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大学・研究所にある論文を検索できる 「Feeding characteristics of a generalist pit viper, mamushi (Gloydius blomhoffii), to different prey types」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Feeding characteristics of a generalist pit viper, mamushi (Gloydius blomhoffii), to different prey types

Hamanaka, Kyosuke 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23738

2022.03.23

概要

ある餌種に対応する採餌行動の特殊化は、特定の分類群を専食する動物において顕著である。しかしながら、異なる特徴をもつ様々な分類群を餌とする広食者であっても、しばしばその餌の種や大きさ等に合わせた行動をとることが知られている。多くの広食者は、どの餌に対しても普遍的に使われる単一な餌認知の方法や採餌行動よりも、それぞれの餌に対して最適な行動を選択することによって採餌の効率を上昇させていると考えられる。本研究では、多様な分類群の動物を餌とする広食性の毒ヘビであるニホンマムシ(以下マムシ)を用いて、様々な餌に対する餌認知や捕食行動といった採餌に関する特性の違いを検証した。

マムシを含むマムシ亜科のヘビは、他のヘビ類と同様に餌認知において主に化学感覚を用いるが、それに加えてピット器官と呼ばれる熱感知器官によって、餌動物の体温にも反応することが知られている。第1章では、内温動物と外温動物それぞれに対するマムシの餌認知において、鋤鼻器によって感知する化学刺激とピット器官によって感知する温度刺激が異なった効果を持つ可能性を検証した。その結果、どちらの餌タイプに対しても化学感覚による餌種の認知が先行しておこなわれ、化学刺激が内温動物のものである場合にのみ温度感覚による反応が強く誘発されることが示唆された。

第2章では、ヘビにとって危険な餌となり得るネズミを捕食する際、餌の大きさがマムシの捕食行動に与える影響について、マムシと近縁な広食者であるヒメハブとの比較を通して検証した。その結果、ヒメハブは餌への咬みつき後、大きさにかかわらずほとんどのネズミを顎で保持した一方、マムシは全てのネズミに対して、咬みついて毒を注入したあと、一旦放して毒が回るのを待つ行動を取るなどの種間での違いが見られた。さらにマムシは、大きいネズミほど咬みつく回数を増やすことが明らかになった。こうした捕食行動の違いは、野外においてヒメハブがカエルを主食とする一方、マムシはより高い頻度でネズミも捕食するという、食性の差に起因する可能性がある。

第3章では、マムシの野外食性の中で唯一の無脊椎動物であるムカデに対して、マムシの毒がどの程度の効果をもつのかを調べた。その結果、マムシの毒はネズミやカエルといった他の餌と比べてムカデに対しては効果が非常に低いことが明らかになった。この結果は、餌となる動物に対して強い毒性を進化させると一般に言われるマムシ類においても、主要な餌と生理的機構が大きく異なる餌に対しては強い毒性が進化しにくいことを示唆している。

第4章では、マムシが他の餌とは異質なムカデをどのように認知し、捕食するのかを調べるため、化学刺激に対する嗜好性実験と対面実験をおこなった。その結果、マムシはムカデの体表の化学刺激や通常時のムカデにはほとんど反応せず、マムシのムカデ食が誘発されるには特定の条件が必要であることがわかった。すなわち、ストレス状態のムカデやその死体には比較的よく反応するという結果が得られ、マムシにとって潜在的に危険な餌であるムカデに対して、よりリスクの少ない捕食行動が発達している可能性が示唆された。

以上の研究により、幅広い分類群の動物を餌とするマムシにおいて、それぞれの餌に対応した餌認知方法や捕食行動が見られることが確認された。今後、マムシの広食者としての形質の進化をより深く理解するためには、今回調査した以外の分類群の餌に対する行動や、マムシと食性の異なる様々な近縁種との比較が必要である。

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