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大学・研究所にある論文を検索できる 「Defining Craft Chocolate and Specialty Cacao : Standards, Trade, Equity, and Sustainable Development」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Defining Craft Chocolate and Specialty Cacao : Standards, Trade, Equity, and Sustainable Development

キャドビ, ジーナ 東京大学 DOI:10.15083/0002006531

2023.03.24

概要





















Cadby Jeana

クラフトチョコレートは、スペシャリティカカオ豆を原料にして職人技術で
作られたチョコレート製品である。クラフトチョコレートおよびスペシャリテ
ィカカオの業界は多くの中小企業で構成されており、カカオ農家の福祉と環境
資源保護の基準を高める積極的な活動でも高く評価され、世界のチョコレート
産業を、持続可能で、説明責任と透明性のある、かつ倫理的なものへと前進さ
せる存在でもある。しかしながら、クラフトチョコレートおよびスペシャリテ
ィカカオの業界の実態を具体的に調査する研究は少なく、これらの業界は一貫
性や定義および標準化が不十分な現実に直面している。本研究の目的は、スペ
シャリティカカオの品質パラメータを定量化するためのタイムリーなシステム
レベルでの定義を提供し、スペシャリティカカオの特性を明らかにする主な経
路を見出すとともに、スペシャリティカカオの取引方法やカカオ生産者への支
払い価格など業界の評価を鑑み、クラフトチョコレートおよびスペシャリティ
カカオ業界の標準、取引慣行、公平性、持続可能な開発における役割を定義す
ることにある。
本研究は、研究の背景と目的を示した第 1 章を含む全 8 章から構成される。
第 2 章ではスペシャリティカカオの 2014 年から 2019 年の価格分析を 63 本の
産業レポートを用いて行うとともに、スペシャリティカカオの重要な差別化要
因を特定するために、1997 年から 2021 年に出版された 100 本の学術論文等を
レビューしている。その結果、スペシャリティカカオの差別化要因には「品質」
「遺伝子型・構造・系統」
「原産国」
「認証」
「直接取引」の 5 つの主要な経路が
存在することが特定されている。また、2015 年から 2018 年にかけて専門バイ
ヤーが提供したスペシャルティカカオの価格はコモディティカカオと比較して
平均で世界市場より 140%高く、またフェアトレードプレミアムを含まないフェ
アトレードカカオの価格より 205%高いことを明らかにしている。加えて、2014
年から 2019 年までの間にクラフトチョコレートメーカーと専門家によって従
来の方法で栽培されたカカオ 1kg あたりに支払われている平均農場ゲート価格
は、西アフリカ、ブラジルおよびエクアドルの平均生産者価格よりも 95%高い

ことを明らかにしている。
第 3 章では世界各国のクラフトチョコレート製造者を対象とするオンライン
調査(n=108)を実施しており、調査結果からクラフトチョコレート製造者の
38%がカカオを入手するために個別に農家と契約していること、また 60%のク
ラフトチョコレート製造者が日常的に用いられている品質評価手法は Bean to
Bar チョコレートの製造者の必要性を満たしておらず、改善の余地があると考
えていることを明らかにしている。加えて、スペシャリティカカオの専門バイ
ヤーは 65%以上のカカオ豆を中南米から調達しており、主に西アフリカから供
給されるコモディディカカオとは対照的であることを明らかにしている。
第 4 章では日本のクラフトチョコレートおよびスペシャリティカカオ業界を
対象とする文献調査およびインタビュー調査を実施しており、調査結果から日
本のクラフトチョコレート産業は寡占企業が支配的である 1980 年代以降の世
界市場シェアとは異なり、多くの中小企業が市場シェアの大部分を占めている
ことを明らかにしている。
第 5 章ではカカオの品質に関する官能評価および化学分析を実施するととも
に、収穫後処理条件が異なるスペシャリティカカオの果肉品質特性について、
カカオ農家へのインタビューおよび病気の発生の有無、糖度、pH、カカオポッ
ド重量、発酵前の種子および果肉の合計重量の測定を行っており、収穫後の初
期におけるカカオポッドの貯蔵処理条件が果肉の品質に大きな影響を及ぼすこ
とを明らかにしている。
第 6 章では文献調査およびインタビュー調査からクラフトチョコレートとス
ペシャリティカカオ産業の特有の脆弱性を明らかにするとともに、COVID-19
パンデミックによる混乱について議論しており、クラフトチョコレート産業の
脆弱性は長年にわたり業界内で認識されていること、またスペシャリティカカ
オの生産農家のリスクを軽減するためには投資だけでなくビジネスに必要とな
る技術へのアクセスの改善やバイヤーと交渉するための農民のエンパワーメン
トが必要となることを指摘している。
第 7 章では総合考察を、第 8 章では結論と今後の展望をそれぞれ述べており、
本研究を通して農家の福祉と環境保全を促進するために倫理的なチョコレート
の優先順位を示すクラフトチョコレート業界の特徴を初めて特定したこと、ま
たスペシャルティカカオの専門バイヤーがより高品質な原料を主に中南米から
調達するために直接取引を志向することを初めて確認したことなどについて言
及している。
これらの研究成果は、学術上応用上寄与するところが少なくない。よって、
審査委員一同は本論文が博士(農学)の学位論文として価値あるものと認めた。

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