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大学・研究所にある論文を検索できる 「海馬神経活動と記憶機能 におけるクラスター型プロトカドヘリン β の機能解析」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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海馬神経活動と記憶機能 におけるクラスター型プロトカドヘリン β の機能解析

浅井 裕貴 富山大学

2020.03.24

概要

要約
本研究の目的は, 細胞接着分子群の1つであるクラスター型プロトカドヘリンが海馬神経
活動や記憶機能に与える影響を明らかにすることである. クラスター型プロトカドヘリンは
3 つのサブグループ (クラスター型プロトカドヘリン α, β, γ) に大別され, マウスでは全
58 種類のアイソフォームから構成される. これらの分子群は, 細胞ごとに異なる組み合わせ
で発現することで多様な発現パターンを生み出し, 軸索投射や樹状突起の広がりといった神
経細胞の形態形成に関わることが知られているが, 神経活動や脳の高次機能への影響はほと
んどわかっていない. そこで本研究では海馬に発現することが知られるクラスター型プロト
カドヘリンβの欠損マウスを用いてカルシウムイメージングを行うことで, クラスター型プ
ロトカドヘリンの海馬神経活動への影響を調べた. 次に同様のマウスで行動実験を行い, 学
習・記憶におけるクラスター型プロトカドヘリンβの役割を調べた.
第 1 章:In vivo カルシウムイメージングによる神経活動の評価
クラスター型プロトカドヘリンβの神経活動における機能解析のため, クラスター型プロ
トカドヘリンβ欠損マウスを用いて, 自由行動下のマウスの海馬 CA1 領域のカルシウムイメ
ージングを行い, 同期的な活動をする細胞集団 (アンサンブル) を数理解析により抽出した.
その結果, クラスター型プロトカドヘリンβの欠損マウスでは, 20 個以上の細胞で構成され
る大きいアンサンブルが野生型マウスと比べて増えていた. また, クラスター型プロトカド
ヘリンβの欠損マウスでは 1 つの神経細胞が複数のアンサンブルに含まれる割合が増加した.
これらの結果からクラスター型プロトカドヘリンβが海馬のアンサンブル形成に関わること
が明らかになった.
第 2 章:行動実験による記憶機能の評価
クラスター型プロトカドヘリンβの記憶機能への影響を評価するために, 同上のマウスで
海馬依存的な恐怖条件付け空間学習課題を行った. 翌日のテスト (近時記憶) の結果, 条件付
けした空間でのすくみ反応は野生型と同程度であったことから, クラスター型プロトカドヘ
リンβ欠損は単純な空間学習には影響しないことが分かった. しかし, 条件付けされた空間
とは異なる新規空間との識別能力はクラスター型プロトカドヘリンβの欠損により低下した.
さらに, 学習の 2 週間後に同様のテスト (遠隔記憶) ではクラスター型プロトカドヘリンβの
欠損マウスは野生型マウスと比べてすくみ反応が少なかったことから, 恐怖記憶の保持低下
が示唆された. 消去学習実験により学習・記憶の柔軟性を調べたところ, クラスター型プロト
カドヘリンβの欠損で消去学習の遅延がみられた. これらの結果から, クラスター型プロト
カドヘリンβは単純な学習・記憶というよりもより高次の学習・記憶課題の遂行に重要であ
ることが示唆された.
本研究によりクラスター型プロトカドヘリンβが海馬 CA1 におけるアンサンブル活動に影
響すること, 記憶課題の中でもより高次脳機能を要する課題遂行に影響することが明らかに
なった. これらの結果から, クラスター型プロトカドヘリンβは情報処理過程の基盤となる
神経細胞集団の形成に関与すると考えられる.

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