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Parameter Distribution Estimation for Physical Models by Bayesian Inference

片上, 舜 東京大学 DOI:10.15083/0002006642

2023.03.24

概要

論文審査の結果の要旨
氏名

片上



科学観測・計測技術の発達により観測データの多様化・大規模化・高次元化が進んでい
る。このことに伴い、データから観測対象に関する情報を抽出することが困難になってい
る。手動での処理が含まれる解析では、大規模化したデータ全てに含まれる情報を十分に
活かすことができない。また、データの複雑化に呼応して解析に用いられるモデルも複雑
化し、その妥当性を吟味する必要性が生まれる。さらに、物理量として解釈される複雑化
したモデルのパラメータに対しては推定精度の評価が必須である。
本論文は、こうした問題を解決するための手法基盤をベイズ推論の枠組みにもとづいて
整備することを目的とし、全5章から構成されている。第1章は、イントロダクションで
あり、以降の章で必要となる前提知識を導入している。
第2章では、分散関係データからの物理パラメータの推定について述べられている。ま
ず、格子振動に由来するフォノンの分散関係は中性子非弾性散乱実験によって計測でき
るが、従来、この計測にもとづいたパラメータの推定は、主に2次元の情報に加工された
データにもとづいていたと指摘している。その上で、本研究ではデータの加工による情報
の損失を抑えるため、計測により得られる4次元のイベントデータから直接パラメータ
を推定する方法をベイズ推論にもとづいて提案している。また、先行研究ではノイズモデ
ルとしてガウス過程を仮定していたが、本研究では、少数イベントの記述により適したポ
アソン過程を採用している。シミュレーションデータに適用することにより、結晶弾性率
の推定に関し、観測時間が短い状況において、提案法は先行研究と比較して推定精度およ
び信頼度の観点で格段に優れていることを示している。このことにもとづき、パラメータ
推定におけるモデル設計の重要性を主張している。
第3章では、ガウスマルコフ確率場(GMRF)にもとづいた画像データからのパラメー
タ推定について述べられている。まず、自然科学のさまざまな分野において、近年、画像
形式でデータが取得されるようになり、画像処理が重要なデータ解析手法となっている
ことを指摘している。その上で、画像の滑らかさにもとづいた基本的確率モデルである
GMRF に焦点を当てている。先行研究では、画像データが周期的境界条件を満たすとい
う仮定のもとでハイパーパラメータの事後分布に関する解析的な表現を得ているが一般
の画像データはこうした仮定は満たさない。そこで、本研究では、自由境界条件のもとで
ハイパーパラメータの事後分布に関する解析的な表現を導出している。1次元ならびに
2次元のシミュレーションデータに適用することにより、提案法は境界条件の影響を受
けず事後分布を低計算量で適切に推論できることを示している。
第4章では、ハイパーパラメータに関する事後分布推定へのガウス過程回帰とベイズ
最適化の応用について述べられている。データから科学的な知見を得る際には、尤もらし
い推定値を求めることに加えて、その信頼性を評価することが必要である。ベイズ推論で

は事後分布の形でこの要請に応えるが、一般にハイパーパラメータに関する事後分布の
評価は計算量的負荷が高く、多くの場合実行が困難になる。この問題に対し、本研究では
ガウス過程回帰と呼ばれるノンパラメトリックな回帰手法を適用することで少ない評価
点から事後分布全体の形状を高い精度で推定する方法を提案している。提案手法の有効
性は第3章で取り上げた2次元のシミュレーションデータに適用することにより確認し
ている。また、ベイズ最適化とよばれる能動的な最適点探索手法を利用することで、ラン
ダムに評価点を選択する場合よりも少ない評価回数で最適点ならびに事後分布の推定が
可能になることを示している。
第5章は本論文で得られた成果をまとめるとともに今後の展望について述べている。
以上を要するに、本論文は、多様化・大規模化・高次元化に伴い困難さが増している観
測データからの情報抽出に対して、ベイズ推論の枠組みにもとづいて実践的な解析手法
を与えている。具体的課題として取り上げている分散関係データおよび画像データから
の物理パラメータの推定は自然科学のさまざまな分野で使われており、理学上貢献する
ところが大きい。
なお、本論文第2章は、坂本浩隆氏・永田賢二氏・有馬孝尚氏・岡田真人氏、第3章は、
坂本浩隆氏・村田伸氏・岡田真人氏、第4章は、坂本浩隆氏・岡田真人氏との共同研究で
あるが、論文提出者が主体となって分析及び検証を行ったもので、論文提出者の寄与が十
分であると判断する。
したがって、博士(理学)の学位を授与できると認める。

参考文献

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