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大学・研究所にある論文を検索できる 「自然免疫機序による2型気道炎症における活性イオウ分子種の役割」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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自然免疫機序による2型気道炎症における活性イオウ分子種の役割

鈴木 歩 東北大学

2022.03.25

概要

【背景】気管支喘息は、気道の慢性炎症を主体とし、抗原の吸入やウイルス感染などの刺激が加わることで気道収縮が生じ、発作性の咳や喘鳴などの呼吸器症状を呈する疾患である。気管支喘息における気道炎症の本態は、気道への好酸球を主体とした炎症細胞浸潤であり、2 型ヘルパーT 細胞を主体とした獲得免疫機序と 2 型自然リンパ球 (group 2 innate lymphoid cells: ILC2) を主体とした自然免疫機序の双方が関与する。これら 免疫細胞の活性化や増殖においては細胞内の酸化還元反応や代謝調節が重要である。活性イオウ分子種 (reactive sulfur species: RSS) は低分子チオールにイオウ原子が複数付加した構造を有する新規の内因性還 元分子で、高い抗酸化能をもつことが報告されている。さらに、タンパク質のチオール基へイオウ原子を転移しポリスルフィド化することでタンパク質を過剰な酸化修飾から防御し、タンパク質の機能制御や細胞保護に働くことが知られている。当教室では、RSS がヒト肺にも存在し、慢性閉塞性肺疾患 (chronic obstructive pulmonary disease: COPD) や喘息とCOPD のオーバーラップ患者の肺における含有量が低下していることを報告してきた。近年、RSS の基本分子であるシステインハイドロパースルフィド (cysteine hydropersulfide: CysSSH) の生体内における主要な合成酵素として cysteinyl-tRNA synthetase (CARS2) が同定され、Cars2ヘテロ欠損 (Cars2+/− ) マウスが作成された。Cars2+/− マウスでは肺のRSS 含有量が低下しており、獲得免疫機序による 2 型気道炎症が増強することが明らかになっている。一方、ILC2 を主体とした自然免疫機序による 2 型気道炎症における CARS2 由来の RSS の役割は明らかになっていない。

【目的】自然免疫機序における CARS2 由来の RSS の役割を明らかにする。

【方法・結果】野生型マウスと Cars2+/− マウスに対し真菌アレルゲン(Alternaria alternata)を経鼻投与し、自然免疫機序による 2 型気道炎症モデルを作成した。Cars2+/− マウスでは野生型マウスと比較して気管支肺胞洗浄液 (bronchoalveolar lavage fluid: BALF) 中の好酸球数、 IL-5 と IL-13 の産生量および肺 ILC2 数が有意に増加し、肺病理組織では炎症細胞浸潤やムチン産生が亢進した。一方、真菌アレルゲンを投与した両群のマウスにおいて BALF 中のIL-33、TSLP 産生量は同等であった。次に、IL-33 経鼻投与モデルを作成し IL-33 に対する反応性を直接検討したところ、Cars2+/− マウスではより高度な 2 型気道炎症と肺ILC2 数の増加を認めた。さらに、RSS がILC2 の機能に与える影響を評価するため、 IL-33 を経鼻投与したマウス肺から活性化状態の ILC2 を sorting し、in vitro で検討した。Cars2+/− マウス肺由来の活性化 ILC2 では 2 型サイトカイン産生量が野生型マウスよりも有意に増加しており、IL-33 や IL-33と TSLP の共刺激で培養した場合も同様であった。次に、Cars2+/− マウスで減少している RSS を補うことで ILC2 による 2 型サイトカイン産生及びマウスモデルにおける 2 型気道炎症が抑制されるか検討した。グルタチオントライサルファイド (glutathione trisulfide: GSSSG) 含有培地で培養することで、活性化 ILC2 からの 2 型サイトカイン産生が抑制された。さらに、GSSSG をマウスの腹腔内に投与すると真菌アレルゲン及び IL-33 誘導性の 2 型気道炎症が抑制された。

【結論】CARS2 由来のRSS は、IL-33 を介したILC2 の増殖や 2型サイトカイン産生を負に制御することで、自然免疫機序による 2 型気道炎症を抑制的に制御している可能性が示唆された。

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