空間経時測定データに対する多変量自動関数クラスタリング
概要
関数クラスタリングは関数化したデータを同じ特徴をもつグループに分類する手法であり, 気象学や社会学,運動力学などの分野において応用されている. 特に経時的に観測された多変量経時測定データへの適用が広く議論されている. 近年では経時測定データに加え, 観測地点の位置情報も同時に収集されているデータが得られるようになっており, 観測地点間の位置情報を考慮に入れた新しい経時データの解析手法が議論されている.本論文で議論する手法は, 位置情報を含めた多変量経時測定データをクラスタリングする手法で, このような手法を空間関数クラスタリングという. 位置情報と多変量経時測定データが観測された地点の関数データは正則化最尤法によって生成し, 位置情報のみ観測された地点は関数クリギング (Goulard and Voltz(1993)) によって予測する. 得られた回帰係数ベクトルに対して, k-means 法の繰り返しとベイズ型情報量規準(Bayesian information criterion; BIC) による分割停止基準を定めることで最適なクラスター数を求めることができる x-means 法 (Pelleg and Moore (2000)) を適用し, 最適なクラスター数で観測されたデータをクラスタリングする. 本論文では, 提案手法の理論の定式化と実データへの適用例を報告する.