Salt taste perception and blood pressure levels in population-based samples: the Circulatory Risk in Communities Study (CIRCS)
概要
〔目的(Purpose)〕
食塩の過刺摂取は高血圧の大きな原因の一つであり、食塩摂取の多寡には味覚感度が影響している可能性がある。食塩摂取量が異なる秋田と大阪の一般地域住民において塩分味覚感度の現状と、塩分味覚感度と食塩摂取行動並びに血圧値との関連について横断的に検討を行った。
〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
【方法】住民健診受診者30-74歳男女2,642人(秋田:1,254人、大阪1,388人)に対して、塩分含浸ろ紙ソルセイブ (0.1%、0.2% —1.6% : 0.2%毎)を用いて塩分味覚検査を実施した。何かしらの味を感じられる濃度を感知濃度とし、2回連続で塩味を感じたより低い濃度を 認知濃度とした。8つの食塩摂取行動を点数化し、食塩摂取スコアとして定義した。感知・認知濃度をカテゴリー化し、食塩摂取スコア並びに血圧値との関連について、性別、年齢別、地域別に傾向性検定を行った。
【結果】0.1%を感知できた者は、秋田・大阪とも男性約60%、女性約80%であった。最も濃い1.6%の:塩を認知できない者は、秋田・大阪とも男性で約30%、女性では秋田15%、大阪は約20%であった。30-59歳の秋田の男性では感知濃度、認知濃度と食塩摂取スコアとの間に正の関連が認められ、肥満度・喫煙状況・飲酒状況を調整しても感知濃度、認知濃度と収縮期血圧値との間に正の関連が認められた。60-74歳の秋田の男性では、感知濃度と収縮期血圧値、拡張期血圧値に、30-59歳の秋田の女性では、認知濃度と収縮期血圧との間に正の関連が認められ た。
〔総括(Conclusion)〕
食塩摂取量が多い秋田おいて塩分味覚感度と血圧値との関連が認められた。特に秋田の30-59歳の男性において塩分味覚感度と塩分摂取行動・血圧値との関連が認められた。食塩摂取量の多い地域では、保健指導の際に塩分味覚感度を考慮した指導の必要性が示された。