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大学・研究所にある論文を検索できる 「Research on Adoption of Sustainable Agriculture Practices of Smallholder Farmers in the Northwest and Southern China」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Research on Adoption of Sustainable Agriculture Practices of Smallholder Farmers in the Northwest and Southern China

農, 一鑫 東京大学 DOI:10.15083/0002006899

2023.03.24

概要























一鑫

本論文は持続可能な農作方式(SAPs)に対する小規模農家の意識に関する研究であり、
中国西北地域(甘粛省)と西南地域(広西省と雲南省)での農家調査を通じて、農家の SAPs
への採用意識を明らかにし、西北及び西南地域における地域性と具体的な生産方式と技
術の組み合わせを解明している。また、SAPs 採用を長期化するための農家へのトレー
ニングや政策介入(補助金)の導入方法も検討し農家の意識決定の段階別の政策対応と
生産方式の組み合わせを示唆している。本研究は小規模農家が大多数を占める中国農業
の持続的な発展、農家の持続的な生産方式や技術などの採用を促進するために有意な政
策インプリケーションを与えている。
具体的に本論文は8つの章から構成され、第1章は研究背景、問題意識等を概説し、
中国において化学肥料や農薬等の多投入による農業生産環境の劣化が問題視されてい
る点、持続可能な生産方式への転換が重要視されている点、一方で農業生産の実施主体
である小規模農家は持続可能な生産方式の採用に消極的であることを解説している。本
研究はこの矛盾に焦点を当て、①環境問題が深刻化している甘粛省において穀物及び換
金作物農家の SAPs 採用意識と行動の解明、②経済発展が遅れている西南部の農家を対
象に、カバークロップへの採用意識と行動の解明を目的としている。
第2章では、研究課題に合わせ、文献レビューを展開している。技術採用と行動分析
に関する研究をレビューし、カバークロップ、間作と輪作、環境保全型耕作等の実証研
究を中心にレビューを行い、本研究のコンセプトと分析のフレームワークを示している。
第3章から第5章まで本研究の主要研究対象地域である甘粛省の小規模農家への調
査データをもとに SAPs に関する分析を行っている。第3章では土壌浸食など多くの環
境問題を抱える甘粛省の 4 つの県において、穀物と換金作の農家に 9 つの SAPs を提示
し採用選好を調査し、Best-Worst Scaling の研究手法を用いて、554 の有効サンプルに
ついて選好と気候条件、農家特性の影響を分析している。異なる気候条件下において、
小規模農家が各農作方式に対する採用の優先順位等を明らかにし、現地の農業構造調整
における持続可能な農業生産パッケージ案を示唆している。
第4章では、甘粛省の河西回廊(D1)と西黄土高原(D2)の二つの地域の 411 の農
家を対象に、離散選択実験(DCE)の手法で持続可能な生産方式の一つであるカバー
クロップの作付けバターン、採用期間、化学肥料や農薬削減の農業技術サポート等に関
する採用嗜好を分析している。また単作と二毛作地域の農家のカバークロップ利用への
応答が異なることから、採用意識に影響を与える要因についても分析している。更には、

補助金政策及び輪作・間作の組み合わせパターン、並びに農家への技術サポートが、農
家の SAPs への採用期間を延ばすことできると検証している。
第5章は前章の離散選択実験の結果を用いて、カバークロップの採用状況に応じて
農家を 3 つのクラスターに分け、クラスター間の嗜好の差異、農家特性、作付方式、環
境へに意識について比較分析している。それぞれ補助金政策、耕作方式、農業技術サポ
ートへの選好が高いことを明らかにしている。
第6章と第7章では、広西と雲南を対象に、カバークロップへの採用状況と採用効
果を調査分析している。第6章は広西チワン族自治区の 4 つの県でカバークロップの利
用と農家の採用意識を調査し、Bivariate probit model を用いて、カバークロップの採
用意識と実際の採用状況、技術効果の認識及びその影響要因を分析している。第7章で
は、SAPs の採用効果を中心に事例分析を行い、採用の経済効果等を解析している。
第8章はこれまでの分析結果を要約した上で考察を行い、本研究の意義と今後の課題
などをまとめている。
以上のように、本研究は農業の持続的発展ために農家が持続可能な生産方式を用いる
ことの重要性に注目し、環境問題などが深刻な地域を対象に現地での聞き取り調査、文
献レビュー、農業環境政策などを実施し、これに基づいたミクロ経済分析などを経て、
農家の持続可能な生産方式の利用意識と行動、政策との関連と影響などを明らかにした。
これらの研究成果は、学術的にも社会的にも寄与するところが少なくない。よって、審
査委員一同は本論文が博士(農学)の学位論文として価値あるものと認めた。

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