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大学・研究所にある論文を検索できる 「アフリカツメガエル骨髄由来間葉系幹細胞の培養系の確立」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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アフリカツメガエル骨髄由来間葉系幹細胞の培養系の確立

山口 理奈 東北大学

2021.03.25

概要

【背景】
間葉系幹細胞 (Mesenchymal stem cells; MSCs) は、哺乳類の体に存在する体性幹細胞のひとつであり、 骨髄や脂肪などの中胚葉由来の間葉系組織に存在する。ヒトでの定義は International Society Cell & Gene Therapy による声明で定められており、プラスチックディッシュ接着性で、CD73, CD90, CD105 陽性、 CD11b, CD14, CD19, CD34, CD45, CD79, HLA-DR 陰性を示し、骨細胞・軟骨細胞・脂肪細胞への分化能を有する細胞である(Dominici et al., 2006, Cytotherapy)。抗炎症作用や免疫制御作用等の液性効果により、傷害組織の修復を促進することから、細胞治療の有力なソースとして利用されてきた。

MSCs は、ヒト以外にも、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウサギ、マウス等の哺乳類、ニワトリ等の鳥類で報告されていたが、これまで両生類では報告がなかった。高い再生能力を持つ両生類の MSCs と、哺乳類の MSCsを比較することができれば、MSCs の組織修復力を亢進する因子を同定できる可能性があると考え、本研究では両生類 MSCs の同定方法や培養系を確立することを試みた。

【目的】
両生類の一種であるアフリカツメガエルの MSCs の同定方法と培養系を確立することである。

【方法・結果】
アフリカツメガエル大腿骨ならびに脛腓骨から得た骨髄は、アフリカツメガエルに適するように改変した 培地、温度下で培養した。市販の培地は哺乳類の血漿浸透圧 285±5 mOsmol/L に適するように作られているため、アフリカツメガエルの血漿浸透圧 250 mOsmol/L に合うように、滅菌水で希釈し使用した。また、カエル血清はカエル心臓から採血した血液を遠心し、得られた上清をろ過滅菌した上で、培地に 1 %添加した。また、変温動物であるアフリカツメガエルの体温は、生育水温に合わせて 24 ℃前後であるため、インキュベーターを 24 ℃に設定し培養を行った。その結果、プラスチックディッシュ接着性かつコロニー形成能をもつ細胞を得ることができた。この細胞を 13 継代目まで培養し、細胞形態を観察した結果、5 継代目から細胞質の広がった扁平な細胞が現れ始め、13 継代目では、ほぼ全ての細胞がこのような形態に変化した。さらに各継代の細胞倍加時間を計測した結果、1 から 4 継代目では 24 時間前後を維持していたが、5継代目以降徐々に時間が伸び、13 継代目では 50 時間に変化し、細胞形態変化後に細胞倍加時間が長くなる傾向が観察された。また、初代培養から 5 継代目までの細胞表面マーカーの発現を観察した結果、cd44, cd73, cd90, cd166 陽性(* cd105 はアフリカツメガエルに存在しない)、cd11b, cd14, cd19, cd31, cd34, cd45, cd79, hla-dr 陰性を示した。さらに、この細胞をサイトカイン処理により骨細胞、軟骨細胞、脂肪細胞に誘導した結果、各々の細胞を特異的に染めるアリザリンレッド、アルシアンブルー、オイルレッド陽性の細胞が各誘 導後に観察された。また、骨細胞、軟骨細胞、脂肪細胞のマーカー遺伝子である osteocalcin, typeⅡcollagen, pparγの発現を観察した結果、各誘導後に各々の遺伝子の発現が観察された。

【考察・結論】
アフリカツメガエル骨髄から得たプラスチックディッシュ接着性のコロニー形成能を持つ細胞は、哺乳類 MSCs を定義する、各 cd マーカーの発現プロファイルを示し、骨細胞・軟骨細胞・脂肪細胞へ分化する、という条件を満たしたため、アフリカツメガエル骨髄由来 MSCs である可能性が示唆された。

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