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大学・研究所にある論文を検索できる 「Birth month and mortality in Japan: a population-based prospective cohort study」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Birth month and mortality in Japan: a population-based prospective cohort study

宇治, 敬浩 岐阜大学

2021.12.15

概要

出生月と死亡リスクとの関連について,北半球中緯度地域でのコホート研究では4-6月の出生で成人期における死亡リスクが高く ,10-12月の出生で成人期における死亡リスクが低いとの報告が多い。一方,南半球の研究では出生月と死亡との関係性において,半年のずれが見られる。また,赤道近くの低緯度地域での研究では出生月と死亡リスクとの関係に季節差を認めないとする報告が多い。これらの結果から,胎児期や出生後早期での季節や気候の年内変化が出生月と成人期の死亡リスクとの関係性に影響を及ぼしているのではないかと推測されている。

しかしながら,気候が同じ地域の研究であっても結果が一致しない研究が存在する。成人期死亡に影響を及ぼし,出生月とも関係を有する可能性がある,喫煙歴,アルコール飲酒歴,運動量といった生活習慣や,高血圧,糖尿病といった病歴は,出生月と死亡リスクの関連において交絡因子となり研究結果の不一致に影響しているかもしれないが,これまでの多くの疫学研究ではこれらの因子が十分に考慮されていない。本研究は,日本人一般集団からなるコホートにおいて,これらの生活習慣や病歴を調整因子に加え,出生月と成人期の死亡リスクの関連について検討した。

【対象と方法】
高山スタディは,1992年に日本国岐阜県高山市に在住する35歳以上の住民を対象として開始した前向きコホート研究である。ベースライン調査では,人口統計学的特徴,既往歴,生活習慣に関する質問紙を36, 990名に配布し,31,552名(85.3%)から回答を得た。出生日は住民票から情報を把握し,亡くなられた方の情報は,追跡調査において,総務庁・厚生労働省・法務局からの情報利用許可に基づいて死因や死亡年月日を把握し,高山市における在住や転出については,住民票閲覧の許可を得て確認を行った。1992から2008年までの16年間の追跡期間中に把握した死亡をアウトカムとした。死因は,国際疾病分類(ICD-10)に基づいて,循環器疾患死亡,がん死亡,その他に分額した。

ベースライン時までのがん,脳卒中,虚血性心疾患の既往がなく,日本国内で出生し,質問に回答した,男性13, 262名,女性15, 622名を解析対象とした。対象者を,出生月ごとに12群に分顔し, 1月の出生群を対照として,Cox比例ハザードモデルを用いて,それぞれの出生月の群毎に死亡の相対リスクを算出した。調整変数として解析対象者の性別,年齢,教育年数,婚姻状況,子供数,body mass index,高血圧や糖尿病歴の有無,喫煙歴,アルコール摂取量,運動量をモデルに含めた。本研究は岐阜大学大学院医学系研究科医学研究等倫理審査委員会の承認(承認番号26-277)を得て行われた。

【結果】
1992年9月から2008年10月までの平均追跡期間14.1年で,5, 303名(男性2,881名,女性2, 422名) の全死亡や, 1 , 668 名( 男性770 名, 女性898 名) の循環器疾患死亡, および1 , 606 名( 男性965名,女性641名)のがん死亡が報告された。1月に出生した住民を対照群とし,多変量調整後のハザード比(95%信頼区間)が,全死亡は4月生まれで1.138 (1.006-1.288), 6月生まれで1.169 (1.028-1.329)と死亡の相対リスクが有意に増加,循環器疾患死亡は3月生まれで1.285 (1.056-1.565), 5月生まれで1.293 (1.040-1.608)と死亡の相対リスクが有意に増加していた。がん死亡の相対リスクは群間で有意差はなかった。性別に層化解析した結果,全死亡リスクは4月生まれで男性1.179 (0.996-1.396),女性1.095 (0.912-1.315), 6 月生まれで男性1.246 (1.048-1.481),女性1.082(0. 892-1.313),循環器疾患死亡リスクは3月生まれで男性1.481(1.105-1.983),女性1.097 (0. 840- 1.434), 5 月生まれで男性1.394 (1.007-1.928),女性1.165 (0. 867-1.566)であった。

【考察】
本研究では,4月と6月生まれで,全死亡の死亡リスクの上昇を認め,北半球中緯度の地域での多くの疫学研究の結果と一致した。3月と5月生まれでは,循環器疾患による死亡リスクの上昇を認め,中緯度の地域でのこれまでの3つのコホート研究の結果と類似していた。生活習慣や病歴を調整因子として加えたが,解析結果の推定値に大きな変化はみられなかった。出生時期と死亡の関係は,日照,気候,感染症,食事量供給状況,出生前後の母親の行動が関与しているかもしれない。特に冬季の妊娠期における母親のビタミンD濃度の低下の関与が推測されている。本研究ではビタミンD濃度に影響する日照に関する情報や,在胎週数・出生体重といった妊娠や分娩の情報は入手できなかった。また,本研究は曝露開始である出生月からの追跡はしていないため,ベースラインに至るまでの生存者バイアスの可能性は否定できない。今後,出生期や生涯の早期における曝露因子に焦点をあてたコホート研究が望まれる。

【結論】
出生月は成人期の全死亡および全循環器疾患による死亡リスクと関連することが示された。

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