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大学・研究所にある論文を検索できる 「原発性膠芽腫におけるTERTプロモーター領域遺伝子変異の臨床的・病理学的意義」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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原発性膠芽腫におけるTERTプロモーター領域遺伝子変異の臨床的・病理学的意義

菊地 善彰 山形大学

2021.03.31

概要

背景:膠芽腫は成人の大脳半球に好発する極めて予後不良の原発性脳腫瘍であり、摘出術と放射線化学療法を組み合わせた集学的治療が行われるが、平均生存期間は約1年半に過ぎない。膠芽腫の発生に関与する遺伝子異常は多数報告されているが、近年、テロメラーゼ逆転写酵素遺伝子のプロモーター領域(TERTp)の点突然変異が膠芽腫の70-80%に認められることが報告され注目されている。TERTp変異はTERTの発現を亢進させ、テロメラーゼを活性化させることにより、腫瘍細胞の不死化をもたらすと考えられているが、治療反応性や予後との関連等の臨床的意義に関する報告はほとんどない。今回、膠芽腫患者におけるTERTp変異の有無と既知の予後因子との関連、画像所見、分子生物学的な特徴の差異につき統合的に解析を行い、TERTp遺伝子変異の臨床的・病理学的意義について検討を行った。

対象と方法:2009年1月1日~2019年10月31日に山形大学および東北大学医学部脳神経外科にて治療を行い、病理組織診断にて膠芽腫と診断された計153例を対象とした。IDH1変異及びH3F3A変異のあった6例を除外したIDH野生型膠芽腫147例につき、解析を行った。TERTp変異の有無については凍結標本DNAからサンガ-シークエンス法、MGMTプロモーター領域(MGMTp)のメチル化の有無についてはメチル化特異的PCR法を用いてそれぞれ判定を行い、併せて臨床的予後因子(年齢、性別、KPS、腫瘍摘出度、無増悪生存期間、全生存期間)及び免疫組織学的染色(Ki67 labelling index、CD133発現率、ATRX変異、p53変異)、遺伝子コピー数異常(PDGFRA、EGFR、CDKN2A、PTEN、TP53、CDK4、MDM2、NFKBIA)をMLPA法で解析し、TERTp変異との関連を統合的に解析した。MRIによる画像的特徴として脳室への浸潤の有無と、再発形式を解析し、初発時から多発性であった腫瘍及び経過中に遠隔再発を来した症例はmultifocal/distant phenotypeと定義した。

結果:TERTp遺伝子変異を認めた症例は92例(62.6%)、野生型の症例は55例(37.4%)であった。変異型の症例は野生型に比して、無増悪生存期間(中央値7ヵ月 vs. 10ヵ月 p=0.015)、全生存期間(中央値16か月 vs. 24ヵ月 p=0.017)いずれも予後不良であり、多変量解析にても変異型は独立した予後不良因子であった。TERTp変異型はMGMTp非メチル化の症例で特に予後不良であったが、TERTp野生型ではMGMTpメチル化の有無で予後に差は認めなかった。multifocal/distant phenotypeは変異型に有意に多く認められ(p=0.004)、変異型の浸潤度の高さを反映していると考えられた。遺伝子コピー数異常に関しては、変異型にはEGFR増幅/増加、CDKN2A欠失、PTEN欠失が、野生型にはPDGFR増幅/増加、CDK4増加、TP53欠失が有意に多く認められ、変異型と野生型では分子生物学的異常に明瞭な差異が認められた。

結論:原発性膠芽腫において、TERTp変異型はmultifocal/distant phenotypeが有意に多く、独立した予後不良因子であった。TERTp変異型と野生型は臨床的にも分子生物学的にも明確に異なるサブタイプであり、TERTp変異の有無は膠芽腫の診断や治療において有用なマーカーになると考えられた。

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