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大学・研究所にある論文を検索できる 「The association between subjective well-being and mean diffusivity by analysis using diffusion tensor imaging」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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The association between subjective well-being and mean diffusivity by analysis using diffusion tensor imaging

前田 千秋 東北大学

2020.03.25

概要

健康とは,単に身体的な病気がない状態ではなく,肉体的,精神的,社会的に完全に調和のとれた良い状態(well-being)であると考えられている.主観的健康感はwell-beingを評価する一つの指標であり,高い主観的健康感がもたらす様々な身体的,社会的好影響が知られてきた.また,先行研究からは主観的健康感とドパミン神経系の関係が示唆されてきた.しかし,これまで主観的健康感と脳の微細構造特性との関係は明らかにされていない.

磁気共鳴画像の拡散テンソル画像解析によって計測される平均拡散能は,水分子の拡散の程度を表す指標である.組織内の構成要素の様々な構造変化により水分子の拡散制限が増加する場合に,平均拡散能は減少すると考えられてきた.また平均拡散能は様々な認知や気質の個人差との関係が知られ,特にドパミン神経系における平均拡散能はその機能の変化を鋭敏に反映することが知られてきた.よって本研究では,主観的健康感と脳の平均拡散能との関係をボクセル単位の統計解析にて検討した.

1209人の健常若年成人(男性695人,女性514人,平均年齢20.7±1.8歳)に対し,同一の3テスラ磁気共鳴装置により脳の拡散強調画像を撮像し,さらに各被験者の平均拡散能画像を作成した.また主観的健康感を評価するため,自己記入式の質問紙である主観的健康感尺度(Subjective well-Being Inventory, SUBI)を実施した.SUBIは主観的健康感を陽性感情,陰性感情の二つの側面から評価する質問紙である.平均拡散能画像の各ボクセルの信号値を従属変数,年齢,性別,一般知能検査の得点,総頭蓋内容積,SUBI(陽性感情,陰性感情のいずれか一方)の得点を独立変数とし,重回帰分析を行った.結果,陽性感情,陰性感情いずれの指標を用いた重回帰解析においても,主観的健康感の程度と,ドパミン系領域として知られる右側の被殻,島,淡蒼球,視床,尾状核領域の平均拡散能との間には有意な負の相関が認められた.本研究の結果より,主観的健康感と脳のドパミン系領域の微小構造特性の関係が初めて明らかとなった.

本研究成果は,我々の主観的健康感についての理解の向上に貢献し,ドパミン神経系を介した主観的健康感向上の可能性について提示した点で価値があると考えられる.