書き出し
Data Driven Study on Characteristic of Anomalies in Atmospheric Radon Concentration Related to Earthquakes
概要
地震は地殻中に蓄積されたひずみが破壊とともに解放される現象であり,それに先立って地殻中で起こる環境変化が様々な先行現象を引き起こすことが観測的に確認されている.先行現象として考えられているものの中でも,地震に関連した地殻変動に伴って地殻中に存在するラドンなどの化学物質の濃度変化が報告されてきた.
ラドンは,ウラン系列の放射性元素で,地下水・地下ガス・大気中にて測定される.1966年のTashkent地震に先行するラドン濃度の異常(Ulomov & Mavashev, 1967)が報告されて以来,ラドン濃度の異常を用いて地震予測を試みた研究が多くされてきた(例えば,Wakita et al., 1980).内陸型・海溝型地震に先行するラドン濃度異常が多く報告されてきたが,地震に先行するメカニズムは明らかになっていない.ラドン濃度変動の異常の定量的な検出方法がなく,地震発生との関係の定量的な評価がされてこなかった.そこで,ラドン濃度異常を用いた地震発生リスクの評価を行うためには,内陸型・海溝型の地震に先行するラドン濃度異常の統一的メカニズムの検討,実データを用いた定量的な研究が求められている.本研究では,機械学習や統計的方法を用いて,地震に関連した大気中ラドン濃度変動の特徴を観測データに基づいて推定することを目的とする.