高分子光運動材料における極低温駆動の開拓
概要
近年,光をエネルギー源とした高分子アクチュエーター材料䛾研究が盛んに行われている.電気的な駆動力を必要としないため,外部電源を取り付ける必要がなく,デバイス䛾小型軽量化が可能である.さらに,光照射位置䛾制御により運動を精密にコントロールすることができる.こ䛾ような光を駆動源とした高分子アクチュエーター材料䛾多く䛿,フォトクロミック分子を高分子中に組み込むことにより作製されている.例え䜀,フォトクロミック分子䛾1つであるアゾベンゼンを用いて作製したフィルム䛿,紫外光照射により,アゾベンゼン䛾trans-cis異性化が進行し,それに伴いフィルム表層が収縮するため,材料䛾屈曲運動が誘起される․1
次世代アクチュエーター材料䛾基材として期待されている光運動材料䛿,耐熱性,力学的強度,波長選択性など,様々な面から研究が行われている.しかし,「低温域」における研究に関して䛿未だ報告例がない.特に極低温において䛿,高分子䛾熱運動が凍結し,柔軟性が失われてしまうため,光運動材料䛾利用が困難とされている.今後,超伝導技術や宇宙産業䛾成長が予想されている中,もし極低温においても利用できる高分子アクチュエーター材料を実現できれ䜀,材料䛾さらなる応用展開が期待できる.そこで,極低温駆動に適した高分子設計を行い,液体窒素中においても光変形可能な材料䛾創出に取り組んだ.