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大学・研究所にある論文を検索できる 「Ecology and diversity of freshwater picocyanobacteria in Japanese lakes」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Ecology and diversity of freshwater picocyanobacteria in Japanese lakes

Cai, Ji 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23041

2021.03.23

概要

ピコシアノバクテリアは細胞サイズが 2 μm よりも小さい酸素発生型の光合成を行う浮遊性の原核生物の総称であり、湖沼や海洋に広く分布し、水域生態系の一次生産と食物連鎖に重要な機能を果している。淡水性ピコシアノバクテリアには、単細胞型とコロニー型の異なる形態があり、前者は貧栄養湖における重要な一次生産者で、後者は中富栄養湖で普遍的に出現する。しかし、コロニー型は一次生産への貢献が低いため、過去の研究で見落とされることが多く、その生態は未だ解明されていない。一方、淡水性ピコシアノバクテリアは海洋性のものよりも高い多様性を持つと考えられるが、ほとんどの研究が海洋で行われてきたため、その系統分類が未だに把握されていない。本研究では、淡水性ピコシアノバクテリアの単細胞型とコロニー型の生態の違い、および国内の様々な湖沼に生息するピコシアノバクテリアの系統多様性について研究を行った。

試水は、琵琶湖において二年間、月二回の頻度で鉛直的に採集した。また、琵琶湖の他に、日本の8湖沼より成層期において鉛直的な採水を行った。まずは、顕微鏡計数で琵琶湖に生息する単細胞型とコロニー型のピコシアノバクテリア、そして彼らの潜在的な摂食者の現存量の季節動態を解明した。これらの時系列データは Empirical Dynamic Modeling で解析し、各摂食者がピコシアノバクテリアの現存量の季節変動にどのような影響を与えるのかを調べた。次に、シアノバクテリアの 16S rRNA 遺伝子を増幅できるプライマーを用いて、ピコシアノバクテリアのクローン・ライブラリー法による群集解析を季節的に行った。最後に、16S rRNA 遺伝子とそれに隣接する ITS 領域を増幅できるプライマーを用いて、ロングリードシーケンシング法により、琵琶湖を含む国内9湖沼に生息するピコシアノバクテリアの遺伝的多様性を調べた。

琵琶湖において、単細胞型とコロニー型のピコシアノバクテリアは、それぞれ異なる時空間的分布を示した。また、時系列解析により摂食者らが両者の季節変動に異なる影響を及ぼすことが明らかとなった。群集解析により、ピコシアノバクテリアの群集組成は季節的かつ経年的に変化すること、および各季節で異なる OTU が優占することも分かった。特に、琵琶湖の冬におけるピコシアノバクテリアの増殖が新たに確認され、これは耐冷性系統が優占的に増殖したものであることが明らかとなった。本研究で調査した他の国内湖沼の多くにおいても、この耐冷性系統が普遍的に存在しかつ優占的であると確認された。また、各湖沼特有の優占的系統も見られた。さらに、ITS 領域の解析により、各ピコシアノバクテリアの系統が異なる地理的分化パターンを示すことが分かった。

琵琶湖において、ピコシアノバクテリアの単細胞型とコロニー型が様々な摂食者から影響を受けることを明らかにしたことにより、これら二つの形態のピコシアノバクテリアは水域の食物連鎖において異なる生態学的役割を果たすことが示唆される。また、ピコシアノバクテリアに関連する研究は従来、彼らが大量に発生する夏季に行われてきたが、本研究の琵琶湖の結果からは冬季におけるピコシアノバクテリアの生態を研究する重要性が示された。国内9湖沼での研究では、日本に生息する淡水性ピコシアノバクテリアの高い多様性が解明された。特に、本研究では ITS 領域を用いることで、ピコシアノバクテリアの系統内多様性とその系統地理に新たな見解をもたらした。本博士論文では、頻度高い現地調査や試料採集が行える湖沼研究の優位性、および淡水性ピコシアノバクテリアの生態と遺伝系統の研究の発展におけるロングリードシーケンシング法の有用性を示した。

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