周期構造を取り込んだ深層確率時系列モデル
概要
近年,デジタル化の進展に伴い,様々な時系列データが収集,活用されるようになった.そのため,時系列データに対する統計的モデリングの重要性が高まっている.時系列データに対して,これまで用いられてきた統計モデルを総称して古典的な時系列モデルと呼ぶ.古典的な時系列モデルは周期構造や,外部要因といったデータの特徴に合わせてモデル化できるため,モデルの解釈性に優れている.しかし,古典的な時系列モデルは高次元データやビッグデータに対して,各成分を関連付けながら同時にモデル化できない,分析者がデータから読み取れることしかモデル化できないという2つの欠点がある.対して,多層のニューラルネットを用いた機械学習の方法論である深層学習を用いると,この課題を解決できる.しかし,深層学習はブラックボックス化して出力するため,分析者は結果を解釈することが難しい.
そこで近年,古典的な時系列モデルをベースに,深層学習を用いるモデルが多く提案されている.このモデルを総称して,深層確率時系列モデル(Deep Stochastic Time Series Model)と呼ぶ.深層確率時系列モデルは上記の2つよりもモデルが柔軟で,予測の精度が高い.また,深層学習に比べてモデルの解釈性が上がっている.