リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「喘息の2型気道炎症における活性イオウ分子種と新規産生酵素cysteinyl-tRNA synthetase 2(CARS2)の役割についての検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

喘息の2型気道炎症における活性イオウ分子種と新規産生酵素cysteinyl-tRNA synthetase 2(CARS2)の役割についての検討

佐々木 優作 東北大学

2021.03.25

概要

気管支喘息(以下、喘息)は「気道の慢性炎症を本態とし、変動性を持った気道狭窄(喘鳴、呼吸困難)や咳などの臨床症状で特徴づけられる疾患」である。喘息の典型的な病態では好酸球性気道炎症を特徴とする 2 型炎症である。2型気道炎症では2型ヘルパーT(Th2)リンパ球を主体とした獲得免疫機序が主病態である。T リンパ球の活性化・増殖・分化には解糖系などの細胞内代謝の調節や酸化還元制御が重要な役割を演じている。近年、システインパーサルファイド(cysteine persulfide:CysSSH)に代表される活性イオウ分子種(reactive sulfur species: RSS)が生体内に豊富に存在していることが報告され、さらにミトコンドリア型 cysteinyl-tRNA synthetase (CARS2)が生体内の主要な cysteine persulfide 合成酵素(CPERS)であることが明らかになった。活性イオウ分子種は新規の内因性抗酸化分子で、極めて高い抗酸化能を有する他、ポリスルフィド化を介したタンパク質の機能制御やミトコンドリアエネルギー産生にも関与する。しかし、喘息の2型気道炎症および CD4+T リンパ球の活性化や分化における活性イオウ分子種と産生酵素 CARS2 の役割は不明である。以上から、本研究ではアレルゲン誘導性2型気道炎症および CD4+T リンパ球の活性化や分化における活性イオウ分子種および CARS2 の役割について明らかにすることを目的とした。

野生型(Cars2 +/+)と Cars2/CPERS ヘテロ欠損(Cars2 +/-)マウスにダニアレルゲンを経鼻投与し 2 型気道炎症モデルを作成した。ダニアレルゲンを経鼻投与した Cars2 +/-マウスでは、気管支肺胞洗浄液中の好酸球数と 2 型サイトカイン含有量、さらに血清 IgE 値が Cars2 +/+マウスに比して有意に増加した。Recombination activating gene 2 欠損マウス(Rag2 -/-マウス)を用いた養子移入実験では、Cars2 +/-マウス由来 CD4+T リンパ球を移入した Rag2 -/-マウスでは野生型を移入した群に比してダニアレルゲン経鼻投与後の肺胞洗浄液中の好酸球数と IL-13 の有意な産生増加を認めた。ナイーブ CD4+T リンパ球を用いた Th2 分化実験では Cars2+/-マウス由来のナイーブ CD4+T リンパ球では、細胞内 2 型サイトカンおよび GATA3 陽性細胞比率が有意に増加した。ナイーブ CD4+T リンパ球の活性化についての検討では Cars2 +/-マウス由来のナイーブ CD4+T リンパ球では野生型に比して TCR/CD3 刺激による活性化マーカー(CD25、CD44)の発現および IL-2 産生量が有意に増加した。さらに、リン酸化解析では、Cars2 +/-マウス由来の CD4+T リンパ球の CD3ζ、ZAP-70、ERK のリン酸化が有意に増強していた。RSS 供与体であるグルタチオン・トライサルファイド(GSSSG)で処理することにより、Cars2 +/-マウスのみならず Cars2 +/+マウス由来の CD4+T リンパ球においても、TCR/CD3 刺激による TCR シグナルリン酸化、活性化および Th2 分化刺激による GATA3 発現、IL-13 発現は有意に抑制された。 Cars2/CPERS ヘテロ欠損では、TCR/CD3 刺激によって起きるリン酸化シグナル経路が増強し、その結果、CD4+Tリンパ球の活性化および Th2 分化の増強が惹起され、2 型気道炎症を増悪する可能性が示唆された。GSSSG投与でこれらの事象が抑制されたことから、CARS2/CPERS および活性イオウ分子種は CD4+T リンパ球の活性化を負に制御する因子として、アレルギー・免疫疾患の病態に関与している可能性が示唆された。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る