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概要
数字を見るか星印を見るか : ほとんどの土では
土壌診断票の星印だけを信じてはいけない
著者
雑誌名
巻
号
ページ
発行年
URL
谷 昌幸
ニューカントリー
67
10
48-49
2020-10
http://id.nii.ac.jp/1588/00004671/
H
に 土 壌診 断項 目 に 陽 イ オン
を 中 心 に 説明 す る 。 ち な み
が 発 行 し て い る 土 壌診 断票
勝農協 連 の 農産 化学 研 究 所
わ れているが、ここで は十
ま ざ ま な 機 関や 研 究 所 で 行
業、 コ ンサ ル タント な どさ
土 壌診 断は 農協 、 民間 企
の で 明 ら か に 火 山性 土 で 、
吸 収 係数 が 1 5 0 0 以 上 な
を 見 る と （ 表 1）、 リ ン 酸
土 壌 の 化学 性 分 析 結 果の 例
産 者 圃場 か ら 採 取し た 表 層
る こ と が で き る 。 十 勝の 生
よ う な 土 な の か 大ま か に 知
酸 吸 収 係数 を 見 れ ば 、 ど の
土 壌診 断票 の C E C と リ ン
先 月 号で 説 明 し た よ う に
る こ と を 前 提と す る 。
で は C E C の 分 析 結 果が あ
に な る の は どこ だ ろう か 。
表 1の 星 印を 見 て 一 番 気
い けない のが 現実で ある。
で は 、 星 印だ け を 信 じて は
場 合も あ る 。 ほ と ん どの 土
基 準 値 と な る の は 不 可能 な
性 に よ っ て は 全て の 項目 が
な っ て し ま う 。ま た 、土 の 特
違っ た 判 断を す る こ と に
な の に 不 足 とし た り 、 間
基 準 値 と 判 断し た り 、 過 剰
な い と し た ら 、 不 足な の に
区 別 が 土に よっ て は 正しく
計 算 例 に つ い て は 、 20 1
バ ラン ス を 確 認 す る た め の
土 壌診 断値 か ら 陽 イ オン
のか分から なくなる。
り 、 ど ち ら を 信 じれ ば 良い
な り 低 い と 判 定 さ れ てお
ず な の に 、 塩 基 飽 和 度 はか
し て い た り 過 剰 では な い は
換 性 陽 イ オ ン が 極 端に 不 足
低 い と 判 定 され て い る 。 交
や 高 い 、 交 換性 石 灰は や や
回は 塩 基 飽 和 度 を 基 準 値 の
ミリ
分状 態が 低い 、 や や 低い 、
灰と い っ た 交 換性 陽 イ オン
め る 交 換性 カ リ 、 苦士 、 石
塩 基飽 和度は CE Cに 占
4・3
ンス か ら 計算 した理
和 度 と 陽 イ オン バ ラ
ミリ
dフ
当 量 、 交 換性 石
ミリ
当量、交 換
dフ
ミリ
で
d
（ 表 2）。 先 ほ ど 述 べ た よ
土は 高い と い う区分に なる
が 、 交 換性 カ リ と 交 換性 苦
和 度 は 星 印が 基 準 値 と な る
換性 石 灰に つ い て は 、 C E
に あ る 。 施 肥ガ イ ドで は 交
る 交 換 性 陽 イ オン の 基 準 値
海道施 肥ガ イ ドが 定 め て い
れ て し ま う 原 因の 一 つ は 北
値 と 、 養 分 状 態 の 星 印が ず
苦土 比 ） か ら 計算 し た 理 想
ス （ 苦土 ／ カ リ 比 と 石 灰／
基飽 和 度 や 陽 イ オン バ ラン
土 の C E C を 考 慮し て 塩
交 換性 カ リ や 交 換性 苦士 の
言えば 、 C E C が 高い の に
は 高 い と 評 価 され る 。 逆 に
て 改 良す る と 、 星 印と し て
オン バ ラン ス を 考 え
め、塩 基飽 和度やイ
とCECが高いた
の 一 般 的な 土 は も っ
最適 な 量 で 、 北 海道
ロ程 度 の 土 に と っ て
ば 、 普 通は 土 の 凶 が 低 く て
る。 塩 基 飽 和 度 が 低 け れ
か と指 摘 さ れ た こ と が あ
く な く て も 良い の で は な い
を 生 か し 、 カ リ ウ ム、 マ グ
い る せ っ か く の 高 い 保 肥力
す の で は な い 。 元 々持 っ て
で 、凶を高めるために 増や
49
として示 した土も 、塩基飽
が な い 。 確 か に 、 今 回の 例
供給 され 、 施 肥に 頼 る 必 要
ば 、とれら の養 分が 土から
は 、 土 の 力 を 信 じて カ リ や
が なくなるので ある。交 換
しかし、塩 基飽 和度は C
苦土 の 施 肥を な く す か 、 大
和 度 が 初 % 以下 な の に 凶
と あ る 土 壌学 の 重 鎮 で あ
E C と い う 土 の 胃 袋に 対 し
性 カ リ や 交 換性 苦土 が 基 準
dフ
と 定め て いる 。 C E
る 先 生 に 、 北 海道 の 黒 、ポク
て 、 どれだ けの養 分を 中に
5 ・ 8 と 弱酸 性 で あ る （ 表
Cが 異なれば 、 それに 見合
土 の よ う に 腐 植 物 質な ど が
図
値 より も 高 く な っ た 場 合に
う 交 換性 石 灰の 基 準 値 が 変
多くてCE Cが やたら と 高
ミリ
わ る の は 合 理 的で 、 C E C
幅 に 減 ら す こ と が 必 要な の
交換 性 陽イ オ ン の値 が
高け れば施 肥を 減 ら す
361.7
i"o
i.:O
4i:i
-lio.o
I
・
苦土 カリ比｜
石灰 ・ 苦土比｜
石灰飽和度 I
塩基飽和度 I
五樫異例塾｜
;ii主
交換性石灰
は 言う ま で も な い 。
（〉
分析項目
蓄 えてお く か と い う指 標
35 0
ていないととに なる。
ネシ ウ ム、 カ ル シ ウ ムを バ
*
：�
表2
い土で は 、塩 基飽 和度は 高
0
1
7
剖・ 2の 士 に つ い て 、塩 基 飽
。 （｝
35 0
値 を 10 0 117 0 、
!3?1----1尚一両
3区 分し 、 それ ぞ れ の 基 準
お）、 細
粒 質土 壌（ m i お ）と
酸 性 を 示 す が 、 黒 ボ ク土 な
分析項目
48
ニュ ー カントリ ー 2020. 10
土 壌 診 断 票 の活 用 には
交 換容 量 （ C E C ） が 含 ま
CE Cが やや高いので 腐 植
凶 や 有 効 態リ ン酸 は 基準 値
9 年 6 月 号で 解 説 し た 。 今
CEC の項 目、
か不 可欠
れ て い な い （ 分 析 自 体行 っ
物 質が そ れ な り に 含 ま れ て
で あ ま り 気 に な ら な い。 一
方 、 交 換 性 陽 イ オン 、 陽 イ
C E C が 土 10 0 4当 た
ω%に するに は 、 どれだ け
肥ガ イ ドが 推 奨す る 塩 基 飽
当量なので 、
り 汎 ・ 2 ミリdフ
オン バ ラン ス 、 塩 基 飽 和 度
塩基 飽 和 度から 逆 算 し
必 要 量 を 見 て み ると
て い な い ） 機 関が あ る が 、
い る タ イ プと 分 か る 。
養 分 の過 不足 の区 別 は
本当 に正し い のか
土 壌診 断で 得 ら れ た 数 値 を
ヲ ’」｝7」
活用 す る に は C E C を 知 る
と と が 不 可欠 な た め 、
壌 用 ） の 化学 性 分 析 に つ い
和度 の基準 値 が ωi初 %で
そのω%は 同 ・7
逆 算 し て み る （ 図）。
て 主 要 な 分 析 項 目 を抜 粋
あ る の に 対 し、 こ の 土 は
と な る 。 陽 イ オン の バ ラン
の 交 換 性 陽 イ オ ン が 必 要か
し、分析値、基準 値、養 分
却・ 9 % と 半 分 以下 で 、 本
ス を カ リ に 対 し て 苦土 が 3
基 飽 和 度 が 低 い 。 北 海道施
状 態 の 星 印 を 示 し た（ 表
当 に こ れ で 良い の か 心 配 で
倍（ 苦 土 ／ カ リ 比 H 3）、苦
を 見 る と 、 石 灰飽 和 度 や 塩
1）。 多 く の 生 産 者 は こ の
ある。というか、この連載
土 に 対 し て 石 灰が 3 倍 （ 石
合診 断票 （ 畑 地土
星 印を 見 て ど の 養 分 が 多 い
を読んで 勉強している方 に
灰／ 苦 土 比 H 3 ） に 調 整す
土 壌総
か少ないかを見ているので
は 気に し て ほ し い 。
d7
当量
は な い だ ろ う か 。 星 印は 養
基準 値、やや高い、高いで
灰が 口 ・ 9
う に 、 全 て の 項 目が 基 準 値
当 量、 交 換 性 苦 土 が
dフ
区 別 され 、 一 目 で 過 不 足が
の 割 合 で あ る 。 交 換性 カ リ
性 陽 イ オン の が 電気 量
る と 、 交 換性 カ リ が 1 ・ 4
分 か る の で 便 利で あ る 。
は 基 準 値 、 交 換性 苦土 は や
に変
と な る の は 不 可能 で あ る 。
想値 が 基 準 値 に な っ
しか し、 も し養 分状 態の
換す る に は 図の 赤 で 示 し た
実は C E C が 日以上 の 土 で
て い るのも 十 分に 理
H
数 字を 用い る。 計算 すると
あれば 、塩 基飽 和度や石 灰
解で き る （ 表 2）。
重量
土に 含まれるべき適 正 な交
飽 和度 を 優先して 基準 値 に
一 方 、 交 換性 カ リ
女
示 され た 値 を
換 性 陽 イ オン は 交 換 性 カ リ
合 わ せ る と 、 交 換性 カUや
J旬
、交 換性苦士
ミリ
女
女
女
女
I
｜
｜
I
I
I
｜
｜
I
I
閃・ 9
お （〉 必 ミ リ
47
とそ
日 i mw ミ リdフ
、 交 換性
苦 士
交 換性 苦土 が 基 準 値 を 大幅
ミ リ JUフ
dフ
となる。
ミリ
に 上 回っ て し ま う 。
、 交 換性 石 灰3
総・ 7
61 ・ 7
れぞれの基準値が定
められているが、こ
印刷（）�
こ の 計 算 結 果を 土 壌診 断
票 に 当 て は め る と 、 交 換性
－
養分状態
星 印が 基 準 値 や 、 や や 低 い
れらの値はCECが
r I nJlijtil�H；：ゴ！！｜｜｜｜：
I !1!?/1OOg I 349 ～ 5241
｜当量比 I 2以上｜
｜当量比 I �以下｜
I 兇 I40～60 I
I % I 60～80 I
野｜
土 のCEC が違 えば
最適 な 量 は 変 わ る
低い｜や刑事盃商やや高い｜高い
p＿�� !:1: 2＿？.）一一一一一一一一一J_____ ?_·_Q一一｜
l�－－�－ －�－？＿－＿Qj _________j一一一一一一j_一 一一一｜一－－一．－－－｜
I
有効態リン酸｜ lf5 lmg/lQOg l 10～30 I
I 女
基準値
単位
本年分析値
C を 考 慮 し て粗 粒 質土 壌
表1と同じ表層土壌について塩基飽和度を基準値である
60%とした場合の土壌診断票の計算例
昌幸
ラ ン ス 良 く 保 持 し てお け
J
帯広畜産大学
どで は 強い 酸 性 に なる こと
d
グロ ー バルアグロメディシ
研究セ タ ー 教授
場 合に は 、 実 際 は 全く 足 り
附整，____
（ 7 1 口 ）、 中
粒 質土 壌（ ロー
2+
ほとんどの土では土壌診断票の星印だけを信じてはいけない
石 灰、 石 灰 飽和 度 、 塩 基 飽
図 土壌診断値から塩基飽和度60%となるような交換性陽イオン
量を確認するための計算例
［実際の土壌診断値を使った計算例］
陽イオン交換容量（CEC) : 31.2me/100g
塩基飽和度 60% 、 苦土／カリ比＝3.0、 石灰／苦土比＝3.0とするには
(K + :M g2+:ca2+= 1: 3: 9なのでK ＋ は1/13 、 M g2+ は3/13 、 CA は9/13)
交換性K+ : 31.2 × 60%÷13 × 1 = 1.4me/1OOg
交換 性M g2+: 31.2 × 60%÷13 × 3 = 4.3me/100g
交換 生Ca2+ : 31.2 × 60%÷13 × 9 = 12.9me/100g
交換性カリ＝ 1.4 × 47.10 = 65.9mg-K20/lOOg
交換性苦士＝ 4.3×20.16= 86.7mg MgO/lOOg
交換性石灰＝12.9 × 28.04= 361.7mg-Ca0/100g
※赤で示した数字は交換性陽イオンの電気量を重量に変換する係数
たにまさゆき
1995年筑波大学大学院農学研究科
修了。博士（農学）。同年帯広畜
産大学畜産学部助手、2003年同大
助教授、15年から現職 。 1968年大
阪市生まれ 。
谷
ン
ン
養分状態
本年分析値 単位 基準値
低い｜やや低唱盃司やや高い｜高い
0H(H2Q)
15.�～？－�1
I女
I �－8 I
I
I
有効態リン酸｜ W� 1!1!?!19。？：I i日～�91
I 女
I
I 女
交換性カリ I 25.5 lmg/100?:l 15～30 I
I
I
I
I 品日｝ 1!1!?!:iffri?:I ?5～4� I
交換性苦土
交換性石灰 I !76.?: lm?JiQ:Q?:1?_4� ～ 52�1
I 女
苦土 ・ カリ比｜ 4. ｜当量比 I 2以上｜
｜
｜ 女
｜
｜ 大
石灰 ・ 苦土比｜ i自 ｜当量比 I �以下｜
石灰飽和度 I 20.2 I 兇 110～6Q I
I 女｜
｜
｜
塩基飽和度 I -29.9 I % ｜閃～80 I * I
I
I
I
it／￥！
ニュ ー カントリ ー 2020. ...
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