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大学・研究所にある論文を検索できる 「肥満関連大腸癌におけるTen-eleven translocation2の関与」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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肥満関連大腸癌におけるTen-eleven translocation2の関与

今 孝志 山形大学

2021.03.31

概要

【要約】
【背景】本邦では大腸癌の罹患率、死亡率は増加傾向にある。 その要因の一つとして肥満、メタボリックシンドロームの増加が考 えられている。最近、高血糖が DNA の脱メチル化に関わる TET(ten eleven translocation)2 の不安定化を惹起しエピジェネティックな DNA 修飾である 5-ヒドロキシメチルシトシン(5-hmC)レベルを低 下させ、発癌に促進的に作用することが報告された。耐糖能障害、イ ンスリン抵抗性は肥満、メタボリックシンドロームにおける中心的 な病態であり、肥満関連大腸発癌において TET2 が重要な役割があることが示唆される。本研究では肥満関連大腸癌における TET2 お よび 5-hmC の発現および TET2 が大腸癌細胞の増殖活性に与える 影響を検討した。

【方法】2017 年 4 月~2019 年 3 月までに山形大学 医学部附属病院で外科的に切除された大腸癌患者 81 例を対象とし た。術前の CT 画像による内臓脂肪面積が 100 cm²以上を肥満と定義し、肥満群 7 例と非肥満群 7 例の TET2 および 5-hmC の発現に ついて比較解析した。また大腸癌細胞株(HT-29、HCT116)へグルコース 、 イ ン ス リ ン 、 脂 肪 酸 、 TET2siRNA 、 AICAR ( 5- aminoimidazole-4-carboxamide-1-β-D-ribofuranoside)を投与し、 TET2 が増殖活性に与える影響を検討した。

【結果】免疫染色では非 癌部に比し、癌部では有意に 5-hmC の核内発現の低下を認めた(p < 0.01)。ELISA で測定した組織中の DNA の 5-hmC%は、非癌部に 比し癌部で有意に低下し(p = 0.01)、また癌部では非肥満群に比べて肥満群で有意に低下していた(p = 0.03)。非癌部に比し、癌部で は TET2(p < 0.01)、TET3(p = 0.03)の mRNA が低下していた が、癌部では非肥満群に比し肥満群で TET2 のみ発現が低下していた(p = 0.04)。免疫染色では TET2 は非癌部に比し癌部で核内発現 の低下を認めたが(p < 0.01)、非肥満群と肥満群との発現レベルの 差は同定できなかった。グルコース、インスリン刺激で HT-29、 HCT116 の増殖活性が上昇し、TET2 の発現のみ低下した(p < 0.05)。 脂肪酸の投与では TET1~3 の発現に変化を認めなかった。HT-29、 HCT116 の増殖活性は、TET2siRNA 投与によって上昇し、AICAR による TET2 の発現亢進とともに低下した。

【結論】肥満者の大腸癌 組織中で 5-hmC および TET2 の発現レベルが低下し、グルコースや インスリン刺激による大腸癌細胞の増殖活性亢進に TET2 が関与す ることを初めて明らかにした。耐糖能障害、インスリン抵抗性を背景 にした肥満からの大腸発癌機序に TET2 が重要な役割を果たしていると考えられた。

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