経験変分ベイズ法による非負値行列分解
概要
非負値行列分解(non-negative matrix factorization, NMF)は,画像データのような非負値をとるデータに対し,分解後の要素が非負値をとる行列の積に分解することで潜在的な特徴の抽出を可能とする手法である(Lee and Seung,2001).非負値行列分解は生成モデルとして確率分布により表現し,ベイズ推論へと拡張ができる.Cemgil(2009)は,KLダイバージェンス規準におけるNMFを生成モデルとして解釈し,階層ベイズモデルとしてBayesian NMFを定式化し,変分ベイズ法を用いることでNMFの次元数の選択を行った.
変分ベイズ法は事前分布の超パラメータの設定によって結果が異なる.そこで中島,杉山(2013)は変分ベイズ法と超パラメータの推定を同時に行う経験変分ベイズ法を提案した.本研究では,Cemgilが提案したBayesian NMFに対し,経験変分ベイズ法を用いて分解した2つの行列の階数を客観的に選択できることを検証する.