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大学・研究所にある論文を検索できる 「Clinical utility of computed tomography-based evaluation of trunk muscles in primary sclerosing cholangitis」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Clinical utility of computed tomography-based evaluation of trunk muscles in primary sclerosing cholangitis

菊地 由花 広島大学

2022.08.29

概要

【目的】
原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis; PSC)は、進行性の線維性肝内胆管狭窄を特徴とする原因不明の慢性胆汁うっ滞性肝疾患で、有病率は 10 万人あたり 0.22~16.2 人と比較的稀な疾患である。PSC の自然経過は慢性進行性で、胆道の線維化から肝硬変を経て、最終的には肝移植を必要とする末期肝不全に至るケースが大半を占める。しかし、PSC の自然経過は非常に多様であり、病期や進行を確実に推定できる予後バイオマーカーは確立されていない。一方、骨格筋量および筋力の低下を表すサルコペニアは、様々な慢性肝疾患において疾患進行の潜在的な予測因子であることが示されている。日本肝臓学会からも 2016 年に「肝疾患におけるサルコペニア判定基準」が提唱され CT でのサルコペニア基準が示されており、臨床現場でも使用されているが、骨格筋パラメータと PSC との関連を報告した研究はない。本研究は、PSC患者において、PSC の生理的状態の評価および予後予測のために、骨格筋に関する指標を見出すことである。

【方法】
2008 年から 2017 年に広島大学病院で治療を受けた PSC 患者 22 名(男性 12 名,平均年齢 42.8 歳)を本研究に登録した。肝不全で死亡した者や肝移植を受けた者をイベント群とし、それ以外を非イベント群とした。年齢、性別を 1:2 でマッチさせた、肝障害のない 44 名をコントロール群とし、PSC 群と比較した。CT 画像は L3 レベル Axial 像で自動解析装置を用い、腸腰筋と体幹筋の面積、多裂筋と皮下脂肪の CT 値を測定した。各数値から、骨格筋指数(skeletalmuscle index; SMI)、L3 レベルの腸腰筋面積(㎠)/身長の 2 乗(㎡)(psoas muscle index;PMI)、骨格筋内脂肪含有量を反映した intramuscular adipose tissue content; IMAC を算出、これら骨格筋パラメータと、生化学検査データすなわち総ビリルビン、AST、ALT、ALP、血小板数、アルブミンとの関連を検討した。次に肝線維化指標として用いられる FIB-4 index、肝移植登録患者の重症度の判定に用いられる MELD スコア、PSC 患者が自然経過での生存率の予後予測指標として知られる Mayo リスクスコアと骨格筋パラメータの関連を検討した。最後に、イベント群と非イベント群での骨格筋パラメータの差を検討した。統計解析は、ベースラインの特性においては、PSC 群とコントロール群で、連続変数は平均と標準偏差、カテゴリー変数は数と割合で評価した。両群の二値変数の割合の違いを評価するために、Chi2 乗検定または FisherExact 検定を用い、両群の連続変数および順位変数については、Student t 検定または Wilcoxon順位和検定を用いた。

【結果】
男性 PSC 症例では、コントロール群と比較しベースライン評価で SMI と PMI が統計的有意に低かった(P <0.05)。これらのパラメータを男女別に比較したところ、男性 PSC 症例とコントロール群の間では、IMAC には差がなく、SMI(46.6 vs 52.5、P=0.04)と PMI(6.6vs 7.8、P=0.03)に統計的有意差が見られた。次に、線形混合効果モデルを用いて生化学検査データと SMI/PMI の関連を検討したところ、男性 PSC 症例で、SMI と総ビリルビン、AST、血小板との間に相関を認め、PMI と総ビリルビン、ALT、ALP、血小板数との間に相関を認めた(P<0.05)。第 3 に、男性 PSC 症例では、PMI と MELD スコアに強い関連を認めた(決定係数 R2= 0.42, P= 0.02)が、FIB-4 index、Mayo リスクスコアでは認めなかった。第 4 に、PMIは男性イベント群で非イベント群よりも統計的有意に低下がみられた(4.85 vs 7.20, P = 0.01)が、SMI では有意差はみられなかった。すべての検討において、女性 PSC 症例では特異的な骨格筋パラメータはみられなかった。

【考察】
PSC症例における骨格筋の重要性を示した既報はなく、本研究は PSCの病態や予後と、骨格筋量 との密接な関係を示し た初めての報告である 。 非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcoholic fatty liver disease; NAFLD)での報告とは異なり、IMAC と PSC の臨床状態との明確な関連は見られなかった。すなわち、骨格筋の脂肪化が PSC の進行と関連するとは考えにくい結果であった。筋量を示す SMI や PMI は、男性 PSC 症例の特異的骨格筋パラメータになり得ることが示され、いくつかの解析の結果 SMI よりも PMI の方が予後予測指標として優れていることが示された。ただし、骨格筋量を評価する際には、性差が存在することを念頭に解析する必要がある。本研究でも、女性 PSC 症例では特異的な骨格筋パラメータは示されなかった。今回は単施設の pilot study であったが、今後多施設共同研究として症例数を増やすことで、更なる骨格筋評価の有用性が示される可能性がある。

【結論】
男性 PSC 症例の病態や予後を評価しうる指標として、CT で測定された L3 レベルのPMI が最も適しており、これは PSC 患者の臨床における骨格筋量減少の評価の重要性を示唆している。

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