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大学・研究所にある論文を検索できる 「Synergistic effect of collagen and CXCL12 in the low doses on human platelet activation」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Synergistic effect of collagen and CXCL12 in the low doses on human platelet activation

中島, 大樹 岐阜大学

2021.03.25

概要

CXCL12はCXCファミリーに分類されるケモカインの一つであり,その特異的受容体であるCXCR4およびCXCR7を介し作用する。CXCL12は白血球の炎症部位への遊走誘導に加え,造血,胚発生および血管新生などの生理的プロセスに関与していることが知られている。造血機構。特に血小板形成において,CXCL12は,巨核芽球の巨核球への分化および成熟血小板の血中への誘導に必須であることが明らかにされている。

血小板は止血において中心的な役割を果たしている。血管内皮の障害により露出したコラーゲンは,Glycoprotein (GP) VIおよびa2B1インテグリン等のコラーゲン受容体を介して血小板の凝集を促進する。血小板の凝集に伴って,細胞増殖因子であるplatelet-derived growth factor AB (PD GF-AB)の分泌および炎症惹起物質であるsoluble CD40 ligand (sCD40L)の遊離が惹起される。一方,血小板機能の元進は冠動脈及び脳血管等の血栓性イベントのトリガーとなると考えられている。申請者らの研究室では,コラーゲンはp38 mitogen-activated protein kinase (MAPK) およびD44/p42 MAPKの活性化を介し、血小板機能を活性化することを明らかにしている。

ストレスタンパク質(Heat Shock Protein:HSP)はストレス応答の際に誘導されるタンパク質の総称であり,分子シャペロンとして機能すると考えられている。HSP27は低分子量HSPの一つであり、血小板を含む様々な細胞に恒常的に発現していることが知られている。また,HSP27はリン酸化による翻訳後修飾を受けることが知られている。近年,HSP27は細胞内のみならず、細胞外で炎症反応の制御因子の一つとしても機能することが明らかにされている。申請者らの研究室では,コラーゲン刺激によるPDGF-ABの分泌およびsCD40Lの遊離に伴って、p44/p42 MAPKを介したHSP27のリン酸化が惹起されること,また,糖尿病患者において,HSP27はコラーゲン刺激によってリン酸化された後,血小板から血漿中へ遊離されることを明らかにしている。ヒト成熟血小板においてCXCL12は弱い血小板凝集を生じる低用量のコラーゲン刺激による血小板凝集作用を増強することが報告されている。しかし、CXCL12のヒト成熟血小板に対する作用の詳細は,未だ明らかではない。本研究において,低用量コラーゲンによるヒト血小板作用に対するCXCL12の影響を明らかにすることを目的とし、解析を行った。

【対象と方法】
健常者から静脈血を採取し,遠心分離法により多血小板血漿(PRP)を調整した。PRPをCXCR4中和抗体,CXCR7中和抗体およびSB203580 (p38 MAPK 阻害薬)で前処理したのちに,コラーグン,CXCL12,トロンビン受容体活性化ペプチド(thrombin receptor-activating peptide: TRAP), ADPおよびコンバルキシン(選択的GPVIアゴニスト)で刺激し、光透過法及びレーザー光散乱システムを用いて血小板凝集を測定した。血小板からのPDGF-ABの分泌,sCD40Lの遊離およびリン酸化HSP27の遊離はELISA法で測定した。ウエスタンブロット法によりp38 MAPK, p44/p42 MAPKおよびHSP27のリン酸化レベルを解析した。

【結果】
1 低用量コラーゲン(0.2 〃 g/ml) と低用量CXCL12(10 ng/ml)は,それぞれ単独では、ほとんど血小板凝集に影響を及ぼさなかったが、同時刺激によって有意に血小板凝集を促進した。一方、低用量TRAP (7〃 M) あるいは低用量ADP (0.5 〃 M) と低用量CXCLI2(10 ng/ml)の同時刺激では血小板凝集に何ら影響を及ぼさなかった。
2 低用量コンバルキシン(20 ng/ml) と低用量CXCL12(10 ng/ml)は,それぞれ単独では,ほとんど血小板凝集に影響を及ぼさなかったが,同時刺激によって血小板凝集を促進した。
3 低用量コラーゲンと低用量CXCL12の同時刺激によって促進された血小板凝集はCXCR4中和抗体によって有意に抑制されたが,CXCR7中和抗体は何ら影響を及ぼさなかった。
4 低用量コラーゲンと低用量CXCL12は,それぞれ単独ではPDGF-AB分泌およびsCD40L遊離に何ら影響を及ぼさなかったが、同時刺激によって有意にPDGF-AB分泌およびsCD40L遊離を促進した。
5 低用量コラーゲンと低用量CXCL12は,それぞれ単独ではp44/p42 MAPKおよびp38 MAPKのリン酸化に何ら影響を及ぼさなかった。一方,同時刺激によってp44/p42 MAPKのリン酸化には何ら影響を及ぼさなかったが、p38 MAPKのリン酸化を促進した。
6 SB203580により、低用量コラーゲンと低用量CXCL12の同時刺激によって促進された血小板凝集,p38 MAPKのリン酸化,PDGF-AB分泌およびsCD40L遊離は有意に抑制された。
7 低用量コラーゲンと低用量CxCL12は、それぞれ単独ではHSP27のリン酸化に何ら影響を及ぼさなかったが、同時刺激によってHSP27のリン酸化を促進した。
8 SB203580により,低用量コラーゲンと低用量CXCL12の同時刺激によって促進されたHISP27のリン酸化およびリン酸化HSP27遊離は有意に抑制された。

【考察】
低用量コラーゲンないし低用量コンバルキシンと低用量CXCLI2の同時刺激によって血小板凝集が促進され、CXCR4中和抗体によって、その血小板凝集が抑制されたことから,低用量コラーゲンと低用量CxCL12の同時刺激による血小板凝集は、受容体としてそれぞれGPVIとCXCR4を介していることが示唆された。また,低用量コラーゲンと低用量CXCL12の同時刺激はp38 MAPKのリン酸化を促進すること,また,SB203580によって,血小板凝集,PDGF-AB分泌,sCD40L遊離,HSP27リン酸化およびリン酸化HSP27遊離が抑制されたことから、低用量コラーゲンと低用量CXCL12は,p38 MAPKの活性化を介して血小板機能を促進していることが示唆された。本研究で示された血小板活性化機序は, 血中CXCL12レベルが高値の患者における血栓形成の機序の一つと考えられ,血栓症に対する新たな治療開発の一助となる可能性が示唆された。

【結論】
ヒト血小板において,低用量コラーゲンと低用量CXCL12は,血小板凝集,PDGF-AB分泌,SCD40L遊離,HSP27リン酸化およびリン酸化HISP27遊離を,p38 MAPKの活性化を介して相乗的に促進することが示唆された。

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