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大学・研究所にある論文を検索できる 「Encoding of behavioral variables by complex spikes in clusters of cerebellar Purkinje cells during voluntary movement」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Encoding of behavioral variables by complex spikes in clusters of cerebellar Purkinje cells during voluntary movement

日髙, 直樹 東京大学 DOI:10.15083/0002006550

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名 日髙 直樹
本研究は高等動物小脳神経回路において、運動制御・運動学習に重要な役割を担うとされ
るプルキンエ細胞スパイク発火が示す時空間的な特徴を明らかにすることを目的としたも
のである。自発的前肢レバー引き運動課題実行中のマウスにおいて小脳プルキンエ細胞の
2光子カルシウムイメージングを行い、登上線維入力によって引き起こされる複雑スパイ
クと呼ばれる活動電位発火を記録、情報符号化モデル解析を行って小脳皮質上で各プルキ
ンエ細胞の活動に運動課題に関するどのような情報が表現されているのかを調べた。これ
らの解析により、以下のような結果が得られた。
1.アデノ随伴ウィルスベクターを利用し、成体マウス小脳プルキンエ細胞特異的に遺伝
的カルシウム蛍光指示タンパク質の GCaMP6f を発現させ、自発的前肢レバー引き運動課
題実行中に2光子励起顕微鏡によるカルシウムイメージングを行った。この結果、マウス
小脳虫部第 V 葉では複雑スパイクと考えられるプルキンエ細胞の樹状突起カルシウムシグ
ナルが運動課題実行中に誘発されることが確認された。
2.随意運動課題における行動変数がプルキンエ細胞の発火活動にどのように表現されて
いるのかを明らかにするため、運動課題に関する行動変数を設定した符号化モデルを構築
した。これにより、レバー引き動作・レバー戻し動作・リッキング開始動作・課題成功と
いう4つの変数を設定したモデルで、観測した細胞の約半数で有意に発火の予測が可能と
なった。またこのモデルより、各細胞が4つの行動変数をどう表現するのかという応答特
性を調べることが可能になった。
3.有意に発火予測が可能なモデルを構築できた細胞においてその殆どが、レバー引き・
レバー戻しというレバー運動の情報だけでなく、リッキング開始および課題成功に関する
複数の情報をひとつの細胞で表現していることが示唆された。またいずれの行動変数がよ
り多く表現されているかを細胞ごとに調べた結果、小脳皮質上で特定の情報を多く担う細
胞が集まる領域が形成されていることが示唆された。
4.各プルキンエ細胞の応答特性の時間的変化についてより詳細な解析を行ったところ、
各細胞はレバー引き動作開始タイミング前後で特徴的な行動変数の表現パターンを示して
いることがわかり、また小脳皮質上で近接した細胞どうしは似た応答特性の変化パターン

を示していることが明らかになった。
5.各細胞の応答特性を基にしたクラスタリング解析を行った。その結果、細胞の反応パ
ターンは9つのタイプに分類された。各タイプの応答には、レバー引き運動情報に加えレ
バー戻し動作に関する感覚フィードバックとみられる情報がひとつの細胞で表現されるタ
イプ、レバー動作情報に加えて課題成立後の報酬関連の応答が顕著に見られるタイプなど
の特徴が見られた。
6.各反応タイプに属するプルキンエ細胞が観測面のどこに位置しているかを調べたとこ
ろ、同じ反応タイプの細胞は近接しており、明確な境界でわかれた機能的なクラスター構
造が小脳皮質上で構成されていることが明らかになった。それらのクラスターは、各細胞
がどのような行動変数を表現しているかだけではなく、それら行動変数の大きさや時間的
変動も異なった特性を持ってわかれていることが示唆された。
以上、本論文は随意運動中のマウス小脳プルキンエ細胞において情報表現の時空間的特徴
を明らかにし、動物の行動に関わる小脳皮質神経回路メカニズムの解明に貢献をすること
から、学位(医学)の授与に値するものと考えられる。
よって本論文は博士(医学 )の学位請求論文として合格と認められる。

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