Risk of Herpes Zoster in Relation to Body Mass Index Among Residents Aged ≥ 50 Years: The Shozu Herpes Zoster Study
概要
〔目 的(Purpose)〕
SHEZ Studyは、日本における水痘ワクチンの適応拡大のためのエビデンス収集の一環として、帯状疱疹の発症率と危険因子の分析を目的とした香川県小豆郡での前向きコホート研究である。BMIは様々な健康リスクと関連があるが帯状疱疹の発症率に与える影響の検討はほとんどなされていない。そこで本研究において、ベースライン時のBMIと帯状疱疹の有病率および3年間の追跡調査における発症率との関連性を検討した。
〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
帯状疱疹は主に高齢者に発症するため、香川県小豆郡の住民国勢調査人口33,782人(2008.7.1)のうち50歳以上19,058人中65.7%の12,522人(男性5,587人、女性6,935人)を本研究に登録した。このうち、BMIデータのない211人(男性95人、女性116人)を本調査から除外し、ベースライン時の横断的解析対象者(12,311人)とした。そのうち帯状疱疹既往歴のある1,818人を除外し縦断的解析対象者(10,493人)とした。BMI(kg/m2)を3つのカテゴリー(低体重<18.5、正常18.5~25、25以上の過体重)に分類した。ベースライン時の帯状疱疹の有病率に関する横断分析では、帯状疱疹のリスクを評価するためにロジスティック回帰分析を行った。基準群は正常体重群とし、オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を推定し、年齢および性を調整した後に、BMIカテゴリーと帯状疱疹既往歴との関連を検討した。続いて喫煙、飲酒、運動習慣、歩行時間、睡眠時間、精神的ストレス、思考傾向、糖尿病の既往、自己免疫疾患の既往、水痘の既往などの交絡変数を調整し、解析を行った。その結果、BMIと帯状疱疹の有病率との間に関連はみられなかった。帯状疱疹の発症率に関する縦断分析ではCox比例ハザード回帰モデルを用いて、横断分析と同じ変数で調整し、BMI区分別の帯状疱疹発症率のハザード比(HR)と95%CIを求めた。正常体重群に比べて過体重群の帯状疱疹発症率の多変量ハザード比(95%信頼区間)は、男女で0.67(0.51-0.90)、女性で0.57(0.39-0.83)、男性で0.86(0.55–1.34)であった。先行研究で、CD4+数およびCD4+/CD8+比が特に女性ではBMIと正の相関があることが認められており、細胞性免疫を介して過体重群が正常体重群に比べて発症率が低下した可能性が考えられる。
〔総 括(Conclusion)〕
大規模な集団ベースの研究(SHEZ Study)において、過体重は正常体重と比べてHZの発症率が低く、その関連性は女性で明らかであった。過体重がHZ発症率の低下に及ぼす影響に関して、さらなる研究が必要である。