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大学・研究所にある論文を検索できる 「Effect of CD146 positive stem cells from human exfoliated deciduous teeth on bone regeneration」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Effect of CD146 positive stem cells from human exfoliated deciduous teeth on bone regeneration

力武 航大 広島大学

2022.03.23

概要

【背景および目的】
 口唇裂・ 口蓋裂(CLP)は、頭蓋顎顔面領域において最も高い発症率を示す先天性疾患である。顎裂を有する患者において、顎裂部への腸骨海綿骨移植が広く行われている。しかしながら、腸骨採取時の外科的侵襲は、患者にとって大きな負担となり、腸骨採取後の疼痛等の問題が伴う。そのため、低侵襲で顎裂部骨再生を達成しうる手段として、間葉系幹細胞(MSCs)を用いた骨再生医療の応用が期待されている。我々の研究グループでは、腸骨採取に伴う侵襲を低減しながら骨再生を達成する方法として、以前より歯髄由来MSCsに着目し、検証を重ねてきた。これまでの検討より、頭蓋骨骨欠損免疫不全マウスにおいて、ヒト乳歯歯髄由来間葉系幹細胞(SHED)移植は、骨髄由来MSCs ( BMSCs) 移植と同程度の骨再生能を有することを解明した。 以上の結果より、SHEDの顎裂部骨再生治療に対する有効な細胞源であることが示唆されるものの、歯髄組織におけるどの細胞成分が骨再生誘導に関与しているかについて、解明されていない。

 近年、再生医療分野において、MSCsの表面抗原に関する研究が盛んに行われている。MSCsが有する表面抗原の一つであるCD146はMSCsの骨再生能に影響を及ぼす可能性が示唆されている。しかしながら、SHEDに含まれるCD146陽性細胞が骨再生に及ぼす影響については明らかとなっていない。以上の背景より、本研究では、SHEDにおける骨再生に有用な細胞集団を解明するため.SHEDの表面抗原CD146が骨再生能に及ぼす影響について検討することとした。

【試料および方法】
 実験1:当院に来院された患者の抜去乳歯歯髄からSHEDを単離・培養後、フローサイトメトリーを行い、CD146およびMSCsマーカーについて解析を行った。また、CD146に基づいてセルソーティングを行い、CD146+SHED、CD146⁻SHEDを単離・培養した。次に、免疫不全マウス (BALB/c-nu)の頭蓋骨に5 mmの骨欠損を作製し、アテロコラーゲンを担体として、セルソーティングを行っていないSHED、CD146+SHED、およびCD146⁻SHEDをBALB/c-nuの骨欠損部へ移植した。移植後0、4、8週間後にμ(2Τを撮影し、移植部位の三次元画像構築と骨再生率の算出を行った。また、移植8週間後に移植部位の組織切片を作製し、ヘマトキシリンエオジン (Η&Ε)染色およびマッソントリクローム(ΜΤ)染色を行い、成熟骨を評価した。さらに、骨形成因子であるALPの発現について免疫組織染色を行った。そして、VEGFおよびCD31の発現について免疫組織染色を行い、組織内の血管新生についても検討した。

 実験2: CD146が細胞増殖能に及ぼす影響を調べるため、SHED、CD146⁺SHED、CD146⁻SHEDを培養し、BrdU assayおよび倍加時間の算出を行った。また、骨分化能について比較するため、骨分化誘導開始21日目にALP染色にて評価するとともに、ALPタンパク質発現量について検討した。そして、骨分化誘導開始28日目において、Alizarin red染色を行い、石灰化沈着物の発現について評価を行った。また、骨分化誘導開始0、21および28日目に、RT-PCRを行い、骨分化マーカーであるALP、BMP-2、およびOCNの遺伝子発現について解析を行った。さらに、血管新生能を比較するため、SHED、CD146+SHED、CD146⁻SHEDをヒト臍帯静脈内皮細胞 (HUVEC)と共培養し、管腔形成能について検討した。また、SHED、CD146+SHED、CD146⁺SHEDについてRT-PCRを行い、血管新生マーカーであるVEGF、VEGFR2. bFGF、CD31の遺伝子発現について解析した。

【結果】
 実験1:フローサイトメトリー解析において、表面抗原CD146を有する細胞は、ヘテロなSHED細胞集団全体の約70.9%であった。また、MSCsポジティブマーカーであるCD73、CD90、およびCD105の表面抗原発現率は、100%に近い値を示した。動物による検討では、移植8週間後のCTにおいて、CD146+群は、SHEDおよびCD146 SHEDの群と比較して、有意に高い骨再生率を示した。H&E染色およびMT染色による評価では、CD146+群において、著しい骨再生組織像が観察された。VEGF-A. ALP免疫染色において、移植部位のうち、発現領域が示す割合はCD146+群で最も高い値を示した。また、CD31免疫染色において、陽性血管数を比較したところ、CD146+群とSHED群は、CD146⁻群と比較して、有意な血管数の増加が認められた。

 実験2 : SHED、CD146+SHED、CD146⁻SHEDにおいて、細胞増殖能の有意な差を認めなかった。ALP染色およびAlizarin red染色では、CD146+SHED群はSHED群、CD146SHED群と比較して、高い骨分化能を示した。骨分化マーカーの遺伝子発現は、0日目には三群間に有意な差を認めなかったものの、骨分化誘導開始21および28日目において、CD146+SHED群は、SHED群およびCD146SHED群と比較して、ALP、BMP-2、OCNの有意な遺伝子発現の増加が認められた。HUVECとの共培養による管腔形成の検討では、CD146+SHED群およびSHED群は、 CD146SHED群と比較して、有意な管腔形成の増加が認められた。さらに、CD146+SHED群は、 SHED群およびCD146⁻SHED群と比較して、VEGF、VEGFR2. bFGF、CD31の有意な遺伝子発 現の増加が認められた。

【結論】
 以上の結果から、CD146+SHEDは、SHEDおよびCD 146⁻SHEDと比較して、高い骨分化能、血管新生能を有することが示された。CD146を発現するSHEDは、骨再生治療に有用な細胞集団である可能性が示唆された。

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