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大学・研究所にある論文を検索できる 「Development of efficient approximation methods in dynamical mean field theory for multi-degree-of-freedom systems」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Development of efficient approximation methods in dynamical mean field theory for multi-degree-of-freedom systems

水野, 竜太 大阪大学

2020.09.25

概要

“相関効果”とは、平均場を超えた電子間の相互作用の効果を意味する。“強相関電子系”は相関効果が本質的な役割を果たす系のことを言う。そこでは、高温超伝導や金属絶縁体転移などの様々な魅力的な現象が現れる。しかしながら、この系の非摂動的な特性と多自由度性の絡み合いがこれらの現象の詳細な理解を妨げる。この困難を克服できる可能性を秘めた手法の一つが動的平均場理論(DMFT)である。DMFTは有効場の空間ゆらぎを無視する代わりに時間的揺らぎを正確に取り込む近似である。DMFTでは格子モデルを不純物モデルにマップすることで、非摂動的に問題を解く。この際に重要となる不純物ソルバーとしてよく用いられる連続時間量子モンテカルロ法(CT-QMC)や厳密対角化法(ED)は数値的に厳密である一方で計算コストが非常に大きく、特に多自由度系への適用や DMFTに空間揺らぎを取り込む拡張を行う際に、現実的に計算が実行できないとこも珍しくない。一方、数値計算コストの低いソルバーである反復摂動法(IPT)は近似理論であるがゆえに、多自由度系や空間相関の取り込む拡張を柔軟に行うことができない。

そこで本研究では、IPTを計算コストを抑えたまま、多自由度系への適用や空間相関を取り込む拡張が柔軟に行えるような形で定式化を行った。2体の相関関数の中の相互作用の情報の全てを担っている量であるフルバーテックスを用いた厳密な自己エネルギーの表式と、IPTの自己エネルギーを見比べると、IPTは疑似的な周波数構造によって強相関効果をとらえることができている近似と見なせることがわかる。それと同時に、IPTは2体の揺らぎから来る一部の寄与を考慮できていないこともわかる。2体の揺らぎを系統的に評価することのできるParquet formalismに基づいた方法でこれらの寄与を見積もり、IPTに追加することで、多自由度系や空間相関の拡張が可能な形で定式化することができる。この定式化の際、上で述べた強相関効果をとらえる疑似的な周波数構造は、フルバーテックスをある変数分離形で近似することによって表現できることがわかった。このフルバーテックスの近似形を用いて、1体の量である自己エネルギーから2体の量のフルバーテックスを類推する方法も提案した。これにより、いかなる不純物ソルバーであっても、空間相関を取り込む拡張と組み合わせることができるようになる。ここで開発した手法を1軌道正方格子、2軌道Bethe格子、2軌道正方格子、2層正方格子のモデルに適用し、準粒子ウエイト・スペクトル・スピン感受率などの量を計算し、その結果を、数値的に厳密な手法と比較することでベンチマークを行った。各物理量は、定性的に良い一致を示しており、条件によっては定量的にもよく一致する。さらに、擬ギャップやMott転移、対称性の自発的破れなどの複雑な現象も、厳密な手法と良い一致を示している。