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大学・研究所にある論文を検索できる 「Harmonization of standardized uptake values between two scanners, considering repeatability and magnitude of the values in clinical fluorine-18-fluorodeoxyglucose PET settings : a phantom study」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Harmonization of standardized uptake values between two scanners, considering repeatability and magnitude of the values in clinical fluorine-18-fluorodeoxyglucose PET settings : a phantom study

飯塚 均 横浜市立大学

2020.07.31

概要

1.序論
 SUVはPETの領域において最も広く用いられている定量値である.この定量値は診断, 治療効果判定や予後評価に用いられている.しかしながらSUVは撮像装置やワークステーションの種類, 撮像プロトコル, 体格, 病変の分布, 画像ノイズならびに放射能など多くの因子により影響されることが報告されている.とくに装置による定量性の違いは注目されており, 部分容積効果低減のための技術として最近の装置で導入されることが多くなったtime-of-flightおよびpoint-spread-functionによって, SUVが上昇することが知られている.FDG-PETの撮像プロトコル標準化およびSUV調和化手法についてのガイドラインが公表されており, SUV調和化についてはガウシアンフィルターを用いてリカバリ係数を規程範囲に収める手法が推奨されているが, この方法では後処理フィルターの処理が必要になる.また臨床撮像条件よりも大幅に長い時間で収集されるデータが基準となっており, 臨床撮像条件で発生するノイズは考慮されていない.さらにKaneta et al.(2017)による報告から, SUV測定値の変動は真のSUVの大きさに依存する可能性があると考えられている.これらのことを考慮した上で, 臨床撮像条件を基準とし, 古い装置で測定されたSUVmaxおよびSUVpeakから新しい装置における測定値を推測する形でSUV調和化を行うための技術の開発を目的として研究を行った.

2.実験材料と方法
 2種のPET/CT装置(CelesteionおよびAquiduo)それぞれで, ホット球の真のSUVを2, 4, 8および16と変化させて4回のファントム実験を行った.いずれのファントム実験でもデータ収集はリストモードで行い, バックグラウンドの放射能濃度が2.53kBq/mLとなるタイミングから画像再構成を行った.この際, 最初2分間のdurationのデータから1回目の画像再構成を行い, その後継続的に画像再構成を繰り返すことで計50シリーズの画像を得た.ここでは18Fの放射能の減衰を考慮し, 個々のシリーズのカウント数が1シリーズ目と同程度になるようdurationを徐々に延長させて再構成を繰り返す方法を採用した(参考論文Kaneta et al.(2018)で提唱されたcount-based再構成法).得られた50シリーズ全てについて6種のホット球(直径10mm, 13mm, 17mm, 22mm, 28mmおよび37mm)のSUVmaxおよびSUVpeakを測定する作業を全てのファントム実験について行った.SUVmaxおよびSUVpeakそれぞれについて得られた50シリーズの平均値から近似式を求めた.

3.結果
 まず2つの装置で測定されたSUVmaxおよびSUVpeakと真のSUVの関係のプロットからホット球の直径ごとに近似式を得た.得られた近似式のいずれにも強い相関が認められた(R2>0.99).なお, SUVmaxおよびSUVpeakいずれについても大部分でCelesteionにおける測定値がAquiduoにおける測定値よりも大きかった.また測定値を装置間で対比することにより, Celesteionで測定されたSUVmaxおよびSUVpeakをAquiduoにおける測定値に変換するための一次関数の変換式がホット球の直径ごとに得られた.

4.考察
 今回開発したSUV調和化の技術は, 従来の方法と主に2つの点で異なっている.1つ目はcount-based再構成法を用いることで臨床撮像条件における調和化に重点をおいたことである.またcount-based再構成法はリストモード収集のデータであれば施設を問わずに利用可能である.2つ目は真のSUVが異なる場合のSUV測定値の変動の違いを考慮した点である.多くの研究で単一の対バックグラウンド比(主に4:1)でのみのファントム実験が行われるのに対し, 我々は真のSUVを変化させて複数回のファントム実験を行った.このような方法での2機種間の直接のSUV調和化は我々の知るところでは初の試みである.本研究では, 2機種それぞれにおいてホット球の直径ごとに得られたSUVmaxおよびSUVpeakと真のSUVの関係式から回帰分析を行い, 2機種間の直接の変換式を得て調和化を行うことができた.さらに直径2cmよりも大きいホット球については一次関数のy切片が0.2未満と小さく, 実臨床において0.2のSUVの違いは有意とは言えないことからy切片を無視できると考えれば, SUVmaxおよびSUVpeakは特定の係数を掛け合わせるのみでも簡易的に調和化を行うことができる可能性, またその係数が単一のファントム実験から近似的に得られる可能性も示唆された.さらに, 本研究で得られたような近似式からは逆にSUVmaxやSUVpeakを真のSUVに変換することも可能であり, 同様の変換が他の装置についても検証されれば, 多施設共同研究において有用となる点と思われる.以上のようにして, 臨床撮像条件のデータを元にし, 新しい装置の性能が犠牲とならないSUV調和化技術を開発することができた.

この論文で使われている画像

参考文献

Kaneta, T., Sun, N., Ogawa, M., Iizuka, H., Arisawa, T., Hino-Shishikura, A., Yoshida, K., andInoue, T.(2017), Variationandrepeatabilityofmeasuredstandardizeduptakevaluesdependingonactualvalues:aphantomstudy, AmJNuclMedMolImaging, 7, 204–211.

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