Overweight and Hypertension in Relation to Chronic Musculoskeletal Pain Among Community-Dwelling Adults : The Circulatory Risk in Communities Study (CIRCS)
概要
〔目的(Purpose)〕
過体重と慢性筋骨格系疼痛との関連が以前より示唆されているが、近年、高血圧が慢性筋常格系疼痛と負の関連を示すことが疫学研究により指摘されつつある。本研究は地域住民を対象に横断研究を行い、過体重と慢性膝痛・腰痛との関連と高血圧によるそれらの効果修飾を調べる。
〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
方法:
40-89歳の地域住民2845名を対象に過体重(BMI25kg/m2以上)と3力月以上続く慢性膝痛・腰痛の有無を調べた。慢性膝痛・腰痛の重症度は生活動作への影鄠の有無により、より重症度の低い膝痛(腰痛)と、より重症度の髙い膝痛(腰痛)に分類した。多項ロジスティック回帰分析を用いて、過体重と膝痛・腰痛(より重症度の低い/髙い)の関連オッズ比(95%信頼区間)を髙血圧(収縮期血圧≧140mniHg and/or拡張期血圧90mmHg and/or降圧薬の使用)の有無別で算出した。調整変数に年齢、性別、地域、低身体活動、喫煙、飲酒、ストレス、抑うつ、職業、膝痛/腰痛合併の有無を用いた。
結果:
より重症度の低い/髙い膝痛はそれぞれ22. 2% ・10.1%、腰痛はそれぞれ29.2% ・10. 0%に認められた。過体重とより重症度の低い/髙い膝痛との多変量調整オッズ比(95%信頼区間)はそれぞれ1.37(1.10-1. 70)、2.19(1. 64-2.92)と有意な関連を認め、これらの関連に高血圧による効果修飾は認めなかった。一方、過体重と腰痛の関連はより重症度の高い腰痛と関連する傾向を認め、高血圧の有無で層別すると多変最調整オッズ比は高血圧群で1.03 (0.72-1. 45)、非高血圧群で1.72(1.09-2.71)と非高血群でのみ有意な関連を認めた。(P for interaction = 0. 046)
〔総括(Conclusion)〕
高血圧は過体重と慢性腰痛の関連を弱める可能性があり、疼痛管理において高血圧の有無に留意する必要がある。