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大学・研究所にある論文を検索できる 「神経膠腫の悪性度分類に関するMRイメージングの画像特徴量解析」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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神経膠腫の悪性度分類に関するMRイメージングの画像特徴量解析

橋渡, 貴司 大阪大学

2022.03.24

概要

「Radiomics」とは,医用画像上に潜在する病変の生物学的特徴を反映した表現型を画像特徴量として定量化する新しい医用画像解析手法であり,近年急速に研究応用され始めた.

原発性脳腫瘍の中で最も発生頻度が高い神経膠腫は,世界保健機構 (WHO) の分類によって,grade Iの予後良好群からgrade IVの予後不良群までの4段階に分類される.神経膠腫は悪性度ごとに治療方針や予後が大きく異なるため,術前の画像診断で正確かつ迅速な悪性度推定が望まれる.そこで,本研究は,神経膠腫の磁気共鳴 (MR) 画像診断の精度向上を図るため,神経膠腫患者のMR画像にradiomicsを応用し,多数の定量的な画像特徴量を抽出したうえで,それら画像特徴量を用いたMR画像の定量評価ならびに機械学習と組み合わせた神経膠腫の悪性度予測モデルの開発を目指す.さらに,神経膠腫の悪性度を反映する画像特徴量についても明らかにする.

神経膠腫をはじめとする脳腫瘍のMR画像検査ではdynamic susceptibility contrast (DSC) およびarterial spin labeling (ASL) と呼ばれる灌流強調イメージングが臨床活用されており,両イメージングとも脳血流量 (CBF) マップ画像を算出することができる.しかし,両者のCBFマップ画像における神経膠腫の灌流パターンの差異や類似性は不明である.本研究ではradiomicsの新たな展開として両イメージングのCBFマップ画像へ応用し,画像特徴量を基にした比較評価を実施した.その結果,ASLイメージングはDSCイメージングと比較して神経膠腫のCBFを過小評価する傾向がみられたが,CBFの不均一性に関してはより反映していることが明らかになった.また,全91個の画像特徴量のうち75個の画像特徴量が両CBFマップ画像間で有意な正の相関を示し,同等な灌流評価ができることが証明された.さらに,両イメージングそれぞれのCBFマップ画像から抽出した画像特徴量を基に構築した神経膠腫の悪性度鑑別モデルの予測精度はどちらも高く,同等の性能を示した.これらの結果は,非造影のASLイメージングが造影剤を使用するDSCイメージングの代替として神経膠腫の灌流評価に活用できる可能性を十分に示すものであった.

神経膠腫に限らず,悪性腫瘍に対するMRイメージングの1つに拡散強調画像 (DWI) がある.このDWIから得られる見かけの拡散係数 (ADC) マップ画像とASLイメージングから得られるCBFマップ画像にradiomicsを応用し,それぞれのマップ画像から抽出した合計182個の画像特徴量と4種類の機械学習を組み合わせた神経膠腫の悪性度鑑別モデルを構築し,それらモデルの性能について比較した.Receiver operating characteristic解析の結果,いずれのモデルも低悪性度 (WHO grade II) と高悪性度神経膠腫 (WHO grade III/IV) を鑑別するために十分な性能を備えていることが確認できた.機械学習モデルを構築するには,抽出した全182個の画像特徴量の中から神経膠腫の悪性度予測に寄与する画像特徴量を選択する必要がある.その選択過程で,ADC first-order skewnessという画像特徴量が全てのモデル構築で共通して選ばれ,最も高い重要度であることが明らかになった.この結果は,ADC first-order skewnessが,低悪性度と高悪性度神経膠腫の鑑別に有用な画像特徴量であることを示唆していた.

これらの研究成果は,神経膠腫のMR画像診断の精度向上に寄与し,radiomicsを応用した画像特徴量解析のさらなる発展の可能性を示すものであった.

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