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大学・研究所にある論文を検索できる 「ガラクトフラノース特異的な微生物由来エキソ-β-D-ガラクトフラノシダーゼの同定および諸性質の解析」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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ガラクトフラノース特異的な微生物由来エキソ-β-D-ガラクトフラノシダーゼの同定および諸性質の解析

松永, 恵美子 MATSUNAGA, Emiko マツナガ, エミコ 九州大学

2021.03.24

概要

自然界には様々な糖が存在しており、そのうちの1つにガラクトースの五員環糖であるガラクトフラノース(Galf)がある。Galfは細菌・真菌や線虫が生産する多糖や複合糖鎖中に含まれているが、植物や哺乳類の糖鎖中には存在しない。そのため、Galf含有糖鎖はヒトに対して強い抗原性を示す。β-D-ガラクトフラノシダーゼ(Galf-ase)は、Galfのグリコシド結合を加水分解し、Galf含有糖鎖の機能および構造解析を行うための重要な酵素である。本酵素はこれまでに、糸状菌の培養上清中に酵素活性が存在することが報告されていたが、本酵素をコードする遺伝子の同定など詳細な解析は行われていなかった。そこで本研究では微生物のGalf特異的なGalf-ase遺伝子の探索を行い、その諸性質について解析を行った。

1) 培養液中にGalf-ase活性を有する土壌細菌の探索
 新たにGalf-ase活性を有する微生物を取得するため、土壌より単離した細菌の培養上清について、Galf-ase活性をパラニトロフェニル(pNP)-β-Galfを基質に用いて測定した。その結果、3株の細菌(JHA26,JHA19,EMA216)の培養上清中からGalf-ase活性が検出された。単離した細菌について16SrRNA解析を行ったところ、3株ともStreptomyces属の放線菌であることがわかった。

2) Streptomyces sp. JHA19株のGalf-ase遺伝子の同定および酵素学的諸性質の解析
 単離したGalf-ase生産放線菌3株のうち、JHA19株の全ゲノム塩基配列の決定を試みた。その結果、本菌のゲノム中には7,091の推定遺伝子が存在した。推定グリコシダーゼ遺伝子の中から機能未知の4遺伝子を選抜して、各遺伝子をPCRで増幅させて大腸菌ベクターに組み込んだ。大腸菌内で発現・精製後、Galf-ase活性を測定したところ、ORF1110のみがGalf-ase活性を示すことがわかった。さらに各種pNP化基質を用いて活性を測定したところ、ORF1110はGalf特異的に活性を示す新奇な酵素であることがわかった。本酵素はGlycoside Hydrolase(GH)ファミリー2に属し、至適pHはpH5.5、pNP-Galfに対するKm、Vmaxはそれぞれ4.4mM、0.35mM/minであった。さらに、Aspergillus fumigatus細胞壁から調製したガラクトマンナン(GM)に本酵素を作用させたところ、ガラクトース単糖が遊離したことから、本酵素は天然基質であるGMにも作用するエキソ型の酵素であることがわかった。

3) Streptomyces sp. JHA26株のGalf-ase遺伝子の同定と諸性質の解析
 次にJHA26株の全ゲノム塩基配列を決定し、6,748の推定遺伝子の中から、GH2ファミリーに属する酵素を探索した結果、1遺伝子(ORF0643)存在することがわかった。本遺伝子をJHA19株ORF1110と同様に大腸菌で発現・精製を行い、諸性質の解析を行った。本酵素の至適pHはpH4.5、pNP-Galfに対するKm、Vmaxはそれぞれ6.8mM、0.52mM/minであった。JHA26株のORF0643はJHA26株のORF1110と異なり、N末端付近にPA14機能未知ドメインを持つ。PA14ドメインを削除するとpNP-Galfに対する酵素活性は変化しないが、天然基質であるGMに対する分解活性が低下することがわかり、ORF0643のPA14ドメインは多糖基質の認識に関与することが示唆された。

4) Aspergillus属のGalf-ase遺伝子の同定並びに機能解析
 Streptomyces sp.由来Galf-aseのアミノ酸配列情報をもとに、Aspergillus属糸状菌のGalf-ase遺伝子の探索を行った。その結果、A. nidulansゲノム中には2つのホモログAN2395(GfgA)およびAN3200(GfgB)が存在した。大腸菌で発現・精製したGfgA、GfgB両酵素はいずれもGalf特異的なGalf-aseであることが明らかになった。両酵素の基質特異性について調べた結果、GfgAはβ-(1,6)結合のGalfオリゴ糖に、GfgBはβ-(1,5)結合のオリゴ糖に作用しやすいことがわかった。さらに、GfgA、GfgBと相同性の高いA. fumigatusのGalf-ase遺伝子の探索を行った結果、1遺伝子(Afu2g14520)存在した。その酵素活性を調べた結果、Galf-ase活性は示すがα-L-アラビノフラノシダーゼ活性の方が約2倍高いことがわかり、同じGH2ファミリーの相同性の高い酵素であっても、すべてがGalf特異的なGalf-aseではないことが示された。

 以上、本研究によりこれまで報告のなかったGalf特異的なエキソ型の-D-Galf-aseを初めて同定し、その酵素学的諸性質を明らかにすることができた。

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