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大学・研究所にある論文を検索できる 「Evaluation of HPV16 E7 expression in head and neck carcinoma cell lines and clinical specimens」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Evaluation of HPV16 E7 expression in head and neck carcinoma cell lines and clinical specimens

北村, 公二 大阪大学

2021.03.24

概要

〔目的(Purpose)〕
ヒトパピローマウイルス(HPV)16は頭頸部扁平上皮癌、特に中咽頭癌の危険因子の一つである。HPV16のDNAゲノムのうちE6•E7タンパク質は癌抑制遺伝子であるp53やRbタンパク質の機能を抑制することで発癌に関与する。また、p16タンパク質の発現が代償性に亢進することを利用して、臨床ではp16免疫染色がHPV判定の代替マーカーとして用いられている。しかし、p16は直接HPVの発癌メカニズムとは関係しないためHPV-DNAの結果と必ずしも一致しないことが問題点として挙げられる。HPV関連中咽頭癌は治療感受性が良いことや予後良好であることを背最に近年、治療強度を下げたプロトコールで臨床試験が行われており良好な結果が得られている。そのため、HPVを正確に判定するためにp16のような間接的な評価ではなく、E6・E7タンパク質のようなHPV由来のタンパク質で直接的に評価することが望ましい。また、E6•E7タンパク質が発癌に関与するメカニズムはこれまで多くの研究で明らかになってきたが、発癌後もその発現が維持されているかどうかはまだ不明である。そこで我々はHPV16関連頭頸部癌におけるE7タンパク質の発現について検討した。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
まずHPV16関連細胞株内にE7タンパク質が発現しているか検討した。頭頸部癌細胞株としてUM47、UM104を、また子宮頸癌細胞株としてCaskiを使用し、4種類の抗E7抗体を用いてWestern Blottingを行ったところE7タンパク質を検出することはできなかった。また、qRT-PCRでは各細胞株においてE7 mRNAはハウスキーピング遺伝子であるACTB と同等の発現量を認めた。次に抗E7抗体がE7タンパク質を正確に検出できるかどうか検討した。positive controlとしてE7タンパク質を強制発現させた293FT細胞を用いて、同じ4種類の抗E7抗体でWestern Blottingを行ったところ、2種類の抗E7抗体でE7タンパク質を検出することが可能であった。次にこれらの抗E7抗体が細胞内に発現する E7タンパク質を検出できるか検討した。Western Blottingで使用したE7タンパク質を強制発現させた293FT細胞を 用いて蛍光免疫染色を行ったところ、2種類の抗体で細胞内のE7タンパク質を検出することが可能であった。これらの結果から、細胞内でE7タンパク質が十分に発現していればこれらの抗体を用いてE7タンパク質を検出すること が可能であることが分かった。そこで次に中咽頭癌の臨床検体を用いてp16とE7の免疫染色を行った。E7タンパク質はp16陽性かつHPV16DNA陽性の検体においてp16染色領域に一致して検出されたが、p16と比較して発現量は限定的であった。またこれらの結果と一致して、内在性構造をもつE7 mRNAを293FT細胞に強制発現させてもE7タンパク 質はほとんど翻訳されなかった。

〔総括(Conclusion)〕
E7タンパク質はp16陽性かつHPV16DNA陽性臨床検体においてp16染色領域に部分的にしか発現していないことが明らかとなった。HPVは感染細胞に対してp53やRbタンパク質の機能を抑制するだけでなく、NFкBやAKT-mTOR経路の活性化、ヒストン脱アセチル化酵素の機能抑制などエピジェネティクスにも影響を与え癌細胞としての性質に寄与 することが明らかになっている。このように癌の進行に伴い他の要因への依存度が増した結果、E7タンパク質の発現量が低下したのではないかと考えられた。また、中咽頭癌の臨床検体においてE7タンパク質の発現量はp16と比較して限定的であったことから、現時点でE7免疫染色がp16免疫染色に代わりHPV判定の検査法になることは難しいと考えられた。さらに、内在性構造をもつE7 mRNAを強制発現させてもE7タンパク質はほとんど翻訳されなかったことから、mRNAからタンパク質への翻訳過程において制御因子が存在する可能性が示唆された。

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