の経口投与が腸管免疫系に作用し、炎症を抑制する可能性が示され
た。
第 2 章では、高脂肪食摂取マウスモデルを用いて、-elemene の作用を検討している。
まず、-elemene を高脂肪摂取マウスに経口投与することにより、脂肪組織における炎症性
サイトカイン遺伝子発現が低下したことを明らかにしている。また脂肪組織、および腸管
の腸間膜リンパ節、パイエル板において、Foxp3+制御性 T 細胞が誘導された。以上の結果
より、-elemene が腸管における制御性 T 細胞誘導を介して、脂肪組織において抗炎症効
果を示すことが示唆された。さらに-elemene の腸管免疫系に対する作用を検討したところ、
-elemene が DC において、制御性 T 細胞誘導因子である、TGF-β、 retinal dehydrogenase 2
(RALDH2)、 integrin αvβ8 および IL-10 の発現を増強することを明らかにしている。以上本
章では、-elemene が腸管の DC に作用して制御性 T 細胞を誘導し、脂肪組織において抗
炎症効果をもたらすことを示す結果が得られている。
第 3 章では、-elemene のマクロファージに対する作用について検討している。RAW 246
細胞株を用いてシグナル伝達系に着目して解析し、炎症性刺激をもたらすリポ多糖 (LPS)
による MAP kinase である p42 ERK、 p46 JNK および p38 のリン酸化が、-elemene によ
って抑制されることを明らかにしている。また、高脂肪食摂取マウスにおいて増加した炎

症性の M1 マクロファージが、-elemene の経口投与により減少することが示されている。
これらの結果から-elemene がマクロファージの応答を調節しうることが示されている。
第 4 章では、脳腸相関に着目して、-elemene の作用について検討している。まず、
-elemene を経口投与した高脂肪食摂取マウスにおける前頭前皮質、海馬および視床下部の
代謝産物を NMR により解析している。クラスター解析および主成分分析により、高脂肪食
摂取による前頭前皮質および海馬における変化が-elemene 投与により回復する可能性が
示されている。また、腸内細菌解析を行ない、高脂肪食摂取による腸内細菌叢の変化が
-elemene の経口投与により回復することを示す結果が得られている。さらに、脳内代謝産
物と腸内細菌の関係についてピアソン相関により解析し、腸内細菌叢、脳内代謝産物と脳
機能の関係について考察している。
最後の総合討論では、本研究をまとめ、今後の展望を述べている。
以上、本論文は、-elemene の抗炎症作用について、加齢、肥満、腸管免疫応答、マクロ
ファージの制御および脳腸相関の観点から、解明を進めたもので、学術上応用上寄与する
ところが少なくない。よって、審査委員一同は本論文が博士(農学)の学位論文として価
値あるものと認めた。

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