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大学・研究所にある論文を検索できる 「大腸炎惹起性CD4+ T細胞における活性イオウの機能解明」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

大腸炎惹起性CD4+ T細胞における活性イオウの機能解明

田山, 舜一 東北大学

2023.03.24

概要

(書式18)




位 論 文 要 約
A b s t r a c t )

博士論文題目 Title of dissertation
大腸炎惹起性 CD4+ T 細胞における活性イオウの機能解明

東北大学大学院医学系研究科

医科学専攻

病理病態学講座

免疫学分野

氏名 Name

田山

舜一

慢性的な消化管炎症を特徴とする炎症性腸疾患(IBD)では、CD4+ T 細胞の異常応答が観察されており、
同細胞内の代謝バランスの破綻が IBD の発症要因となり得ると考えられている。一方、最近の研究により、
解糖系やミトコンドリア代謝といった古典的代謝経路に加え、ミトコンドリア型システイン tRNA 合成酵素
(CARS2)によって制御される「活性イオウ代謝」が哺乳類細胞の各種反応において重要な役割を担ってい
ることが報告された。特に、CARS2 によって産生されるシステインパースルフィドなどの活性イオウが、
ミトコンドリアにおけるエネルギー産生やタンパク質のイオウ修飾に関与することが示された。しかしなが
ら、免疫細胞や免疫応答での同代謝経路の役割は不明である。そこで本研究では、活性イオウが半減する
Cars2+/-マウスを用いて、T 細胞依存的 IBD を惹起し T 細胞免疫応答における活性イオウの役割を明らかに
した。
定常状態の若齢 Cars2+/-マウスでは主な免疫細胞に異常は認められなかったものの、加齢に伴い同マウスの
大腸固有層に集積する CD4+ T 細胞の顕著な増加、組織学的な大腸炎症が認められた。次に、ナイーブ CD4+
T 細胞移入系の IBD マウスモデルを用い腸炎症状を比較したところ、野生型 T 細胞移入群に比べ Cars2+/- T
細胞移入群で腸炎が有意に増悪した。この結果に一致して、大腸組織では Cars2+/- CD4+ T 細胞移入群の方が
野生型細胞移入群に比し浸潤細胞が増加し、ドナー細胞の細胞周期が有意に亢進していた。また、活性イオ
ウのドナー分子であるグルタチオントリサルファイド(Glutathione trisulfide: GSSSG) を投与することで、腸
炎症状悪化の改善が認められ、腸炎増悪が活性イオウの低下によるものであることが明らかになった。最後
に、ヒト IBD における CARS2 の関与の可能性を検討するために、腸管組織内 CD4+ T 細胞に関する遺伝子
発現プロファイルの公開データセットを解析したところ、クローン病患者の腸管組織内 CD4+ T 細胞ではコ
ントロール由来の T 細胞に比し CARS2 の発現が有意に低下していることがわかった。すなわち CD4+ T 細
胞の CARS2 発現低下とクローン病発症との相関が明らかになった。
本研究により、CARS2 依存的な活性イオウ代謝が腸管局在性 CD4+ T 細胞の異常増殖を抑制することで恒常
1

(書式18)
性維持に寄与すること、同代謝経路の異常がマウスおよびヒトにおける IBD 発症に関与する可能性が明ら
かになった。これらの知見から、活性イオウ代謝を標的とした IBD の新たな治療法開発が期待され、本研
究成果は免疫学的にも臨床医学的にも重要な発見であるといえる。 ...

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