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大学・研究所にある論文を検索できる 「A Study on Rice Production Efficiency and Sustainable Farming in the Vietnamese Mekong Delta」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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A Study on Rice Production Efficiency and Sustainable Farming in the Vietnamese Mekong Delta

Le, Canh Bich Tho 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23964

2022.03.23

概要

米生産セクターはベトナム農業の中で重要な位置を占めている。2021-2030年に向けたベトナム米生産セクターの構造改革の中で、ベトナム政府は効率的生産と持続可能な開発を引き続きターゲットとして掲げている。2000年以降、ベトナムにおける米生産拠点であるメコンデルタ地域では、米の輸出拡大を目指した増産政策により集約的農業が推進され、化学肥料や農薬の過剰利用をもたらした。その結果、地域のコメ生産は低効率性、過度の資源利用、環境汚染等の問題に直面している。そのため、メコンデルタにおける米生産の投入要素管理と持続可能な農業戦略のための基礎的な情報として、米の生産効率性について研究することが喫緊の問題となっている。

本論文の目的は、米生産の効率性を計測し、影響を与える要因を分析することによって、メコンデルタにおける持続的稲作農業への示唆を与えることである。加えて、環境変動対応型プログラムが農家の経済パフォーマンスへ与える影響と、米作生産の効率性向上によって地球温暖化ガス排出に与える影響を検討する。

第一章では、メコンデルタの米生産と集約的農業がもたらした環境問題等を明らかにし、持続的農業生産のための課題を設定し、本論文の目的と構成を述べた。

第二章では、ベトナムおよびメコンデルタ地域の米生産セクターの概況を説明し、肥料の過剰投入による環境問題の現況を概観した。これらの背景から政府と国際機関が実施する気候変動対応型Climate Smart Agriculture (CSA) プログラムである「LargeField Model (LFM)」、「Three Reduction, Three Gains (3R3G)」、 「One Must Do, FiveReductions (1M5R)」等の概要を説明した。

第三章では、ベトナム世帯状況調査2016-Vietnam Households Living Standard Survey(VHLSS) 2016 」データを用い、農地の規模 との関係から、包絡分析法 (DataEnvelopment Analysis)の中でもスラックを分析可能なSBMモデル(slack-based measure)を応用してメコンデルタ稲作農家の生産効率性を分析した。結果として、小規模農家の効率性は低く、肥料等に多くのスラック(過剰利用)が存在していることから規模拡大による効率性の向上と肥料低減の可能性を示唆した。この分析から、効率的生産に移行することにより種子コストを28 USD/ha, 農薬を 61 USD/ha, 肥料を155kg/ha 削減することが可能であることを示した。

第四章では、メコンデルタ地域で政府と国際機関が推進する気候変動対応型農業プログラムである1M5Rが小規模農家の経済パフォーマンスへ与えた影響を評価した。傾向スコアマッチング(propensity score matching)を使い、「Market Oriented SmallholderValue Chains (MSVC)」調査データから農民による1M5Rの技術パッケージの導入により生産コストの10%低下、手取り価格の4.5%上昇、収益の10%向上、投資利益率(ROI)の22%増加が見られたことを示した。

第五章では、米品種グループによる生産効率性の違いを分析することを目的に、380世帯のMSVC農家世帯調査データを基に米生産効率性と投入量スラック(過剰投入)をスーパー効率性DEA分析(super-efficiency DEA measure)で分析し、肥料の削減による米品種ごとの温暖化ガス(GHG)排出削減可能量を計測した。主な結果として、特に輸出用米である香り米、高品質米は生産効率性が高くスラックが少ないため、温暖化ガスと水資源の削減に貢献していることを示した。

第六章では、論文の主な結論と議論、政策提言を行った。農民に農地の規模拡大を推奨することは、生産効率性の向上につながり、また化学肥料の削減による環境改善にも貢献する。特に政府は、ベトナムメコンデルタ地域の持続的稲作生産のために、気候変動対応型大規模農業プログラムをモニターし、地域に特化したプログラムの策定に対してさらに積極的な役割を果たす必要がある。

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