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大学・研究所にある論文を検索できる 「Enhancing Collaborative Innovation for Sustainable Value Chain in the Indonesian Halal Beef Industry」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Enhancing Collaborative Innovation for Sustainable Value Chain in the Indonesian Halal Beef Industry

AKHMAD MAHBUBI 東京農業大学

2021.09.22

概要

インドネシアの中間階級のムスリムは,消費者がより宗教的かつ消費的になる「ユニバーサリスト」型へ移行している。彼らは,商品を探索する際に,その機能や感情面の便益のみならず,宗教的な便益をも求めており,例えば牛肉はハラルである保証を要求する。インドネシアにおけるハラル牛肉は,ハラル鶏肉や魚に次いで最も重要なタンパク源である。一方,インドネシアにおけるハラル牛肉の供給は多様な地域や島から行われており,主に余剰地域から不足地域へ移送されている。地元市場における農業者の粗利益は,島嶼間の取引市場に比べて高い。これが農業者や牛肉加工業者が地域外にハラル牛肉を販売するのを望まない理由になっている。余剰地域から不足地域への移送量の推定値は,潜在可能性と比較して低い。インドネシアにおけるハラル牛肉流通について,その他の課題として挙げられるのは,牛肉流通の持続性及びハラル認証である。したがって,①消費者による評価を理解し,②持続可能なバリューチェーンを評価し,③協働的イノベーションを強化することは,インドネシアのハラル牛肉産業にとって極めて重要である。本研究は以上の3つを主な柱としている。

 消費者による評価を探究するためには定量的手法を用いた消費者調査が必要である。そこで,2018年7月から9月にかけて現地調査を実施した。当調査は2つの段階から成る。(1)ハラル牛肉の属性に対する消費者の評価を明らかにするために,異なるコミュニティに所属する消費者によるグループディスカッションを,ボゴール,南タンゲラン,デポックの3都市で実施した。このディスカッションにより,ハラル食肉消費における重要な要素を特定し,アンケート調査を開発する際の設問内容を得ることができた。(2)インターセプト法による調査をインドネシアの主要都市(マカッサル,クパン,デンパサール,ポンティアナック,スラバヤ,スマラン,バンドゥン,ジャカルタ,ランプン,メダン)にて実施した。これらの都市は,高いハラル牛肉消費をもつ人口が最も多い。調査への参加者は中間階級の440世帯であり,多段抽出法により選抜され,無作為に抽出した15世帯の回答を無効としたものである。よって,分析は425世帯を対象に実施し,許容誤差は5%である。データ分析は,コンジョイント分析およびクラスター分析により行った。

 物財および情報のフロー,ガバナンス,協働的関係を評価するためには,定性的手法を用いたバリューチェーン分析が必要である。ハラル食肉小売店,ハラル食肉加工業者,肉用牛生産者をインドネシアにおけるハラル牛肉のバリューチェーンの主なアクターとして調査対象とした。調査は,4つの地域(ジャカルタ,西ジャワ,東ジャワ,ランプン)3段階の対面インタビュー調査およびグループディスカッションによって行った。インタビューは半構造化・自由回答形式の質問によって行った。調査への参加者は225名であり,牛肉小売業者100軒,牛肉加工業者25軒,大規模・中規模の肉用牛生産者100名である。比較による演繹的内容分析を用いた当研究では,複数の研究手法の組み合わせ及びカッパ係による信頼性の検定により有効性を確認した。カッパ係数は0.75を上回り,高い信頼性が確認された。

 本研究では,消費者の嗜好が,赤色,残留物ゼロ,最近に生産されたもの,ハラル認証ラベル,清潔,柔らかい,風味といったことにあることを明らかにした(p値0.000)。ハラル牛肉バリューチェーンの個々の主体はこれらハラル牛肉のすべての属性を保証することはできない。これらの属性を網羅するためには,バリューチェーンの利害関係者によるイノベーションと協働が必要である。
一方,物質フロー,情報フロー,ガバナンスの側面では,肉用牛生産者,加工業者,小売業者が一定の品質をもつハラル牛肉確保のために情報を利用しており,廃棄物を減らすために情報を利用することは稀であった。インドネシアにおけるハラル牛肉バリューチェーンでは,情報フローの有効性が主体間で異なる(カッパ係数0.61)。フィードロット業者は販売取引から肉牛の輸送に至るまでの完全情報,加工業者はハラルに準じた屠殺プロセスに必要となる正確な情報,小売業者は消費者に提供を求められる完全かつ有用な情報を重視しているなどの違いが明らかになった。バリューチェーンのガバナンスは,ISO(国際標準化機構)システムの取り組み,免許や許諾,協会への加入といったシステム,マニュアル,規格について評価を行った(カッパ係数0.80)。その弱みとして,環境マネジメントシステムであるISO14001を取得していないことが指摘できる。

 協働関係の評価結果は,インドネシアのハラル牛肉サプライチェーンが協調的な取引を行っている協調関係にあることを示している(カッパ係数0.78)。信頼や約束に基づき,公式の契約が結ばれることはなく,取引業者間が互いに監視することは稀で,持続性への関心は短期あるいは少しに限られ,積極性は少なく相互評価を行わないなどの特徴が見られた。業者間の連携については,戦略的な連携ではなく,専ら職務上の連携が見られた。ハラル牛肉の確保については,問題や誤りを減少させる依存性が見られた。
経済面の指標では,肉用牛生産者はコストが最も高く,利益は牛肉小売業者よりも低かった。また,肉用牛生産者はその他の主体と比較して高い炭素排出量と水使用量となっていた。しかし,肉用牛生産者はインドネシアのハラル牛肉産業の中で最も多くの雇用を生み出している。クラスカル・ウォリス検定によると,主体間のそれぞれの指標には有意な差があった
(p値0.000)。これらの結果から,各主体間のギャップがバリューチェーンの持続性を脆弱にしていることが示唆される。

 価値イノベーションは3点から評価した。①消費者にとっての商品価値イノベーションでは,ハラル牛肉の脂肪分を取り除くこと,大きさ,東急,味,栄養価,生産地,牛肉の入手可能性,包装,買い物の立地,店舗における展示,調理の容易さ,トレーサビリティ,価格,ムスリムショップのオーナーであることといった属性の重視を減じること,新鮮さ,見た目,ハラル認証ラベル,食感,香り,衛生面,残留物質なし,といった属性を重視することが挙げられる。オンラインストアのアプリケーションを作成することも考えられる。②加工価値イノベーションでは,熟成を取り除くこと,フィードロット業者による牛舎の準備や牛肉生産者による食肉処理場への肉牛の運搬を続けること,牛肉生産者による屠畜やフォードロット業者による給餌を増加させること,オンラインサービスや店舗におけるハラル認証の創設などが挙げられる。③ビジネスモデル・イノベーションでは,協働的取引から協働的プロセスへの変革が必要である。例えば,パートナー間の相互監視や長期的な資源管理の改善などが挙げられる。新たな流通チャネルとしてのオンラインサービスの開発は,情報技術を活用することも可能である。

 本研究の意義は次の通りである。①インドネシアのハラル牛肉産業の持続可能なバリューチェーンを強化するための協働的イノベーションに向けた論拠を提供した。②ハラル,持続性,バリューチェーンおよび価値イノベーションを統合する枠組みを提供した。③本研究で示した枠組みは,他のハラル食品産業の分析や発展に適用可能である。

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