書き出し
Heterogenous chemosensitivity of a panel of organoid lines derived from small cell neuroendocrine carcinoma of the uterine cervix
概要
〔目 的(Purpose)〕
子宮頸部小細胞癌は予後不良な疾患であるが、現時点では確立した治療法がない。稀な疾患であるために、疾患モデルも乏しく、研究開発が進んでいない。そこでがん初代三次元培獲法であるCancer Tissue-Originated Spheroid(CTOS)法を用いて、培養パネルを構築し、臨床で用いられている様々な薬剤の感受性を評価した。
〔方 法(Methods) 〕
子宮頸部小細胞癌◇例由来のCTOSパネルを作製し、薬剤感受性試験およびマイクロアレイ解析を行い、感受性に関与する遺伝子発現プロファイルを検討した。さらに、イリノテカンの感受性が顕著に高いラインについて、遺伝子・蛋白発現、藥物代謝解析を行い、作用機序を検討した。
〔成 績(Results)〕
解析したすべての薬剤は、患者間で多様な感受性を示した。薬剤感受性と関連する遺伝子プロファイルが抽出された。イリノテカンに極めて感受性の高いCerv54では、細胞内SN38は検出感度以下で、代謝酵素CESの発現・活性は肝臓と比較して著明に低かった。さらにCES阻害剤は感受性に影響しなかった。これらの結果から、Cerv54でのイリノテカンの新しい作用機序の存在が示唆された。
〔総括(Conclusion)〕
CTOSは薬剤感受性の多様性や機序を理解する上で有用であり、抗癌剤の作用機序の解明や開発に寄与する可能性がある。