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大学・研究所にある論文を検索できる 「Reduction of Cell Surface T-Cell Receptor by Non-Mitogenic CD3 Antibody to Mitigate Murine Lupus」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Reduction of Cell Surface T-Cell Receptor by Non-Mitogenic CD3 Antibody to Mitigate Murine Lupus

Morita, Masashi 大阪大学

2022.05.31

概要

[目的(Purpose)]
全身性エリテマトーデス(SLE)は、抗核抗体をはじめとするg己抗体が病態形成に関与すると考えられている自己免疫疾患であり抗体産虫B細胞を標的とした分子標的薬を中心に治療法開発が進んでいる。一方でBリンパ球成熟、サイトカインを介した炎症反応増幅など、Tリンパ球の病態への寄与も靈要であることが報告されている。SLE患者のT細胞では細胞受容体(TCR)の重要なコンボーネントであるCD3ςの発現が低下しており、CD3ς発現低下がSLE病態にもたらす影響を検討するため、C57BL6/J (B6)マウスに変異型Fasを発現させたB6lprループスモデルに、CD3ς遺伝子をヘテロで欠損させたB6lpr-Cd3ς+-マウスを作成し、その表現型を検討した。その結果B6lpr-Cd3ς+-マウスの自己抗体価、糸球体腎炎傷害スコアがいずれもB61pr-wild typeと比較して軽減されていることを見出した。そこでB6lpr-Cd3ς+-マウスのT細胞の表現型を検討するとTCR発現量が約40%低下しており、T細胞依存性抗原(NPCGG)免疫後の濾胞性T細胞(Tfh)分化は保たれ、胚中心B細胞(GCB)分化は抑制されることがわかった。この結果よりTCR発現量を減少させる治療はルーブスに有効ではないかと考え、TCR発現を減少させる手段としてCD3ε抗体に着目した。CD3ε抗体はループスを含む様々な自己免疫疾患モデルで有効性が示唆されているが、生体内での抗体活性が多面的であり詳細な免疫抑制機構が不明瞭である。本研究ではマウスCD3ε抗体(conventional 145-2C1K 2CUC)およびFc領域をsilent化したNon-mitogenic CD3e抗体(silent145.2Clh 2CI1S)をループスモデルに用いて、その有効性とメカニズムを検討した。

[方法ならびに成績(Methods/Results)]
B6マウスに各抗体を単回投与した解析では2C1ISの方が2C11CよりもTCR発現量を長期問減少させた。また2C11Sは2C11Cでみられたサイトカインリリース、およびT細胞増殖を誘導しなかった。これらの結果から2C11SはNon-mitogenicであり、TCR発現量減少を有意に誘導しうる抗体であることがわかった。次に2C11S、2CI1Cはともに末梢血T細胞を一時的に消失させたが、更なる検証により2C11Sは接着分子を介したTrappingによる見かけ上のT細胞数減少を引き起こすと考えられ、一方2C11Cはマクロファージ/単球によるT細胞貪食を誘導すると考えられた。各抗体を投与したB6マウスにNPCGGを用いて免疫し、CD3抗体が抗体産生反応にどう影響するかを調べると、2C11S、2C11CいずれもTfh分化抑制はみられず、2C11SのみGCB分化抑制を認め、いずれの群でも抗体産生抑制を認めた。これより各CD3抗体はT細胞依存性抗体産生に異なる効果を与えると考えられた。またCD3抗体は既報で示唆されているアナジーやアポトーシスを誘導せず、2C11Sの免疫抑制作用はTCR発現量減少が主な機序であることが示唆された。
そこで、2C11SによるTCR発現逛減少がループス様病態に対して有効であるかを検討した。NZB/W F1マウスに10週齢(早期)もしくは20週齢(後期)から週1回1か月問、各抗体を腹腔内投与したところ、早期治療では2C11S群でGCB分化抑制および抗体価低下を認め、後期治療では2C11S群でGCB分化抑制がみられたものの、抗体価の有意な低下は認めなかった。また腎炎が形成される後期での治療において、2C11S群のみ有意な腎炎改善を認めた。脾臟の制御性T細胞(Treg)および各エフェクターT細胞の比率を解析すると、CD3抗体は有意なTreg分化亢進を誘導せず、また2C1lSはlFNy/IL-17産生CD4+T細胞分化を有意に抑制しなかった。

[総括(Conclusion)]
Non-mitogenic Fc silent CD3抗体は長期問TCR発現量を減少させることによりルーブスの表現型を改善しうる。Lupusの自己抗体を介さない腎炎進展に対してもnon-mitogenic CD3抗体の抑制効果が期待され、今後SLEを含めたT細胞関速自己免疫疾患に対して更なる適用が期待される。