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大学・研究所にある論文を検索できる 「Mechanism of anti-inflammation and organ-protective effect via acetylcholine receptor.」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Mechanism of anti-inflammation and organ-protective effect via acetylcholine receptor.

中村, 恭菜 東京大学 DOI:10.15083/0002007019

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名中村 恭菜
本研究は,神経系を介した抗炎症メカニズムであるコリン作動性抗炎症経路(CAP)が急
性腎障害を改善させるメカニズムを明らかにするため,LPS による敗血症モデルを用い
α7 ニコチン性アセチルコリン受容体(α7nAChR)に着目して検証し,下記の結果を得て
いる.
1. 3 種のマクロファージ細胞(マウスマクロファージ細胞株 RAW 264.7 細胞,ヒト単球細胞
株 U937 細胞を PMA で処置しマクロファージに分化させた細胞,野生型マウスから取り出し
た腹腔マクロファージ)において,α7nAChR 特異的アゴニストである GTS-21 による

CAP の活性化は,障害前のみならず障害後においても LPS による TNF-α の産生を抑制し
た.
2. この障害後の GTS-21 の効果は,野生型マウスにおいても血漿 TNF-α・炎症性サイトカ
インの産生を抑制し,さらに腎障害マーカーKim-1 の低下,腎尿細管障害の改善を認め
た.このことから,障害後においても CAP 活性化は腎保護効果を有することが示された.
3. CAP 活性化による腎保護効果を追求するために RNA-seq を行い,GTS-21 により障害前
後で共通して誘導される 6 つの遺伝子を同定した.
4. CAP 活性化において重要とされるマクロファージ上の α7nAChR に着目しその効果を調
べるために,マクロファージ特異的 α7nAChR ノックアウトマウス(LysM-Cre:
α7nAChRflox/flox)を作成した.このマウスにおいては GTS-21 による抗炎症効果が打ち消される
と想定していたが,本研究では有意差を持って証明することは出来なかった.
5. 一方,α7nAChR 欠損したマクロファージの in vitro での挙動を確かめるため,α7nAChR-/-マ
ウスから取り出した腹腔マクロファージを用いた実験を行った.腹腔マクロファージにおいて
は,α7nAChR を欠損していても TNF-α は GTS-21 により低下していた.この in vivo と in vitro
における結果の差異から,マクロファージが CAP 活性化において効果を発揮するためには,マ
クロファージ以外の細胞における α7nAChR を介した反応を起こす可能性や,マクロファージ
が脾臓内で他の免疫細胞と相互作用し修飾を受ける可能性が示唆された.
6. この結果から得られた新たな仮説をもとに,脾臓内でのマクロファージや他の細胞との細胞
-細胞間相互作用を調べるために,脾臓のシングルセル RNA-seq を行い,解析中である.
7. ACh 合成酵素であるコリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)を蛍光色素で標識したマウ
スの腎臓を用い免疫組織染色を行なったところ,腎臓内の構造物に ChAT 陽性細胞を同定し
た.この結果は,迷走神経の支配はないとされている腎臓内において ACh が存在することを示
唆する結果であり,ACh 受容体を介した CAP 活性化が腎臓に直接影響し腎保護効果をもたら

す可能性があると考えられた.
8.さらに,LPS 刺激を行った近位尿細管細胞株である HK2 細胞を GTS-21 で処置し,GTS-21 の
濃度依存的に腎障害マーカーである Ngal が低下した.このことは GTS-21 が腎尿細管に直接影
響を及ぼすことが示唆された.

以上,本論文では,CAP 活性化が障害の後においても腎保護効果を有することを LPS マウスモ
デルにおいて明らかにした.また,CAP 活性化にはマクロファージ上の α7nAChR のみなら
ず,他の細胞との相互作用し効果を発揮する可能性が示唆された.さらに,腎臓におけるアセ
チルコリン産生細胞を同定し,CAP 活性化が腎臓に直接影響する可能性があることが示唆され
た. これらの結果は,CAP 活性化による腎保護効果の機能解明に貢献すると考えられ,学位
の授与に値するものと考えられる.

よって本論文は博士( 医学 )の学位請求論文として合格と認められる。

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