リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「Management of refractory ascites attenuates muscle mass reduction and improves survival in patients with decompensated cirrhosis」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

Management of refractory ascites attenuates muscle mass reduction and improves survival in patients with decompensated cirrhosis

難波 麻衣子 広島大学

2021.09.17

概要

学位論文全文要約
Management

of refractory

ascites

attenuates

muscle mass reduction and improves survival in
patients with decompensated cirrhosis
(肝硬変患者における難治性腹水の制御はサルコペ
ニアの進行を抑え予後を改善させる)
Journal of Gastroenterology, 55(2):217-226, 2020.

難波

麻衣子

(医歯薬保健学研究科

医歯薬学専攻)

【背景・目的】サルコペニアを有する肝硬変患者の患者の予後は不良である。肝硬変患者
におけるサルコペニアの原因は多様で、BCAA の低下、高アンモニア血症、低テストステ
ロン血症、成長ホルモンの低下、TNF-α、IL-6 等の炎症性サイトカインの上昇、インスリ
ン抵抗性に伴う Akt 活性の減弱などが複合的に関わっていると考えられている。肝硬変患
者においては、栄養療法、運動療法などの介入を行うことが重要であるが、一方で難治性
の腹水は腹満感による食欲不振が栄養状態を悪化させるとともに患者の ADL を低下させて
運動量の低下を招くため、サルコペニアを進行させることが予想される。一方、腹水治療
としては、塩分制限に加え、利尿薬投与をまず行うが、高容量の既存利尿薬は腎機能を悪
化させることが知られており、既存利尿薬抵抗性を認める場合、早期のトルバプタン導入
が推奨されている。今回我々は、難治性腹水に対してトルバプタンを投与した症例を対象
に、その奏功別の筋肉量の変化を評価した。
【方法】2013 年 12 月から 2018 年 7 月までに、当院で難治性腹水に対してトルバプタンを
初回導入し、そのうち開始前及び投与期間中(開始後 3 ヶ月以上あけて)CT を施行した症
例を対象として retrospective に検討した。トルバプタン開始時に肝細胞癌を有していた症
例と、観察期間中に肝移植を施行された症例は除外した。筋肉量の評価法については、CT
の L3 レベルにおける骨格筋の断面積 skeletal muscle area (SMA)で行った。筋肉量の変化
率 ΔSMI/年(%)は、以下のように算出した。:
ΔSMI(%) = ( 最終 CT の SMI– 開始前 CT の SMI / 開始前 CT の SMI ) × 100 / 期間(年)
トルバプタン開始後、臨床的に腹水や浮腫が制御できており、トルバプタン導入後 3 ヶ月
以上あけて撮像した CT にて腹水が消失した症例を奏功例と定義し、奏功の有無別に筋肉量
の変化率を比較した。
【成績】
対象者は全部で 42 例であった。年齢中央値 71 歳、
男性 23 例/女性 19 例、
Child-Pugh
分類 B32 例/C10 例。主要な検査項目の中央値は、血小板数 10.4 万/μl、アルブミン 2.85
mg/dl、BUN 20.4 mg/dl、Cre 1.0 mg/dl、トルバプタン開始時のフロセミド投与量中央値 20
mg/dl、スピロノラクトン投与量中央値 25 mg/dl、観察期間中央値は 22.7 ヶ月であった。
トルバプタンの奏功 27 例、無効 17 例で奏功率は 64%であった。トルバプタンの反応に寄
与する因子は、血小板数≧10 万/ μl(オッズ比 26.971、95%信頼区間: 2.318-313.876、p=
0.009)
、フロセミド投与量 >20mg/ day(オッズ比 0.029、95%信頼区間 0.002-0.393、
p=0.008)であった。患者背景別にみた ΔSMI(%)は、トルバプタン奏功群は無効群より
も明らかに筋肉量を維持できており(p<0.001)
、性別、年齢、肝予備能、トルバプタン開
始時の筋肉量の有無、フロセミド投与量別で差はなかった。しかしながら、利尿薬と ΔSMI
(%)の相関を見てみると、フロセミドと ΔSMI(%)の間に負の相関を認めた。スピロノ
ラクトンとの間には相関は認めなかった。筋肉量の増加[ΔSMI(%)≧0]に寄与する因子を
多変量解析で検討したところ、トルバプタンの奏功のみが抽出された(オッズ比 20.364、
95%信頼区間: 2.327-178.97、p=0.006)
。トルバプタン奏功別のアルブミン値の変化では、
奏功群では明らかにアルブミン値が上昇し(p=0.006)、無効群では低下する傾向を認めた。

また、奏功群は累積生存率が有意に良好であった(p=0.0107)
。予後に関連する因子を多変
量解析で検討したところ、トルバプタンの奏功のみが抽出された(ハザード比 3.884、95%
信頼区間: 1.264-11.931、p=0.018)

【考案】トルバプタン奏功例では、腹部膨満感が軽減するため、栄養状態の改善と運動量
の増加を介して、サルコペニアの進行が抑制された可能性がある。また、高容量のループ
利尿薬は腎機能障害や筋肉量低下を引き起こすと言われている。今回、トルバプタンが奏
功によりループ利尿薬の使用を減少させることができたことでサルコペニアの進行を抑制
できた可能性もあると考えた。
【結語】非代償期の肝硬変患者では、難治性腹水をコントロールすることでサルコペニア
の進行を抑制し、予後を改善できる可能性がある。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る