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大学・研究所にある論文を検索できる 「Expression and functional role of sclerostin in the fibrocartilaginous enthesis」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Expression and functional role of sclerostin in the fibrocartilaginous enthesis

池田 和隆 広島大学

2022.03.23

概要

【背景】
軟骨は、組織学的には、硝子軟骨、線維軟骨、弾性軟骨の3種類に分類される。軟骨性骨原基や関節軟骨は、Type II collagenとAggrecanなどを豊富に含む。一方、Type II collagenだけでなくType I collagenを発現する線維軟骨は、椎間板、顎関節の関節円板、半月板、腱・籾帯の骨への付着部であるエンテーシスなどに存在し、可動性の大きな滑膜関節を覆う硝子軟骨と同様、硬組織連結には欠かせない組織である。線維軟骨は、腱・籾帯などの密性線維組織と硝子軟骨との中間的な組織で、腱・籾帯と骨の連結を橋渡しする役割を果たしている。椎間板、関節円板、半月板は、胚発生の過程で形成されるが、エンテーシスでは、生後、硝子軟骨が骨へ置換される過程で、力学的負荷に応答するように線維軟骨が形成される。最終的には、骨・石灰化線維軟骨・非石灰化線維軟骨・腱/籾帯という4層構造が構築される。エンテーシス原基は、Scx+/Sox9+前駆細胞に由来し、発生過程で、腱・籾帯と硝子軟骨の連結部として形成される。関節軟骨以外の硝子軟骨では、肥大化・石灰化すると血管が侵入し骨へ置換されるが、石灰化線維軟骨は無血管に保たれ、骨へリモデリングされない。線維軟骨性エンテーシスにおける組織統合性は、内因性因子と腱から伝わる機械的刺激によって協調的に制御されていると考えられているが、その分子メカニズムは明らかにされていない。本研究では、骨細胞で発現し骨形成を抑制するスクレロスチンが、石灰化線維軟骨でも発現していることを新たに見出したので、アキレス腱のエンテーシスにおけるその機能的役割を、遺伝子改変動物を駆使して明らかにすることを目指した。

【方法】
エンテーシスの解析には、野生型、ScxGFP transgenicマウス、Sex欠矢マウス、Platinum TALENを用いて作製したSost欠失マウスを用いた。Sox9CreERT2 knock-in(KI)マウスとRosaTomatoマクスを交配して得られたSox9CreERT2/+;RosaTomatoマウスを用い、系譜解析を行うために、4-ヒドロキシタモキシフェンを投与した。これらのマウスを、4%PFA/PBSあるいは20%Sucroseを含む4%PFA/PBSで灌流後、アキレス腱付着部位を固定し、非脱灰標本はSCMで、Morse液によって脱灰した標本はパラフィンで包埋した。非脱灰標本は、クリオスタットでクライオフィルムとタングステンカーバイド刃を用いて、脱灰パラフィン標本は、ミクロトームを用いて薄切した。得られた切片を用いて、トルイジンブルー染色、ALP/アリザリン染色、免疫染色を行った。また、Sost欠失マウスと野生型マウスのμΟΤ画像を元に、3D可視化解析ソフトウヱアAmiraを用いて三次元再構築を行なって、形態要素を可視化した。

【結果と考察】
Wnt及びBMPシグナル伝達経路のantagonistであるスクレロスチンは、石灰化線維軟骨において、オステオカルシンを産生する線維軟骨細胞で発現しており、最終分化した線維軟骨細胞の良いマーカー分子であると考えられた。エンテーシスの非脱灰切片においてメタクロマジーを示す領域とアリザリンで染色される石灰化領域を比較したところ、石灰化線維軟骨層の拡大後、石灰化前線のALP陽性細胞が減少に伴って、非石灰化線維軟骨層が拡大することが明らかになった。免疫染色と系譜解析の結果、スクレロスチン陽性細胞は、Sox9陽性細胞に由来することが示されたが、Sox9の発現は線維軟骨細胞の成熟過程で急速に低下した。アキレス腱の形成不全を呈するSex欠失マウスでは、線維軟骨がほとんど形成されず骨端硝子軟骨細胞の分化も遅延しており、ホモマウスでは野生型マウスで観察されるスクレロスチンの発現が検出されなかった。従って、筋収縮で生じ腱を介して伝達される機械的刺激が、線維軟骨の形成だけでなく骨端硝子軟骨の成熟にも不可欠であると示唆された。ゲノム編集によって作成したSost欠失マウスでは、26塩基欠失によるframeshiftによって中途で翻訳が停止する終止コドンが生じ、ホモマウスではスクレロスチンの局在が消失していた。ホモマウスでは、ALP陽t生細胞の増加に伴って、軟骨下骨の骨化だけでなく線維軟骨の石灰化が亢進していた。以上の結果より、最終分化した石灰化線維軟骨細胞で発現するスクレロスチンは、線維軟骨の石灰化や骨形成の亢進を防ぎ、エンテーシスの組織統合性を維持する役割を果たしていることが示唆された。

【結論】
 本研究によって、スクレロスチンは、軟骨下骨の骨化だけでなく石灰化線維軟骨の石灰化を抑制的に制御することによりエンテーシスの組織統合性を調節していることが示唆された。

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